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『少林老女』浅見千代子さんインタビュー

浅見千代子さん写真 バラエティ番組「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!」に出演し、パンチパーマに派手な口紅という一目見たら忘れられないルックスと、無表情で出演者にキスをする強烈なキャラクターで話題となった浅見千代子さん。“キスおばちゃん”として人気のおばちゃんが、今度は映画に初主演! アクションあり、笑いありの『少林老女』で、カンフーの達人・美代子を演じます。
 師匠から受け継いだ少林寺で弟子たちとともに修行に励む少林老女・美代子は、ある日、寺にやって来た武道家・一本足に敗れ、寺を奪われてしまう。都会へと追われ、いつしか街での暮らしに慣れた美代子は、初めての恋に目覚めていく。闘争心を失った美代子は、果たして一本足を倒すことができるのか?
 無表情で一言も発しない映画のキャラクターとは裏腹に、表情豊かにたっぷりと喋ってくれた浅見さんの貴重な(?)インタビューを、どうぞお楽しみください。

浅見千代子(あさみ・ちよこ)さんプロフィール

生年月日不詳。エキストラとしてテレビ番組に出演したのをきっかけにタレント活動を開始。人気バラエティ番組「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!」に、無表情で出演者にキスをする“キスおばちゃん”として登場し、一躍注目を集める。その個性的なキャラクターが人気を集め、同番組のほか、ドラマ、CM、ミュージックビデオなど、各方面から引っ張りだこ。
劇場用映画では『妖怪奇談』(2007年/亀井亨監督)に出演。主演は『少林老女』が初となる。

「普段は絶対できないことができた」

―― 『少林老女』主演のお話があったときはどう思われましたか?

浅見:まさかとは思いましたよね。もともと映画は観るほうも好きで、興味はありましたけど、自分でやるとは思っていませんでした。

―― ご覧になるのはどんな映画がお好きなんですか?

浅見:純愛ものとか、ちょっと悲しいのが好きですね。自分と正反対のものが好きです(笑)。昔のだったら『君の名は』(1953年/大庭秀雄監督:岸恵子・佐田啓二主演)とか知ってます? ああいうのが好きですね。

―― 俳優さんでお好きな方というと?

浅見:時代物だったら、大川橋蔵とかね、それから市川雷蔵。すごく綺麗ですものね。女優さんでは、歌も歌われる高峰三枝子さんとか好きでした。

―― 『少林老女』は、お好きな純愛物とは違っていますけど、内容についてどんなふうに感じられましたか?

浅見:大変だろうなとは思いましたね。セリフはないんですけど、カンフーが、いままで経験がないじゃないですか。なんとなくテレビとかで見たことはあって、カッコいいとは思っていましたけど、まさか自分がやるとは思いませんから、最初は「できるかな?」と思いますよね。

―― それをやってみようと思った決め手になったのは?

浅見:やっぱり、主演の機会ってこれからあるかどうかわからないですからね。私は、普段は大勢のうちのひとりとか、そういうところばっかりに出てますでしょ? だから冥土の土産ですよね(笑)。

―― 撮影はいつごろおこなわれたのでしょうか?

浅見:3月の9日からです。9日間ですね。

―― 9日間で映画を撮るとなると、ずいぶんスケジュールはハードだったのではないですか?

浅見:どうかなあ、時間的にはそんなハードではないですよね。夜は大体10時ごろには終わっちゃいましたしね。「あんまり長時間なのはいやだ」って言ってるから、みなさん私の言いなりになって、ちゃんと帰れるようにしてくださったんです。

―― 映画の中ではほとんど表情を変えませんが、それは苦労もあったのでは?

浅見:声を出したいときってありますよね。ゲートボールでうまく球が入ったときとか「やったー!」とかやりたいけど、無表情でいるのは難しいし、やりづらいですよね。
 面白かったのが、最後のほうで闘いに勝って、弟子の人たちが喜んで「先生、先生」ってやってくるのよ。私が立っているところにみんな寄ってきて、足元にしがみついたりするじゃない? いくらあたしでも「先生」って呼ばれたことないし、それがおかしくって、何度やっても笑いそうになっちゃうのよ(笑)。だから下向いちゃって、ちょうどカットになったからよかったんだけど。

―― 無表情な中で、何回か笑顔を見せるシーンもありますが、そこについて監督から言われたことはありましたか?

作品スチール

『少林老女』本編より。このシーンでの衣裳が浅見さんのお気に入り

浅見:そんなにないんですよ。ただ「笑ってください」とか、それで足りなければ「もっと最高な笑いでやってください」とか、そういう程度だから。でも「すごくいいです」とは、褒められました。

―― ご自分でその笑顔を見てのご感想は?

浅見:よくやるなと思った(笑)。自分ではあまり期待してなかったんですよ。でも、映るとなるとすごいですよね。自分でビックリしましたね。

―― 映画ではいつもと違った髪形の浅見さんも見ることができますね。

浅見:そうですね、3回くらい。ほら、やっぱり歳じゃない? だから似合わないんですよ。ほんとにね、20代とか30代とかならいいんですよ。でもこの歳でしょ? だから恥ずかしいんですよ。制作会社の人が「可愛いですよ」って言ってくれましたけど、それはもう社交辞令だってわかってるんで(笑)。私はいつもこの頭で慣れてますから。でも、普通は絶対できないことができたのはよかったわね。衣裳も14種類くらい着せてもらいましたし。

―― 衣装の中で特に気に入ったものはありますか?

浅見:気に入った格好はね、男の人と一緒に歩くときに、ちょっと華やかな格好をしてるんですよ。頭にリボンみたいなのを付けて、バッグも赤いのを持って、なにしろ華やかなのね。それが綺麗に映っているんですよ。それから結婚式の衣裳、あれもいいですよね。あと、腰振りダンスをやったんですよ。そのときのショッキングピンクのちょっと透けたような衣裳を着て、ああいう衣裳はすごいですよね、若いときも着ませんもんね。

「歳の割りにすごいでしょ? 迫力あると思う」

―― 映画で挑戦されたカンフーアクションはいかがでしたか?

浅見:もうぎこちなくてねえ(笑)。専門の方が現場に来てくださって、ひとつひとつその場で動きをつけてもらうんですけど、難しいですよね、型がね。長澤(奈央=一本足役)さんはカッコいいですよね。彼女もそんなに練習をやっているわけじゃないんだけど、見とれちゃって、圧倒されますもんね。私はなんか不細工で、アハハハハハ(笑)。

―― ワイヤーアクションにも挑戦されていますね。

浅見:やりましたよ。前から1回やりたいなとは思っていたんです。私は思っていることが大体実現するんですよ。監督にそう言ったら「よかったですね」って笑ってました。最初はもっとやりづらいのかなって思っていて、高所恐怖症だからちょっと心配だったんですけど、吊るされたら快感になっちゃって。そうでもないか(笑)。準備は大変だけどね。体に(ハーネスを)やるのがちょっと痛かったし、付けてるときは歩くのもガニ股よね。だからその夜は腰痛になっちゃった。そういうのは大変だけど、みなさんいい人だからそれに支えられたわ。

―― 撮影をとおして楽しかったところは?

浅見:楽しいのは遊んでいるとき(笑)。自分で思うのはラブシーンのところで、ベッドの中に入ってチョコチョコやったりしているでしょ? そこは面白いですよね。

―― そういうラブシーンを演じてみてのご感想は?

浅見千代子さん写真

浅見:やっぱりあれですよね、実際に個人的に交際していてやっているわけではないからね、アハハハハハハ(笑)。監督さんから言われたことを忠実に守ってやっていればと思っていましたね。私は実際はそんなに熱烈な恋愛経験はありませんから、今度生まれ変わったときにはやりたいなと思いますけどね。まあ、2度と生まれ変わらないけどね。アハハハハハ(笑)。

―― では、逆に撮影の中でで一番大変だったのは?

浅見:カンフーの修行をするところを山梨県に行って撮ったんですけど、雨だったので岩が滑ったりして、型がうまくいかないんですよ。私は脚が悪いのでちょっとよろけたりしちゃって、なんか軽く見えちゃうんですよね。

―― でも、あそこは雨の中で厳しい修行に耐えてる感じがしていました。

浅見:そうやって観てくだされば嬉しいわ(笑)。自分自身では大変だったけど、力が入ってないように見えちゃうかなって。スポーツで鍛えた方ならうまくできるんでしょうけど、私は全然やりませんから。

―― 今年は『少林老女』のほかにも、邦画でも洋画でもカンフー映画が何本かあるんですけど、ライバル心はありますか?

浅見:『少林少女』を観て、自分のほうがすごいなとは思っているんだけどね(同席の宣伝スタッフ爆笑)。全部は観てないんだけど、あっちはちょっと軽いんじゃないかなあ。もうちょっと期待できると思ったんだけどね。私は歳の割りにすごいでしょ? ほんと自分でも迫力あると思う。顔は優しい目をしているけどね。できないのよね、性格が出ちゃうから(笑)。

―― 初の主演作が完成して、今後の抱負を聞かせてください。

浅見:やっぱりね、もう一度、冥土の土産に主演で映画に出たいですね。自分ではこれで(映画は)終わりだと思っていたんですけど、やってみたら欲が出ましてね、もう1回チャレンジしたいですよね。

―― 次に映画をやるとしたら、どんな作品をやってみたいですか?

浅見:激しい恋愛もの。自分では過去に熱烈な恋愛は全然ありませんでしたから「もう、この人じゃなきゃダメ!」っていう熱烈なのをやりたいですね。

―― 恋愛ものなら、どんな相手役の方がいいですか?

浅見:そうね、年下の子がいいから、岡田准一。アハハハハハ(笑)。可愛いよあの子、「おばちゃん元気?」なんて言ってくれるし、すごく元気だし、可愛いの。映画じゃなくてバラエティだったら、あの人も好きなの、上田(晋也=くりぃむしちゅー)さん。あの人は頭もいいでしょ? だから1度番組に出たいな。

―― では最後に、この映画の見どころをお願いします。

浅見:私の苦労したカンフーをよく観てほしいですね。自分ながらアッパレです。自分で言っていれば世話ないな、アハハハハハ(笑)。

(2008年5月16日/ジョリー・ロジャーにて収録)

作品スチール

少林老女

  • 監督:寺内康太郎
  • 出演:浅見千代子 長澤奈央 上島竜兵 ほか

2008年5月24日(土)よりシアターN渋谷ほか、全国順次公開

『少林老女』の詳しい作品情報はこちら!

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