『トイレの花子さん 新劇場版』上野優華さんインタビュー
高校生の長沢さよは、東京から祖母の住む田舎町へと引っ越してきた。さよが転校して早々、学校で起こる同級生の不可解な死。そしてさよが目撃した赤いスカートの小さな女の子。これは“トイレの花子さん”の呪いなのか――。
学校にまつわる怪談の中でも、もっともポピュラーなものとして知られる“トイレの花子さん”。1990年代に2度にわたり映画化されたのをはじめ繰り返し映像化されてきた現代の怪談が『トイレの花子さん 新劇場版』として15年ぶりにスクリーンに登場します。
『トイレの花子さん 新劇場版』の主演には、映画初出演となる上野優華さんが抜擢されました。2012年開催のボーカリストオーディションでグランプリを獲得し『トイレの花子さん 新劇場版』主題歌で歌手デビューする上野さんは、演技初挑戦ながらしっかりと主人公・長沢さよを演じきり、主演の重責を果たしています。
この春に高校生になったばかり、これから様々な方面での活躍が期待される現在15歳の新星にお話をうかがいました。
上野 優華(うえの・ゆうか)さんプロフィール
1998年生まれ、徳島県出身。小学生のときに地元のカラオケ大会に出場したのをきっかけに歌手を志す。2012年開催のキングレコード主催「Dream Vocal Audition」で1万人を越える応募者の中からグランプリ「Dream Vocalist loved by ヤングマガジン賞」に選ばれ、デビューに向けた活動を開始。2013年『トイレの花子さん 新劇場版』で主演をつとめるとともに主題歌「君がいた空」(7月24日CDリリース)で歌手デビュー。そのほか、コミック誌「ヤングマガジン」グラビアや、徳島タウン情報誌「タウトク」コラム連載、東京大学大学院学生募集ポスターモデルなど、多方面で活躍中。
「なんでも前向きに考えるようにしているので、そこはさよに似てると思います」
―― 最初に『トイレの花子さん 新劇場版』に主演することが決まったときのお気持ちから聞かせてください。
上野:ほんとにビックリして、まさか自分が演技をするとは全然想像していなかったのですごく驚いたんですけど、私はなんでもやってみたいなと思っていたので嬉しい気持ちもあったし、ホラー映画がちょっと苦手なので、そういう不安もありました(笑)。
―― ブログで、3月ごろにお友達とホラー映画を観たと書いていましたけど、あれは今回の映画のための予習みたいな感じで観てたのかな?
上野:そうなんです、予習で(笑)。ひとりでは絶対に観られなくて、家族にも断られてしまって、少しホラーに興味があるっていう友達がいたので、その友達に付き添ってもらって一緒に観ました(笑)。
―― 『トイレの花子さん 新劇場版』の元になった“トイレの花子さん”の話って、子供たちの間で昔すごくはやったんですけど、上野さんは聞いたことありましたか?
上野:聞いたことあります。小学生のときなどは、その噂をほんとに真に受けて信じていたんです。学校の3番目のトイレに花子さんがいて、そこに入ったら呪われてしまうという話で、だから3番目には絶対に入りたくなかったです(笑)。その噂が出たころは3番目はいつも空いてたと思います(笑)。だから、そういう知ってる話の映画に自分が出るというのも不思議な感じでした。
―― そういう怖い噂とか怪談とかも苦手なほうですか?
上野:苦手だけど、やりたがる人です(笑)。夏とかにみんなで集まったら「怪談話しようよ!」みたいに言うんですけど、結局、自分は話を聞けないタイプです。苦手なんですけどキャーキャー言っているのが楽しいです(笑)。
―― 実際に怪奇現象みたいなのを体験したことってあります?
上野:ちっちゃいときの話なんですけど、家のドアがあって、そこには階段はないんです。だけど、私には階段が見えて、上からおじいちゃんが降りてきたんです。それをお父さんに「さっき、こういうおじいちゃんが階段から降りてきたんだよ」みたいに話したら、そのおじいちゃんが亡くなったひいおじいちゃんの特徴にそっくりで、だから私だけに見える階段があって、ひいおじいちゃんが降りてきたっていう体験はあります。
―― 不思議な話ですね、怖いというよりはちょっといい話な感じで。
上野:そうですね、怖くはないんですけど(笑)。でもそのときはまだちっちゃかったんで怖かったです(笑)。
―― プロフィールで好きな本に山田悠介さんの小説を挙げてましたよね。山田悠介さんの本もちょっと怖いところがありますけど、小説だと怖いのも興味がある感じですか?
上野:はい、興味あります。字で書かれてるのを読むんだったら全然平気なんです。
―― 今回の映画もかなり怖いお話ですけど、脚本を読んだときはどう思いました?
上野:「どういうふうに撮るんだろうな」っていう期待もありましたし、謎みたいな部分があるので最初に読んだだけではわからないところもあったんですけど、何回も読み返していくうちにだんだんわかってきて、撮影ではちゃんと長沢さよとして演じられたかなと思います。
―― 今回演じた長沢さよと上野さん自身とで、ここは違うなとか、ここは似てるなってところはありますか?
上野:さよは、映画の中で転校してきてみんなの前で自己紹介をするんですよ。その自己紹介のあいさつを元気に言えるのは私とちょっと違ってて、私は転校したばかりだったらあんなに元気には言えないかなって思います。似ている部分は前向きなところです。私もなんでも前向きに考えるようにしているので、そこはすごい似ているなって思うのと、明るいところも似ていると思います。
「“自分がどういうふうに映っているのかな?”って考えるだけでもすごく楽しかったです」
―― 撮影は4月だったんですね。上野さんが実際に高校に入学する前なのかな?
上野:はい、先に映画で高校生になってます(笑)。
―― 一番最初の撮影のときのことって覚えてますか?
上野:最初に撮ったのは、仲良くなった同級生の友達と一緒に帰るシーンです。初めての演技で、ほんとに初めてのシーンだったので、緊張してセリフが飛んじゃったりもしたんです。すごく不安なのが周りの方にもわかっていたと思うので、監督とかスタッフさんが「リラックスしていいよ」と優しい言葉をかけてくださって、だんだん緊張もほぐれていきました。
―― これが演技初挑戦で、初めて映画の現場を体験されていかがでした?
上野:難しいけど楽しかったですね。日常的な会話をするシーンもいっぱいあって、ほんとにそういうのに慣れていくのがすごく難しくて、でも「自分がどういうふうに映っているのかな?」って考えるだけでもすごくワクワクして楽しかったです。
―― 撮影中に特に印象に残っていることはありますか?
『トイレの花子さん 新劇場版』より。上野 優華さん演じる長沢さよ(中央)が転校してきた高校で怖ろしい事件が続く……
上野:同級生の子がイジメにあうシーンがあって、そのイジメのシーンはリアルにビックリしちゃいました。演技じゃなくて、ほんとに「申し訳ないな」って思う気持ちがいっぱいになって、それがすごく印象に残っています。
―― 今回の映画では驚いたりとか怖がったりとか、普通はあまりしないようなお芝居をするところも多いですよね。そういうところは演じていていかがでしたか?
上野:すごく楽しかったです。ホラー映画なので普段だったら全然あり得ないこともありますし、自分が絶対にしないようなこともあるんですけど、それがかえって面白くって、貴重な体験だなって思いました。
―― 特にここに注目してほしいというシーンがあれば教えてください。
上野:映画の最後のほうのシーンですね。すごい迫力があるので、そこは見どころというか、ぜひ注目してほしいです。
―― あそこはほんとにホラー映画ならではのシーンですね。撮影も大変だったんじゃないですか?
上野:そうですね、「こういうふうになるんだ」と興味津々で(笑)。実際にやってみると大変だなと思いましたし、難しかったんですけど、監督が「こういうふうに動いて」みたいにとても具体的で丁寧に教えてくださったので自分でもイメージができたし、指導していただいたおかげでできたシーンだと思います。
―― 共演されたほかの俳優さんたちの印象はいかがでしたか?
上野:みなさんすごく明るくて優しかったです。休憩時間もみんなでお話とかゲームとかいっぱいしたんです。ほんとにみなさん優しくて、私はちょっと人見知りなんですけど(笑)、気軽に話しかけてくださって、みなさんが撮影現場を和ませてくれて、とても楽しかったです。
「いろいろなことに挑戦して、自分の可能性を広げられたらいいなと思っています」
―― 今回は主演に加えて、主題歌の「君がいた空」も歌われているんですよね。主題歌についてもお話を聞かせてください。
上野:最初に曲を聴いたときに、すごく前向きな曲だなって思いました。とても楽しく歌えましたし、みなさんにも楽しく聴いてもらって、明るい気持ちになってもらえたら嬉しいです。初めて聴いたときから歌詞がすごく気に入っていて、前向きで「がんばろう」と思わせてくれる歌詞を自分が歌うことがすごく嬉しかったです。その曲が主題歌になっていて、しかも自分が出ている映画の主題歌を歌わせてもらうのはなかなかない貴重なことだなと思うので、ちょっと緊張とか不安とかもあるんですけど、それ以上に期待のほうが大きいです。
―― 映画をご覧になった方がきっと最後にホッとするような曲ですよね。
上野:はい、そうだと嬉しいです。
―― 先ほどホラー映画が苦手というお話がありましたけど、逆に好きなジャンルとか、いままでにご覧になって好きな映画があれば教えてもらえますか?
上野:ジャンルは恋愛系とか、友達との友情みたいな学園物も好きです。映画はいろいろ好きな映画があるんですけど、私は「君に届け」(※「別冊マーガレット」連載のコミック。作:椎名軽穂)がすごく好きで、マンガと小説を全部読んでいたんです。なので、映画になるのもすごく楽しみにしていて、映画の『君に届け』(2010年/熊澤尚人監督)を友達と映画館に観に行ったのを覚えています。
―― これから、出演や主題歌でそういうタイプの映画にも挑戦してみたいですか?
上野:機会があればいろいろなことに挑戦したいって思っています。まだ、自分がなにが得意で、なにができるかということがあまりよくわかっていないので、いろいろなことに挑戦して「自分はこれが好きだな」と思うものを見つけて、自分の可能性を広げられたらいいなと思っています。歌もいろいろな歌を歌っていきたくて、バラードも歌いたいですし、「君がいた空」みたいにアップテンポで元気づけられるような曲も歌ってみたいですし、色んなジャンルを歌ってみたいですね。
―― 今回の映画の公開が間近に近づいていますが、公開を前にしての気持ちを聞かせてください。
上野:この作品をきっかけにいろいろな人に私のことを知ってもらえたらいいなと思っています。ちょっと緊張もありますし、徳島でも上映するんですけど、地元ということもあって、ちょっと恥ずかしい部分もあります(笑)。
―― 東京と徳島で舞台あいさつもあるんですよね。ファンの方たちの前に立たれるお気持ちはどうですか?
上野:緊張と不安もありますし、ちょっと恥ずかしいっていうのもあるんですけど、でもそれ以上に嬉しいほうが大きくて、いまはすごく楽しみにしています。徳島は地元なので、もしかしたら知り合いの人もいるかもしれないじゃないですか(笑)。そういうのを考えるとちょっと焦ったりもするんですけど、観にきてくれたら嬉しいですし、ぜひ観てほしいですね。
―― では最後に『トイレの花子さん 新劇場版』をご覧になる方に向けてメッセージをお願いします。
上野:初主演映画で戸惑ったこともありましたが、共演者の方やスタッフの方に優しくしてもらって撮影現場も和んで、初めての演技ですけど、ちゃんと長沢さよとして撮影できたと思います。怖いシーンもいろいろあるんですけど、ぜひ観てください。主題歌も私が歌わせていただいているので、そちらもあわせてこれからも応援よろしくお願いします!
(2013年5月30日/キングレコードにて収録)
トイレの花子さん 新劇場版
- 監督:山田雅史
- 出演:上野優華 水崎綾女 馬場良馬 ほか
2013年6月29日(土)よりワーナー・マイカル・シネマズ板橋 ほか全国順次公開(シネマサンシャイン北島にて6月22日(土)より先行上映)