『超能力研究部の3人』山下敦弘監督インタビュー
育子、良子、あずみは高校の“超能力研究部”に所属する3人。友情や恋愛に悩みながら、彼女たちはある目的のため力を合わせてUFOを呼ぼうとする! ……というストーリーの映画に主演することになった乃木坂46の秋元真夏、生田絵梨花、橋本奈々未の3人。慣れない映画の現場に戸惑いつつも、3人は懸命に映画に取り組んでいくのだが……。
人気アイドルグループ・乃木坂46のメンバー3人が主演する『超能力研究部の3人』のメガホンをとったのは、さまざまなタッチで若者たちの姿を描いてきた山下敦弘監督。人気アイドルを主演に迎えた本作で、山下監督は「アイドル3人が超能力研究部部員を演じるドラマ部分」と「初の映画撮影に奮闘するアイドル3人の姿を追ったフェイク・ドキュメンタリー部分」で1本の映画を構成するという一風変わった手法を用いました。しかもフェイク・ドキュメンタリー部分は即興の演技で生まれた素に近いリアクションも収められており、まさに現実とフィクションが入り混じる作品となっています。
自ら“監督役”で出演もし、前代未聞の青春映画を完成させた山下監督にお話をうかがいました。
山下敦弘(やました・のぶひろ)監督プロフィール
1976年生まれ、愛知県出身。高校時代から短編映画を制作し、大阪芸術大学に進学。同大学卒業制作作品の長編『どんてん生活』(1999年)が国内外の映画祭で高く評価され劇場公開も果たす。その後『ばかのハコ船』(2003年)『リアリズムの宿』(2004年)を発表。2005年には女子高生バンドを主人公にした『リンダ リンダ リンダ』がヒットを記録する。以降、劇場用映画のほかテレビドラマやミュージックビデオなども手がける。
ほかの劇場公開作品に『天然コケッコー』(2007年)『マイ・バック・ページ』(2011年)『苦役列車』(2012年)『もらとりあむタマ子』(2013年)など多数。『味園ユニバース』が2015年公開予定。
「そのまま劇映画を作るとなにかが足りなくなる気がした」
―― 『超能力研究部の3人』は、乃木坂46の「君の名は希望」(※1)のミュージックビデオ(MV)を映画のオーディションという設定で作られたことから始まった映画だそうですが、もともとMVで映画のオーディションをやるという発想はどのように生まれたのでしょうか?
山下:そもそも、ぼくらがMVのときにやろうと思っていたのがまさに今回の映画みたいなことだったんです。架空のオーディションがあって、監督は俺なんですけど、そこに役者さんにやってもらう“鬼の助監督”がいたりして、ドッキリ的に彼女たちのリアクションを入れていくフェイク・オーディションみたいなことを考えていたんです。だけど、秋元康さん(※乃木坂46トータルプロデューサー)と話していく中で、ドッキリ的なものより「ガチで映画を作る」という方向で真剣にオーディションをやったほうが絶対にいいだろうということで作ったのが「君の名は希望」のMVだったんです。だから、映画を作ると言ってはいても、正直そのときは俺の中では具体的になにをやるか見えてなかったですね(笑)。
―― 乃木坂46のほかの曲のMVではドラマ仕立てになっているものもありますが「君の名は希望」は当初からドラマ仕立てとは違う方向で考えられていたのですか?
山下:企画の最初のころから「ガチ」というのがキーワードだったんですよね。で、乃木坂のMVを何本か見せてもらった中で、伊豆大島だったけかな? 彼女たちが風が強い中、山の上に登って歌うっていうMVがあったんです(※2)。それを見たとき、ドラマとか物語で見せるのではなくてほんとに彼女たちがリアクションしているときの表情のほうがいいかなと思ったので、ドラマにするというのは最初の時点からなかったですね。
―― そして、そのMVのオーディションで今回の映画で主演をつとめられた秋元真夏さん、生田絵梨花さん、橋本奈々未さんの3人が選ばれたわけですが、この3人を選んだポイントはどういうところだったのでしょう?
『超能力研究部の3人』より。超能力研究部部員を演じる、乃木坂46の橋本奈々未さん、秋元真夏さん、生田絵梨花さん(左より)
山下:普通はオーディションって作る映画があったり原作があったりするのでおのずと選ぶ基準が決まってくるんですけど、今回は「映画を作る」と言ってはいても中身がなにもなかったので、なんか自分の中で引っかかった3人という感じかな。その引っかかった部分がなんなのか説明しづらいんですけど、なにか少しアイドルに対して違和感のある人たちというか、この3人は少しズレている気がして、そのズレにすごい興味を持ったのかなという気はしますね。なんかアイドル未満な感じもあったし、性格的にも俺のイメージする「アイドルの子ってこんな子かな」というイメージとはズレた3人だったような気がするというか、どこかアイドルらしくない部分を持っているなあって。
―― 先ほど「具体的になにをやるか見えてなかった」というお話がありましたが、実際に映画を作るという企画が具体化していったのはいつごろだったのでしょうか?
山下:いつごろだったかなあ……。(オーディションが)終わってすぐはしばらく動きがなかったんですよね。乃木坂のMVをやっていたのが2013年のアタマくらいだったので、具体的に「さあ、やろうか」ってなりだしたのは、2013年の夏前くらいですかね。
―― 最初はドラマ部分とフェイク・ドキュメンタリー部分が混ざるかたちではなく、通常のフィクションの映画を考えられていたそうですが、どのような経緯で完成した作品のようなかたちになったのでしょうか?
山下:最初は、彼女たちを頭に置いて普通に劇映画というかドラマを考えたんですけど、正直、自分の中でまとまらなかったんですね。たとえば、最初に秋元(真夏)さんで「こういう話はできないかな、こういう話はどうだろう」と想像力を沸かせて何個か考えるんですけど、そこに生田さんと橋本さんがいてと考えると「生田さんがいるのはいいんだけど、橋本さんがいる意味があまりなくなっちゃうな」とか、誰かが取ってつけたようになるんです。この3人を選んだのはぼくらなんですけど、この3人がひとつのドラマの中でやるというのがなかなかまとまらないんです。そうこうしているうちに、原作の「シティライツ」(※3)を思いついて、3人という設定自体ははまっているんですけど、やっぱりそこで「彼女たちで原作をそのまま映画化するのはこの原作である意味があるのかな?」みたいなことも考えだしちゃったんですね。いま思えば、やっぱり秋元康さんが言っていた「ガチ感」というような、アイドルとしての彼女たちそのままの、等身大の彼女たちが持っているものも活かせるような映画ができないかなとどっかで思っていたんですよね。抽象的な言い方なんですけど、そのまま劇映画を作るとなにかが足りなくなる気がして、彼女たちの素の部分もアイドルとしての彼女たちも利用するというか、そういう部分で映画ができないかなと考えたときに、ドラマとフェイク・ドキュメンタリーのふたつを混ぜてしまおうということを思いついたんです。ただ、そんな企画が通るとは思っていなくて、ほんとにできるとは思ってなかったですね(笑)。
―― そのアイディアを提案したときのプロデューサー陣やほかのスタッフの反応はどういう感じだったのでしょう?
山下:どうだったんですかねえ(笑)。「成功したら面白いことになるかも」とは思ってくれたのかもしれないですね。ただ、フェイク・ドキュメンタリー部分にも設定があるんですけど、たぶん誰も完成予想図は描けていなかっただろうなって思うんです(笑)。だから、なにを持ってみんながゴーサインをくれたのかは、いまとなってはちょっとわからないですけど。
―― 今回が映画初主演の秋元さん、生田さん、橋本さんをはじめ、映画の経験があまりない若いキャストの方々は、ドラマとフェイク・ドキュメンタリーで1本の映画が成り立つというのをすんなり飲み込めていたのでしょうか?
山下:飲み込めてはなかったと思います(笑)。頭ではわかっていたと思うんですけど、いま言ったように完成予想図みたいなものは誰もわかっていなかっただろうなとは思いますね。正直、ぼくもわかってなかったですからね(笑)。その瞬間その瞬間にやるべきことはやっていたんですけど、いまやっていることがなにをもって正解なのかわからないなというのは、やりながら思っていました。
- ※1:2013年3月にリリースされた乃木坂46の5枚目のシングル曲。山下監督がメガホンをとったミュージックビデオは、映画のオーディションのために集められた乃木坂46のメンバーが演技テストや即興劇に挑む姿を記録したドキュメンタリーとなっており、山下監督も出演している。シングルCD付属のDVDに収録されているほか、YouTubeの乃木坂46公式チャンネルでも一部が鑑賞できる。
- ※2:乃木坂46の4枚目のシングル「制服のマネキン」収録曲「指望遠鏡」のミュージックビデオ。
- ※3:『超能力研究部の3人』の原作となった大橋裕之さんの連作短編コミック「シティライツ」。映画のドラマ部分は原作で「超能力研究部」が登場するものを中心とした4本の短編をもとに作られている。山下監督と大橋さんは2012年放送のテレビドラマ「エアーズロック」にそれぞれ監督とキャラクターデザインとして参加している。
「フェイク・ドキュメンタリー部分が魅力的すぎたのでドラマ部分は少なくなっていってしまった」
―― 先ほど「完成予想図」というお話が出ましたが、実はそれがすごくお聞きしたかったところで、要するにドラマ部分とフェイク・ドキュメンタリー部分をどう混ぜていくかを当初の時点でどの程度計算されていたのかと。
山下:いや、計算は全っ然していないですね(笑)。だから計算していないので無駄も多い映画で、スタジオで撮影したドラマ部分があるんですけど、そこなんかは3倍くらいあったのを編集の段階でほとんど切っちゃったんです。結局、フェイク・ドキュメンタリー部分でどういうものが撮れるのかという確証がなかったので、撮れる部分は多目に撮っておこうということでやっていたので、けっこう膨大な素材を捨ててしまった映画でもあるんです。俺もここまでフェイク・ドキュメンタリー部分が多くなるとは思ってなくて、もう少し物語で見せていくんだろうなと思っていたんですけど、ほんとに最小限の物語しか残らなくなったというのは編集してみて気がついたところですね。
―― 完成した映画では、ドラマ部分はなんとなくストーリーが見えてくる程度に断片的に使われていますが、実際にはどの程度撮影されたのでしょうか?
山下:脚本のひと通りは撮影していますね。いろいろ端折っているんですけど、育子と良子がひとりの男の子を巡ってちょっと揉めたりそのあとで仲直りするところも入っていますし、あずみがお祭りに参加するという話がどう決着するかも撮影はしているんです。だから、ほんとはもう少しドラマ部分がしっかりあったんですけど、いかんせんフェイク・ドキュメンタリー部分が魅力的すぎたのでドラマ部分は少なくなっていってしまったというか。
―― そうすると、かなり贅沢な作り方をした映画でもありますね。
山下:贅沢ですね。でも、そのバランスも結局は編集しながら探っていったんですよね。
―― こういうドラマとフェイク・ドキュメントが混然となる作り方だと、撮影のスケジュールも大変だったのではないでしょうか?
『超能力研究部の3人』より。主演の3人と山下敦弘監督
山下:今回特殊だったのは、映画ってだいたいまとめてバッとやることが多いんですけど、彼女たちはアイドルなのでアイドルのスケジュールがあるし、生田さんはまだ高校生だし、そういうところでいつものようにはスケジュールが組めなかったんです。それこそ3日撮影して4日休むとかでやっていて、それは最初からわかっていたので4日間空いている中でロケハンをしながら考える時間を持たせてもらったり、そういう意味では普通は撮影前にやることも同時併行で作っていた感じはあるんです。スケジュールはたしかに大変でしたね。たとえば、3人が育子と良子とあずみを演じて、そのあとすぐ乃木坂のライブに出たりするんです。そうするとまたアイドルの彼女たちに戻るんですよね。「あ、またアイドルになってるな」って。だから、こういうスケジュールでやらざるを得なかったときに、ドラマとフェイク・ドキュメントを混ぜた作品にしたのはその部分でもよかったのかなって感じはあります。
―― そして、フェイク・ドキュメンタリー部分では、山下監督ご自身が監督役として出演なさっていますね。
山下:まあ、そこは俺が乃木坂のMVに出ちゃっているから、役者を監督役に置いた時点でフィクションになってしまうので俺が出るしかないと(笑)。もうすべての境界線が曖昧になっている映画というか、それも含めてこの映画の醍醐味になればという感じですね。
―― そういう意味では、この映画においては山下監督の存在というのが通常の映画以上に重要だったと思うのですが、監督と監督役の両方をやってみていかがでしたか?
山下:俺、現場中はほぼキャストになりきっていましたよ(笑)。もちろん監督の仕事もするんですけど、夜な夜な大人キャストと呑みに行ってはいろいろ演出プランを相談したりしながら、俳優として「彼女たち、どうかな」っていうのを相談したりとか(笑)。俺自身も混乱はしていましたけど、今回はすごく編集に頼ったというと言い方が悪いですけど、編集でどうなっていくのかというところに賭けていた部分はあったので、現場ではキャストとして監督役をまっとうしようみたいな感じがすごく強かったかもしれないですね。
―― 単純に気になるところなんですけど、たとえば「ヨーイ、スタート!」の掛け声なんかはどうしていたんでしょう?
山下:あっ、どうしたんだっけ? でも、2回やってましたよ。「じゃあ回します、ヨーイ、ハイ!」ってやったあとに「じゃあ、本番ヨーイ」みたいな芝居をやって(笑)。だから、普通の映画の現場だと監督の声で本番に入るんですけど、今回はどっちかというとカメラが現場監督というか、カメラが動き出したらそこからはすべて本番だっていう認識だったので、カメラマンも大変だったんじゃないかなって気がしますね。どこを切り取るのかというのが全部彼の主観なので。
「アイドルである彼女たちであるから成立したし、自分もやろうと思えた映画だった」
―― 作品を拝見して、この映画は「アイドルってどんな存在なんだろう?」ということを映画を通じて考えている作品のようにも思いました。監督は「アイドル」というのはどんな存在だと考えていらっしゃいますか?
山下:そうなんですよね、どこか裏テーマとして「アイドルってなんなんだろう?」というのはあったんです。なんなんでしょうね、アイドルって。映画で秋元さんは「人を笑顔にする」と言っていましたけど(笑)。……単純に今回の3人を見ての印象だけで言うと「がんばっている人たち」だなとはすごく思うんです。この3人は一生懸命にアイドルをやっている人たちだなとは思いますね。もしかしたら、アイドルというもの自体が昔に比べるとどんどん変わっているのかもしれないですけど。
―― 監督は1976年生まれで、そうすると監督が中高生だったころというのは現在ほどアイドルがはやっていなかった時期ですよね。
山下:そうですね、俺は4つ上の兄貴がいるんですけど、兄貴が堀ちえみさんとか当時のアイドルにハマっていたのは覚えているんですよ。で、ぼくら世代は宮沢りえさんとか牧瀬里穂さん、観月ありささんとかだと思うんですけど、いまのアイドルとは違うなというのはありますね。そのあと、SPEEDとかモーニング娘。とかが出てきて徐々にいまのアイドルに近いようなグループが増えていったと思うんですけど、そのころもアイドル自体をちゃんと見ていたわけではないですね。……やっぱり、アイドルってイメージなのかな。だから実体はないし、定義されたなにかがあるわけじゃないし。ただ、今回MVと映画で初めて秋元康さんとお仕事をして、秋元康さんは要はAKB48を作った人ですよね。それで印象に残っているのは、いまの若い人たちは「無理無理」が口癖というか、なにをやってもすぐに「無理」って言うんですけど「そういう子がそれを超えたときに、なにか見えてくるものがあったり、跳ね返ってくるなにかとか、にじみ出てくるなにかがあるんじゃないか」というようなことを言ってたような気がしてるんです。だから、それこそ乃木坂のMVみたいに彼女たちを追い込んでみたり、今回の映画も普通の映画じゃなくて自分たちで考えさせたり負荷をかけるみたいなことをやったんですけど、そうやってプレッシャーを感じてる子たちの、笑顔だったり、泣いたり、歌ったり踊ったりしているのを見たときに感動できるなにかがあるのかなって。だから、テレビとかを見ていてもすごく必死にがんばって見えるし、それがアイドルの本質なのかはわからないですけど、いまのアイドルのかたちなのかなって思いますね。そうだ、昔、おニャン子クラブっていましたよね?
―― おニャン子クラブって、たぶんそれこそ監督のお兄さんとか、監督より少し上の世代の方がメインのターゲットな感じですよね。
山下:そうですね、俺が小学校くらいのときに見ていたくらいだったんで。で、前に『苦役列車』(2012年)という映画を作ったときに、1980年代が舞台の映画だったのでおニャン子クラブの映像を見たんですよ。そうすると、おニャン子っていまのアイドルと逆なんですよね。無理をさせないし、そんなにスキルがあるわけじゃないし。だからそれを見ると、秋元康さんはいま逆のことをやっているなって感じがすごくしましたね。1980年代には、その辺にいるなにもスキルがない女の子を引っ張ってきて歌が下手でも踊りが下手でもそれでいいってことで成り立っていた時代があって、そのもっと前の時代はまた違うと思うんですけど、いまは逆のことをやっていて、すごく厳しくやって、負荷をかけてやっている。「アイドルとはなにか」という答えとは違うんですけど、自分の「いまのアイドル」の印象はそんな感じかな。
―― MVと今回の映画で乃木坂46の方々とお仕事をされて、作り手として“アイドル”をどうお感じになりました?
山下:“アイドル”という職業なんだなというのはすごく思いますよね、純粋に。以前『苦役列車』で前田敦子さん(※当時はAKB48に在籍)とやったときには、彼女自身が女優ということに対してのモチベーションがすごくある人なので、そこで映画女優として現場でやっていけるんだと思うんです。で、今回の彼女たち3人は、いま乃木坂46としてやっていて、きっとこの先やってみたいことはいろいろあるんだろうけど、いまは“アイドル”ということを一生懸命やっている子たちなんですよね。だから、さっきも言ったように「すげえがんばっている人たち」かなという気はしますね。男のアイドルとかだとまた別だと思うんですけど、いまの女の子のアイドルグループっていうのはがんばっているし、無理しているし、その辺が人を惹きつけるのかもしれないなと。
―― 今回のドラマとフェイク・ドキュメンタリーを混ぜるという企画が成立しているのって、乃木坂46という人気アイドルグループの方々が主演だからという部分もあるんじゃないかと思ったんですね。そういう意味では、アイドルの存在が映画の可能性を広げることがあるんじゃないかと思いました。
山下:そうですね、今回はアイドルである彼女たちであるから成立したし、自分もやろうと思えた映画だったし、それから、あのときのオーディションで乃木坂のほかのメンバーの方が受かっていたら、この映画はこうなってはいないだろうなとも思いますね。それはやっぱり、秋元さん、生田さん、橋本さんというこの3人、俺がアイドルとして違和感を覚えた3人だったからこういう映画になったのかなと思うし、ほかのメンバーの方で映画を作った場合はまた違ったかたちの映画になるだろうし、もしかしたらほんとに普通の王道の映画を作ることもあるかも知れないし、たしかに可能性はいっぱいあるなっていう気はしますね。
―― では最後に、公開を前にしてのご心境と「こういう部分を観てほしい」というポイントをお願いします。
山下:ぼくはいろいろ若い女優さんと映画をやってきましたけど、初めてアイドル映画というものを作ったなという実感があるんです。それがこういうものになるとは思っていなかったんですけど、それがすごく自分では面白かったし、一般のお客さんがどういう反応をするのか楽しみでもあります。あと、これは個人的な想いですけど、この映画は乃木坂46のファンの人たちが観てくれるとは思うんですけど、そうじゃない人たち、それこそ乃木坂を知らない人たちとかアイドルを知らない人たちにこそ観てほしいなと思うんです。この映画での秋元さん、生田さん、橋本さんはすごく素敵で魅力があるから、この映画を観たら少なからず3人を好きになると思うんですよね。映画を観て3人に興味を持たなかったら、それはぼくのミスなんです(笑)。「アイドル映画だな」っていう偏見を持っている人もいると思うし、間違いなくアイドル映画なんでそこにはなんの言い訳もないですけど、そういった偏見を持っている人たちにこそ観てほしいなって思います。
(2014年11月11日/マッチポイントにて収録)
超能力研究部の3人
- 監督:山下敦弘
- 原作:大橋裕之「シティライツ」(講談社「モーニングKC」所載)
- 出演:秋元真夏 生田絵梨花 橋本奈々未 碓井将大 葉山奨之 ほか
2014年12月6日(土)より全国ロードショー