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デビュー作『GO』で第123回直木賞を受賞した金城一紀。無類の映画好きでもある金城一紀が、『GO』という映画が生まれ人々に感動を与える現象を目の当たりにして、自分でも“映画の脚本”を書いてみたいと強く思ったことは当然の流れであった。自身「こんなに苦しいとは思わなかった」と語る小説と脚本の方法論の違い、それでも“映画”というものへの情熱は、“飛び立つ”ことをテーマに高校生たちとおっさんのひと夏の冒険を書き上げさせ、着実に映画化へ向けて動き出した。
高校生・朴舜臣(パク スンシン)には、出演オファーをした時に既に原作を読み出演を熱望していた岡田准一が決定。自身、スンシンを演じることを「最高の光栄」と語るほどの気合を見せている。かたや、スンシンに鍛えられ、“情けないおっさん”から“頼もしい父親”へと変化していくおっさん・鈴木一(スズキ ハジメ)に、堤真一が決定。昨年の猛暑の中、ひたすらに熱演する彼の姿は、それだけで感動的であった。そして、監督は、脚本家として活躍し初監督作品『油断大敵』で高い評価を得た成島出に決定。その確かな演出力にこの作品は託された。
原作・金城一紀がこの脚本を映画化に先行して小説として刊行する際に、ひとつの言葉を物語の前に寄せている。「羽を開いて 光の射す方へ」。Mr.Childrenの歌詞であるこの言葉に託した金城一紀の思いが、映画化に際しMr.Children初めてとなる主題歌を提供するという奇跡を生んだ。主題歌だけ入っていない状態の映画を見て共鳴した彼らが未発表曲をこの映画のために作り込んでいき、かつてないドライブ感のある楽曲が遂に完成したとき、この映画もひとつの奇跡として完成した。
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高校生・朴舜臣(パク スンシン)がおっさん・鈴木一(スズキ ハジメ)と出会ったのは、夏休みの前日、終業式の日。おっさんは、自分の娘を傷つけた石原がいる高校に包丁を持って乗り込んだ!…はずだった。校門前「石原を出せぇ!!」の声もむなしく、その高校の生徒・スンシンに一発でのされ、気絶してしまう。そして、目を覚ましたおっさんは乗り込む高校を間違えたことを知る。おっさんが自分の情けなさにうちのめされながら事情を話していく…。話を聞いた、スンシンの仲間たち“ゾンビーズ”は、石原に一泡吹かせるある計画を思い付く! ひと夏、おっさんを特訓して、石原と対決させるのだ! 鈴木さんの教育係はスンシン。こうして、高校生たちとおっさんの奇妙な夏休みがはじまった。
スンシンの特訓は、走らせ、木に登らせ、階段を駆け上がらせるシンプルなもの。走れない、登れない、上がれない鈴木さん。それでも、次の日も次の日もやってくる鈴木さん。鈴木さんの本気にスンシンもやる気になってきた。年齢も環境も違う2人の特訓の日々が続いていく。弱音も特訓もどんどんどんどん繰り返され、少しづつ近づいていく2人。走れるようになり、階段も上がれるようになり、木にも登れるようになり、スンシンと笑いあうようになった。特訓が終わりに近づいていく…。
そして、決戦の日を迎えた。石原の高校に乗り込むゾンビーズたち、決戦の舞台は始業式の校庭、不適に笑う石原、覚悟を決めた鈴木さん、緊張と興奮が最高潮に達したとき、決戦のゴングが鳴った――。
「飛べ、おっさん、飛べ!!」
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