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これまでに全くなかった“脱力系”エンターテインメントの誕生!
…何をやっても目立たない平凡な主婦がスパイ募集の張り紙を見つけた! ドキドキしながら始めたスパイのミッションはなんと、“平凡に過ごすこと”だった…。
毎回即日完売、常にチケットが手に入らないことで有名だったシティボーイズのライブの作・演出を手掛け、「ダウンタウンのごっつええ感じ」「笑う犬の生活」「トリビアの泉」などでも独自の笑いを築いてきた三木聡。テレビ・舞台の業界では知らない者のいない彼が、映画を撮らないことがむしろ不思議と言われていたが、満を持して今年、『イン・ザ・プール』に続く長編監督第2作目として『亀は意外と速く泳ぐ』を送り出すことになった。
この驚きのタイトル『亀は意外と速く泳ぐ』に込められた意味は、知っているはずの日常にも、まだ知らない別の世界があり、それを知ることで少し幸せになる、ということ。 笑いの要素を詰め込んで“笑わせる”のではなく、異なるキャラクターの人間をぶつけてみて、そこから生まれる化学反応を“楽しむ”という、彼独自の笑いの哲学が本作で見事に結実した。
鮮やかでポップな衣装、可愛らしい部屋、レトロな小物のアクセントも効いていて、 平凡な主婦・スズメを演じる上野樹里の可愛らしさとクジャク役の蒼井優の奔放な魅力とが、 まわりを囲む“三木組”の曲者役者と絶妙に組み合わさり、可愛くて変な作品に仕上がった。
2作続けての劇場公開、しかも念願のオリジナル脚本、と本来なら力作になるところだが、そこは三木聡、いい感じに力が抜けている。
“脱力系”奥様スパイ映画の誕生です。
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片倉スズメ(上野樹里)は平凡な主婦である。
夫は海外単身赴任中、定期的に電話をくれるが、話すのはぺットの亀の心配ばかりである。毎日が恐ろしく単調に過ぎていく…。トイレに行けば自分の存在を無視するかのように、おばさんがオナラをし、夫さえ時々自分のことを忘れているようだ。私は見えていないのか? 久しぶりに待ち合わせをした幼馴染の“クジャク”(蒼井優)には2時間も待たされてしまう始末(彼女は同じ日に同じ場所で生まれたのだが、反対にスケールの大きい女である)。…このまま歳をとり死んでいくのか? そう思うと恐ろしい…。
そんな平凡を嘆く彼女は、ふとしたことから階段のへこみに張られた広告を目にする。「スパイ募集!」彼女は思わずその番号に電話をかけてしまうのだった。
三日後、彼女は指定された安アパートに向かう。スズメを迎え入れたのは、クギタニシズオ(岩松了)とエツコ(ふせえり)夫妻。普段は商店街のアナウンス嬢と無職の男である。彼らは自分達がある国のスパイだという。そしてスズメのように典型的な平凡人こそスパイ向き、ぜひスパイになって欲しいと説得する。彼女は半ば強引に活動資金として500万円を渡されてしまった。こうしてスズメのスパイ生活は始まった。
いつもの平凡な生活も、いざ平凡な振る舞いを意識し始めると恐ろしく難しい。だが、クギタニ夫妻の一風変わったスパイ特訓はスズメにはすべて新鮮に映る。一日はあっという間に過ぎて行き、楽しくてしょうがない。日常の裏側には意外な事実がいっぱい隠れていた。それを知ることで特別な知識を得るわけではないが、何か得した気分になるのだった。
そんなスズメの活動に関係あるのかないのか、彼女の周りは急にザワザワし始める。初恋の加東先輩(要潤)に出会ったり、普通に生きている人々が実はスパイ仲間だったことを知ったり、さらにはクジャクと引いた商店街のくじ引きで地引網漁体験が当たり、いそいそと出かけると、なんとそこで死体が引っかかってしまう。次第に周りに人が集まってくる。クジャクも何者かに追われ、行方をくらました…。
目立ってはいけないはずのスズメは徐々に注目される存在に。公安当局も不穏な動きを察知して、スズメをマークし始める。彼女のスパイ活動はどうなってしまうのか?
そしてついに、最後まで秘密にされていたスパイのミッションが彼女に下った…。
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