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メゾン・ド・ヒミコ

8月27日(土)よりシネマライズ、9月10日(土)より新宿武蔵野館、池袋シネマサンシャインほか全国順次ロードショー

イントロダクション
 ファンタジックな世界観と普遍的でリアルな恋愛感情を活写し、観客の心を魅了した『ジョゼと虎と魚たち』の犬童一心監督×渡辺あや脚本コンビの第2弾は、5年もの時をかけて温め続けたオリジナル・ストーリー『メゾン・ド・ヒミコ』。愛しあえるはずのない男と女。理解しあえるはずのない父と娘──そんな彼らの心情を通して、生と死、愛と絆、欲望と希望を鮮やかに綴っていく。 そっと抱きしめたくなるような、美しく狂おしくいとおしい“愛の感動作”が、ここに誕生した。
 癌に冒されている父親とその恋人である若い男、そしてゲイである父を嫌う娘──一見、衝撃的ともいえる設定に挑戦している本作だが、実は誰にでもあるごく普遍的なことを描いている。人と人との間にはどうにもならない“壁”があること。そして、その壁の向こう側の人をふと好きになってしまう瞬間があるということ。どうしてもその人を感じたいという衝動を抑えられない気持ち。だからこそ、人間はおかしくていとおしい──。
 さらに本作に描かれるのは、人生の中で繰り返される些細なようで大切な出来事たち。嫌悪が愛に変わる瞬間、憎悪が絆に変わる瞬間、偏見が憧れに変わる瞬間、そんな私たちの毎日に溢れているたくさんの愛すべき“瞬間”を、映画はまるで現実の世界をそのまま切り取るかのようにスクリーンに映し出していく。そして、観客は登場人物たちと一緒になって戸惑い、泣き、笑い、どうしようもなく心揺さぶられるのだ──人はみんな孤独なもの。そして誰かと一緒にいることはどこまでも優しく温かい。だから、その温もりを探して明日も生きていこう。見終わった後には、そんな感動がじんわりと心に染みてくる。
 『ジョゼと虎と魚たち』がピュアで切ない“恋”の物語なら、『メゾン・ド・ヒミコ』は深く大きくいとおしい“愛”を描く究極の人間ドラマなのだ。
 ゲイの青年・春彦に、『アカルイミライ』『血と骨』のオダギリジョー。もの哀しい笑顔の裏側で欲望を求めて彷徨う男という難しい役どころをナチュラルに魅惑的に演じる。卑弥呼の娘・沙織には、『着信アリ』『世界の中心で、愛をさけぶ』の柴咲コウ。そばかすや眉毛を書いたメイクダウン姿で役に挑み、あらたなチャーミングさを披露する。そして、死と向き合う卑弥呼には、『たそがれ清兵衛』『隠し剣 鬼の爪』の田中泯。犬童一心の一目惚れで本作に参加、舞踊で培った全身の美しさと内面から溢れ出る情熱で圧倒的な存在感を放つ。今もっとも旬の役者たちがこれまでにない顔を見せて新境地を切り開き、彼らに負けじとエネルギッシュでユーモラスな俳優陣が脇を固める。  最高のチームワークと確かな技術で独特の映画世界を具現化するのは精鋭のスタッフ陣。 優しくて繊細な五感に響く音色で、複雑に形を変えていく人々の心の襞を奏でる細野晴臣の音楽。 映画2作目ながら、時に残酷に、時にユーモラスに、そして限りなく大胆に新しい愛の世界を紡ぎだし、未知なる可能性を感じさせる渡辺あやの脚本。
 そして、ファンタジックとリアルの融合はそのままに、海辺のホームでのひと夏の出来事とあらゆるものが“愛”に変わる瞬間を、さらに幸福感が色鮮やかにスパークする圧巻のダンスシーンから驚きと優しさに満ちた至福のラストシーンまで、奔放に悠悠と描く魅惑の犬童ワールド。映画と対話することの喜びを味わわせてくれる『メゾン・ド・ヒミコ』は、犬童一心の才能が到達したひとつの頂点といえよう。
ストーリー
 塗装会社の事務員として働く吉田沙織(柴咲コウ)、24歳。ある事情で借金を抱え、夜はコンビニでも バイトをしているが、いっそ風俗で働こうかと思い悩んでいる。身近な男性では専務の細川が気になるが、彼は同僚のエリナと不倫中だ。
 ある雨の日、彼女のもとに若くて美しい男が訪ねてくる。名前は岸本春彦(オダギリジョー)。彼は、沙織が 幼い頃に沙織と母親を捨てて出ていった父・照男(田中泯)の恋人だった。  照男は妻子のもとを離れた後、ゲイバー「卑弥呼」の二代目を継いだが、今は神奈川県大浦海岸近くにゲイのための老人ホームを創設、その館長を務めているらしい。春彦は、その父が癌で余命幾ばくもないと言い、ホームを手伝わないかと誘う。父を嫌い、その存在さえも否定して生きてきた沙織だが、破格の日給と遺産をちらつかされて、 老人ホームの手伝いに行くことを決意する。
 翌日曜の朝、沙織はおそるおそる老人ホーム「メゾン・ド・ヒミコ」の門をくぐった。西欧のリゾート風プチ・ホテルを改装した建物には、個性的な住人ばかり。みんな明るく賑やかに沙織を迎え入れてくれるが、実の父・卑弥呼は娘との予期せぬ再会に戸惑い、沙織はその場所すべてに嫌悪感 を抱くのだった。  日曜日ごとに沙織はホームへ出向く。最初は奇妙な住人たちと距離を保っていたが、彼らの底抜けに明るい日常とその裏側に隠された孤独感や悩みを知り、少しずつ心を許すようになる。しかし、平穏な日々には少しずつ翳りが見えはじめていたのだった――。
スタッフ
キャスト
監督:犬童一心
脚本:渡辺あや
音楽:細野晴臣

プロデューサー:久保田修/小川真司
撮影:蔦井孝洋
美術:磯田典宏
照明:疋田ヨシタケ
録音:志満順一
編集:阿部亙英
衣装:北村道子
助監督:池上純哉
音楽プロデューサー:安井輝

製作:「メゾン・ド・ヒミコ」製作委員会 アスミック・エースエンタテインメント/IMJエンタテインメント/日本テレビ放送網/S・D・P/カルチュア・パブリッシャーズ
配給:アスミック・エース
春彦:オダギリジョー
沙織:柴咲コウ
卑弥呼:田中泯

細川専務:西島秀俊
ルビイ:歌澤寅右衛門
山崎:青山吉良
政木:柳澤愼一
高尾:井上博一
木嶋:森山潤久
キクエ:洋ちゃん
チャービー:村上大樹
半田:高橋昌也
ダンスホールの中年男:大河内浩
若い男:中村靖日
エリナ:村石千春
昌子:久保麻衣子
淳也:田辺季正

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