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同じ月を見ている

11月19日(土)、全国ロードショー

2005年/日本/106分
イントロダクション
 「編集王」「俺節」等、熱く鋭い漫画を世に送りだしている奇才・土田世紀のコミック「同じ月を見ている」(小学館・ヤングサンデーコミックス)は、文化庁メディア芸術祭優秀賞を受賞した傑作。この原作を、2年ぶりの映画主演復帰第1作として、窪塚洋介が数あるシナリオ候補から選び抜き、その映像化を実現させた。
 原作と異なり、主人公を真面目さゆえに自分の弱さと向き合えない青年・鉄矢に据え、過去との葛藤に苦しみながらやがて本当の愛に触れ目覚めていくさまを、窪塚が透徹した名演で魅せている。原作では主人公であった無垢な優しさで人の心を温めていくドンには『インファナル・アフェア』シリーズで香港映画界の若手No.1の座を確立し、『頭文字<イニシャル>D』(9月公開)、『ベルベット・レイン』(10月公開)と出演作が目白押しのエディソン・チャン。鉄矢の愛情とドンへの想いに揺れるエミを、つかこうへい氏に見い出され、明治座史上最年少座長を務め女優デビューを華々しく飾った黒木メイサ。ドンとの出会いで自分自身を見つめ直し人間性を取り戻してゆく金子に個性派俳優の山本太郎。個性豊かなキャスト陣が、観るものを切なく優しく包み込んでいく。
 音楽は、韓国ドラマ「冬のソナタ」に自身作曲の「deep sea」を提供し話題となった藤原いくろうが担当。そして主題歌は、久保田利伸がこの映画のために書き下ろしたバラードで愛の強さを歌い上げ、感動的なクライマックスに華を添えている。
 監督には、『バトル・ロワイアルII 【鎮魂歌】』で父・深作欣二の遺志を継ぎ、作品を完成に導いた深作健太。脚本は『Laundry(ランドリー)』の森淳一。撮影は『北の零年』などの北信康。繊細な感情の起伏を、叙情的な映像で優し紡いでいく。
ストーリー
 10歳の時に出会った恋人・エミ(黒木メイサ)の心臓病を自分の手で治したい一心で、医者の道を歩む青年・熊川鉄矢(窪塚洋介)。医者になり、エミと結婚するという、幼いころから抱き続けた夢の実現を目前に控えた彼の元にある知らせが届く。
 それは、もうひとりの幼なじみ・ドン(エディソン・チャン)が刑務所を脱走したという知らせだった。7年前、エミの父親の命を奪った山火事事件。ドンは、その犯人として服役していたのだ。
 鉄矢の心に、暗い影がよみがえってくる。人の心を絵に描き出して、人に安らぎを与えるドンの不思議な力。幼心に、自分にはない力を秘めるドンを畏怖していた鉄矢は、ドンの出現によって、今の安らかな日々が壊されるのではないかと激しい不安に苛まれる。
 ドンは一枚の絵を届けるために、エミの元へと向かっていた。その途中で、ヤクザの金子(山本太郎)と出会う。ドンと出会い、後悔だらけのくたびれた心を洗い、再び人生の意味に目覚めてゆく金子。金子の協力を得て、エミの住むマンションに辿り着いたドンだが、鉄矢にエミとの再会を遮られてしまう。
 鉄矢の変化に気づき、エミの心も揺れていた。近くに居る鉄矢を遠く、遠くに在るドンを身近に感じるエミ。ふたりの心の揺らめきを感じたかのように、再び姿を消すドン……。
 自分の弱さとの対峙に苦しみながらも、ようやくドンの果てしない優しさを受け容れた鉄矢は、金子からの連絡を受け、ドンに会いに行くことを決心する。ドンの元に向かう車中で、鉄矢は7年前の事件の犯人が自分だとエミに打ち明ける。そして自分自身を受け容れることにより、鉄矢の人生は息をふきかえす。それは真の意味での、安らかな日々の始まりとなるはずだった。
 しかしふたりを待ち受けていたのは、7年前の夜を彷彿とさせるような山火事だった。少年の命を助けるため、ためらうことなく火の中に入ってゆくドン。鉄矢もまた、かつての悪夢を振り払うかのごとく、ドンを追って、火の中に飛び込んでゆく……。
スタッフ
キャスト
製作:黒澤満
企画:遠藤茂行

原作:土田世紀(小学館 ヤングサンデーコミックス)
脚本:森淳一
監督:深作健太

撮影:北信康(J.S.C.)
照明:渡辺三雄
美術:新田隆之
録音:林大輔

配給:東映
熊川鉄矢:窪塚洋介
水代元(ドン):エディソン・チャン
杉山エミ:黒木メイサ
金子優作:山本太郎
中田:松尾スズキ
東谷:岸田今日子

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