fjmovie.com
関連リンク
公式サイト
関連記事
初日舞台あいさつの模様
トップページ
アダン

2006年5月20日(土)より、東京都写真美術館ホールにてロードショー

2005年/ヨーロピアンビスタサイズ/ドルビーSR/2時間19分
イントロダクション
 幼少の頃から絵の天才として期待されながら、画壇から遥か遠くに身を置き、信じる道をひたすら突き進んだ孤高の日本画家・田中一村。昭和33年、50歳で奄美大島に渡った一村は、極彩色の自然に包まれて、画家として最高の、最後の1枚を描こうとする…。
 映画『アダン』は、芸術との壮絶な闘いに魂をかけた彼の半生を描いた感動の物語。富や名誉を追い求めるのではなく、ただ真摯に、いのちをかけて絵を描くこと。己を極限までそぎおとしたその執念が、この映画にはほとばしる。絵を描くために生まれ、絵を描くときだけが幸福だったひとりの人間の生き方とは――。一村の夢を支え続けた姉との深い姉弟愛や、日本画壇との確執といった背景も加味しながら、重層なフィクション映画に仕上げた本作は、田中一村の精神世界をより深く掘り下げている。
 異端の画家・一村を演じたのは、自らも画家として活躍する榎木孝明。『HAZAN』でも実在した陶芸家を演じて高い評価を受けた彼が、今回も孤高の人の画魂がのりうつったかのような熱演を見せる。そして周囲から孤立する彼の芸術性を信じ続け、一生を捧げた美しき姉・喜美子に古手川祐子。一村の恋人にも、母にも似た存在であり、心の友であった喜美子のひたむきな姿を見せる。
 姉弟に関係して登場するのは、日本映画界の名優たち。一村を認めつつも公募展で落選させる日本映画界の巨匠に中村嘉葎雄、美術学校の同期生で彼の才能を評価し、陰ながら援助しようとする画家に村田雄浩、一村が心を許していた病院長には加藤剛。そのほか、犬塚弘、不破万作、笹野高史、吉満涼太といった個性派俳優が脇を固める。また一村の幻影として現れる野生の少女アダンには、オーディションで選ばれた新人・木村文乃が挑んだ。  監督は『HAZAN』や『地雷を踏んだらサヨウナラ』などで、実在した人物を鮮やかに描いてきた五十嵐匠。脚本を手掛けたのは、ベテラン脚本家であり監督でもある松山善三。プロデューサーは映画製作のほか、テレビ・ラジオの演出・製作を手掛ける水野清。撮影は、記録・ドキュメンタリー映画で定評のある『SAWADA』の堀田泰寛が担当し、迫力ある映像に仕上げた。
 映画は、一村生誕の地・栃木と終焉の地・奄美大島で撮影された。一村が絵の題材にし、彼の秘めた情熱そのものいった原初の自然が本作でも堪能できる。
 アダンとは、南の国特産の植物でパイナップルのような大きな果実を実らせ、一村が好んだモチーフ。そしてこの映画のタイトルは、アダンのような生命力をたたえた奄美の少女の名前である。
 2003年に日本復帰50周年を迎えた奄美大島には、本土より沖縄の文化の影響が強く、本作でも三線、島唄が流れ、独特の文化が残ることを感じさせる。
 『アダン』は、2005年6月に奄美大島で先行上映され、10月の東京国際映画祭では“日本映画・ある視点部門”で上映されている。
ストーリー
 雷がとどろき、激しく叩きつける風と雨。突風に今にも崩れそうなあばら家。その板間の画室に転がるたくさんのビンや絵皿、そしてピカソの画集。画室に少女アダンの後ろ姿。泣いている少女がじっと見つめる目の先にあるのは、見事な絵「アダンの木」……。南海の島・奄美大島で69年の生涯を終えた田中一村の死で物語は始まる。
 昭和22年、田中孝一=一村(榎木孝明)39才。その日の米にもこと欠くような日々の中、一心不乱に絵に打ち込む一村。そしてその一村の才能を信じ、姉・喜美子(古手川祐子)は一村を支え続けるのだった。
 一村は、初めて公募展に出品した「白い花」が入選し、引き続き第十五回北斗展に戦後日本の夜明けを象徴する自信作「秋晴れ」を出品するが落選。審査会場で主催の山上北斗(中村嘉葎雄)に落選の理由が知りたいと激しく詰め寄った。仲裁に入った美術学校の同期・荒木泰雲(村田雄浩)が頭を下げろと進言するが、一村は一蹴する。  その後、院展、日展などの公募展に出品するが、ことごとく落選を繰り返す。一村の才能を認める荒木は、喜美子に一村を説得するよう提案し、画商(犬塚弘)を紹介するが、一村は「絵を売るのは魂を売るようなものだ」と、自分の絵を見せさえしない。師を持たず、画商を寄せ付けず、画壇に取り入ることもせず、超然とした態度でひたすら求道者のように絵を描く一村。ときに軍鶏を描こうとする一村の目は、闘う軍鶏の目にさえなっていた。
 時が流れ、40代になっても世に認められず、もう自分に残された時間がないことをひしひしと感じていた一村は、一大決心をする。姉・喜美子と別れ、生涯最高の絵を描くため奄美大島に渡ることを。一村、すでに50才であった――。
スタッフ
キャスト
総指揮:吉田嘉明
総合プロデューサー:水野清
脚本:松山善三
監督:五十嵐匠
題字:島宮暁秀
撮影監督:堀田泰寛(J.S.C)
美術監督:藤原慎二
助監督:川口浩史
照明:山川英明
装飾:田辺丈二
録音:堀内戦治
編集:宮島竜治
音楽:安川午朗
制作主任:刈屋真
製作担当:米村栄子

製作:映画「アダン」を作る会/株式会社DHC
宣伝協力:レゾナント・コミュニケーション
配給:東京テアトル株式会社
田中一村:榎木孝明

田中喜美子:古手川祐子

アダン:木村文乃(新人)

荒木泰雲:村田雄浩

住友先生:加藤剛(友情出演)

山上北斗:中村嘉葎雄

画商:犬塚弘
和光園園長:不破万作
織物工場長:笹野高史
宮崎鐡太郎:吉満涼太

サイト内の画像・文章の転載はご遠慮ください fjmovie.com トップページ 作品情報一覧