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50代を迎え、仕事も過程も順調。幸せに満ちた暮らしを送る主人公・佐伯雅行は、ある日「病」の宣告を受ける…。病に苦悩する雅行を演じるのは、ハリウッド作品への出演が続く渡辺謙。渡辺自身が原作を読んで映画化を望み、邦画での初主演作となるとともに、製作にも名を連ねている。雅行を懸命に支える妻・枝実子には樋口可南子。そして坂口憲二、吹石一恵、水川あさみ、木梨憲武、及川光博、香川照之、大滝秀治といった多彩なキャストが顔を揃えた。
原作は第18回山本周五郎賞を受賞し、2005年本屋大賞の第2位に輝く荻原浩の傑作長編『明日の記憶』(光文社刊)。重いテーマの中に心和ませる上質なユーモアを織り込み、喪失を乗り越えていく夫婦の情愛を、映像化するのは、『トリック』『ケイゾク』『池袋ウエストゲートパーク』を手がけ、本作で新境地を切り拓く才人・堤幸彦監督。
映画『明日の記憶』は「人を愛するとは。」「共に生きるとは。」という人間の愛の本質に真っすぐに斬りこみ、根源的な問いを投げかける。深いドラマ性と卓越したストーリーが多彩なキャストの熱演で美しく綴られ、涙あふれる物語として2006年初夏、一生胸に残る感動を紡ぎだす。
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広告代理店に勤める佐伯雅行は、今年50歳になる。ありふれてはいるが穏やかな幸せに満ちていた。そんな彼を突然襲う〈若年性アルツハイマー病〉。「どうして俺がこんな目に……なんで、俺なんだ!!」。こぼれ落ちる記憶を必死に繋ぎ止めようとあらゆる事柄をメモに取り、闘い始める佐伯。毎日会社で会う仕事仲間の顔が、通い慣れた取引先の場所が……思い出せない……知っているはずの街が、突然”見知らぬ風景“に変わっていく。夫を懸命に受け止め、慈しみ、いたわる妻。彼女は共に病と闘い、来るべき時が来るまで彼の妻であり続けようと心に決める。「お前は平気なのか? 俺が俺じゃなくなってしまっても」。一緒に積み重ねてきた人生をいつか忘れてしまうのだ。ひりつく想いでそう訊く夫に、彼女は静かに答える。「私がいます。私が、ずっと、そばにいます。」そして、幾度もの夏が訪れる……。〈記憶〉を喪失しても、なお忘れなかったものが、いつも美しい夕映えの空気に映えていた。
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