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博士の愛した数式

2006年1月21日(土)より、渋谷東急ほか全国松竹、東急系にてロードショー

2005年/カラー/ドルビー・デジタル/ビスタサイズ
イントロダクション
 不慮の交通事故で、天才数学者の博士は記憶がたった80分しかもたない。何を喋っていいか混乱した時、言葉の代わりに数字を持ち出す。それが、他人と話すために博士が編み出した方法だった。その博士のもとで働くことになった家政婦の杏子と、幼い頃から母親とふたりで生きてきた10歳の息子。母子は、純粋に数学を愛する博士に魅せられ、次第に、数式の中に秘められた、美しい言葉の意味を知る――。
 本屋さんが選ぶ第一回本屋大賞、第55回読売文学賞を見事受賞した芥川賞作家・小川洋子の大ベストセラー「博士の愛した数式」が待望の映画化を果たした。
 監督は初監督作品の『雨あがる』が2001年第24回日本アカデミー賞最優秀賞主要8部門受賞、第56回ヴェネチア映画祭、緑の獅子賞受賞と世界中で高い評価を受けている小泉堯史。音楽は『大河の一滴』やNHKのドキュメンタリー番組、フジテレビ「白い巨塔」などを手掛けた加古隆が担当。小泉作品には『阿弥陀堂だより』に続き2度目の参加となる。今回はソプラノとして、あのパバロッティとの競演も務める森麻季がその透明で厚みのある声を響かせる。撮影は『雨あがる』で日本アカデミー賞最優秀撮影賞を受賞した上田正治、録音に『八月の狂詩曲』で最優秀録音賞を受賞の紅谷愃一、照明を『カンゾー先生』で最優秀照明賞を受賞した山川英明、衣装アドバイザーに黒澤和子と、小泉監督作品には絶対不可欠のベテランスタッフが顔を揃えた。
 80分しか記憶がもたない博士を演じるのは、『雨あがる』『阿弥陀堂だより』に引き続き小泉作品主演3本目となる寺尾聰。2度の日本アカデミー賞最優秀主演男優賞(第24回『雨あがる』、第28回『半落ち』)の栄冠に輝く実力に裏付けられた圧倒的な存在感と演技力は、今まさに日本を代表する俳優のひとり。博士の家で働くことになる家政婦・杏子役には『阿修羅のごとく』で第27回日本アカデミー賞最優秀助演女優賞を受賞した深津絵里。その透明感のある爽やかな演技が本作に新鮮な風を吹き込んでいる。博士に“ルート”と呼ばれる杏子の息子役には、初々しい演技が光る映画初出演の齋藤隆成。物語を推し進める重要な役柄、大人になったルートを演じるのは『ALWAYS 三丁目の夕日』『隠し剣 鬼の爪』の吉岡秀隆。小泉作品には3作品連続の出演、欠かせない存在である。そして、博士の義姉である未亡人には『四十七人の刺客』『木曜組曲』の浅丘ルリ子。本作が実に154本目の出演作となる。俳優陣の静謐ながら堂々たる演技がこの作品を確かなものにし、胸を打つ。
 数式という一見小難しく思われるものから溢れる美しく温かい愛。そして、日本人が本来持っている「美しさ」「清らかさ」。「今」という時間の喜びと、心に生き続ける大切な人の存在――。本物の映画として全ての日本人に観て欲しい、永遠に心に刻まれる日本映画が誕生した。
ストーリー
 ある日、若いシングルマザーの家政婦・杏子(深津絵里)は、ここ数年間で担当が9人も替わったという顧客を紹介される。面接のために派遣先の家を訪れた彼女を迎えたのは、上品な身なりの婦人(浅丘ルリ子)だった。未亡人である彼女は、世話をするのは離れに暮らす義弟であること、離れの問題は決して母屋に持ち込まないこと、そして、義弟は事故で記憶が80分しかもたないことを説明した。
 働き始めの日、玄関に現れた博士(寺尾聰)が家政婦に一番に尋ねたのは、名前ではなく靴のサイズだった。「君の靴のサイズはいくつかね」「24です」「ほお、実に潔い数字だ。4の階乗だ」。その日からふたりは毎朝、玄関で数字の会話を繰り返すこととなった。80分で記憶の消えてしまう博士にとって、家政婦は常に初対面の相手だった。博士は、何を喋っていいか混乱した時、言葉の代わりに数字を用いた。それが他人と交流するために、彼が編み出した方法だった。博士の口からでてくる数式は、一見小難しいと思われがちな数字の印象とは全く異なった、温かくて美しい──ワクワクした驚きと、キラキラした発見に胸躍らされるものばかりだった。
 ふとした会話から家政婦に10歳の息子(齋藤隆成)がおり、いつもひとりで留守番していることを知った博士は、息子にも離れに来させるよう杏子に約束させる。博士は息子をルートと呼び、離れには笑いが絶えないようになった。ある日、博士は杏子とともにルートの野球の応援に行くが、炎天下での応援のためか、熱を出して寝込んでしまう。家政婦の規則を破り、杏子とルートは泊りがけで博士の看病をする。
 数日後、杏子は規則を破ったことを理由に解雇を言い渡される。新たな派遣先で働きながら、生活の中に溢れる数字に博士を思い出す杏子。そして彼女の元に1本の電話が入る。それは、あの未亡人からだった――。
スタッフ
キャスト
監督・脚本:小泉堯史
原作:小川洋子(「博士の愛した数式」新潮社刊)

撮影:上田正治/北澤弘之
音楽:加古隆
ソプラノ:森麻季
美術:酒井賢
照明:山川英明
録音:紅谷愃一
編集:阿賀英登
衣裳コーディネーター:黒澤和子
音響効果:斎藤昌利
装飾:柴田博英

製作プロダクション:アスミック・エース エンタテインメント
製作:「博士の愛した数式」製作委員会 (アスミック・エース エンタテインメント/博報堂DYメディアパートナーズ/IMAGICA/住友商事/東急レクリエーション/新潮社)
配給:アスミック・エース
博士:寺尾聰
杏子:深津絵里
ルート:齋藤隆成
先生(ルート):吉岡秀隆
未亡人:浅丘ルリ子

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