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「あなたよ。幸せになれ」
ザ・ブルーハーツの名曲「ラブレター」から、切ない、青春ラブストーリーが誕生しました。
互いを思う気持ちを押し殺し、別々の道を歩む決意をする良太と由衣。挿入歌として流れる「ラブレター」は、ふたりの思いと重なり合い、観る者の心に切なく響きます。
孤独を抱える青年・良太を演じるのはTBSのテレビドラマ「夜王」、『あずみ』『あずみ2』の石垣佑磨。映画、ドラマだけでなく、スポーツバラエティ番組「ジャンク SPORTS」(CX)のMCとしてレギュラー出演と、幅広く活躍し、最も期待される若手俳優のひとり。本作では、中途半端にしか生きられない、人生に、恋に、葛藤する青年を見事に演じきっています。確固とした意志を持ちながら、恋と家族に悩む女子高生・由衣を演じるのは、『スウィングガールズ』、NHK朝の連続テレビ小説「ファイト」のヒロインで一躍国民的女優となった本仮屋ユイカ。その安定した演技力で同年代の女優の中では群を抜く存在です。さらに、グラビアから女優へと活動の幅を広げ、深夜番組「うまッチ!」「69★TRIBE」(CX)で人気の工藤里紗、確実な演技と存在感でいまや日本映画に欠かすことのできない田口トモロヲ、寺島進など、魅力的なキャストが脇を固めます。
メガホンをとったのは、『ICHI−イチ−』(03)、『カミナリ走ル夏』(03)、『イツカ波ノ彼方ニ』(05)に続き、青春映画が真骨頂になりつつある丹野雅仁監督。10代後半に抱く、苦く切なくも美しい世界は、すでに大人になった誰もが一度は通ってきた道。丹野監督の繊細な演出は、私たちの忘れかけていたある記憶を、一瞬にして手繰り寄せてくるはずです。
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鳴り響くギター、弾けるようにジャンプするボーカル、ステージ上から客を挑発するザ・サリンジャー。由衣(本仮屋ユイカ)にとって生まれてはじめてのライブハウス。激しいビートに戸惑いつつもライブを楽しんでいる中、「火だ!」と声が上がった。楽屋口から上がる白い煙にライブハウスが混乱に陥る中、由衣の手を引いて連れ出してくれたのは、良太(石垣佑磨)だった。
良太は、本気でやりたいことも見つからず、中途半端な生活を送っている。小さな配管業を営む父親(寺島進)の手伝いもせず、仕事を巡って父親とケンカし、殴られる毎日。バンドを組んではいるが、ギターを弾くことすらできない。ほかの安くないスタジオ代を工面するため頑張っている。同年代の友達は結婚し、自立していく中、自分はどうしていいかわからない。
一方、脚の不自由な母を持つ由衣(本仮屋ユイカ)は、人の役に立つ仕事に就くため、東京の大学で福祉を学ぼうと考えていた。大学の見学のため、従姉妹のエリカ(工藤里紗)を頼って上京した由衣は、大好きなバンド、ザ・サリンジャーのライブを見るためライブハウスに足を運び、良太と出会った。お互い惹かれるものを感じたふたりは再会を約束する。
ある日、良太はバンドのメンバーからやる気のなさを指摘され諍いを起こし、バンドを辞めてしまう。さらに仕事をさぼったことを怒る父親を殴ってしまい、家を飛び出す。良太は馴染みのライブハウスに向かうが、苛立ちを抑えることができないまま店長(奥野敦士)に当り散らし、店への出入りを禁止されてしまう。帰る場所も友達もなくしライブハウスを出る良太。なんとそこには、実家に帰ったはずの由衣がいた。娘を心配する父親(田口トモロヲ)が東京の大学への進学を反対、子ども扱いされ真剣に考えた進路を認めてもらえない歯痒さから、由衣もまた、家を飛び出してきたのだった。
孤独を抱え葛藤する青年と、進路に悩む女子高生。ともに行き場をなくしたふたりは、安ホテルで先の見えない不安を分かち合う。互いを思いやるうちに芽生える恋心。しかし、所持金も底をつき、ふたりの間に変化が訪れる。自分にとってなにが一番必要で、なにが一番大事なのか――。切ない思いを胸に抱き、ふたりはある決断をする。
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