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4ヵ月前から、日曜日にお散歩してきた男女。恋人ではない。恋人ではないのにどうして? お互いの想い。男女の気持ちが交錯する――。
ナタリーワイズの斉藤哲也によるリリシズム溢れる音楽と、映像作家・飯野歩の手持ちカメラで切り取られた、男女ふたりのリアルな表情と風景が、誰もが感じたことのある<せつない想い>を映し出す。キラキラした夏の一日をぎゅっと詰め込んだ宝箱のような、奇跡の映画が誕生した。
監督は松田彰。1997年に『餓鬼の季節』がPFF審査員特別賞を受賞。その後も16ミリ長編作品『夢の祭』や、短編オムニバス映画『Born in the 5』を企画するなど精力的に活動を続けてきた俊英である。
出演に、平田オリザの主催する「青年団」に所属し、パフォーマンスアーティストとしても活動してきた村田牧子。そしてドキュメンタリー映画『えてがみ』の被写体としてその個性的な魅力が話題となった絵てがみ作家・鍋島晋一が独特のキャラクターを本作でも発揮している。
本作は松田監督のアイディアで、出演者それぞれがキャラクター設定とセリフを別々に渡され、その場でメソッドのようにして作り上げられた。またインタビューによってふたりの内面を言葉にしながら進行し、徐々にふたりの関係性が立体的に見えてくる構成も秀逸である。
今回は『Born in the 5』で松田監督自身が監督し、村田牧子が主演をつとめたハートウォーミングコメディ『冬の幽霊』との同時上映となる。
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とある夏の日、オトコがオンナの部屋を訪ねる。1週間ぶりに会う彼と彼女は、散歩に出かけた。彼女の名前は小春。小春は彼のことを「ナベ」と呼び捨てで呼ぶ。
夏の日差しを受け歩くふたり。延々と続く他愛ない会話。とりとめのない話。近くて遠い微妙な距離感。友達以上、恋人未満。実は4ヵ月前、初めてふたりが出会った日、なりゆきでそういう関係になった。でもそれ以来、休日に散歩するだけの関係。
散歩する中で見つけた、アパートの外に置かれたシーサー。フラメンコ研究所。ネコ。井戸。冷たい水。トトロが出てきそうな林。とんぼ。カラスの鳴き声。まぶしすぎる夏の日差し。そしてたどり着いた神社。
小春が本当は自分をどう思っているのか、ナベは知りたい。小春にとってナベは、子供みたいに落ち着きがなくて、弟みたいだけど気になる存在。でもわからない。どうしていいかわからない。
飲み物を買って神社に戻ってきたナベ。真剣に小春を探す彼の姿を見て、小春はふと境内の祠に身を隠す。ささいなケンカ。小春の涙。ふたりは恋人になれるのでしょうか?
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