2007年、会社をクビになった賢三(大森南朋)は、東京郊外の実家へと戻ってきた。賢三は実家に届いていた自分宛の手紙の束の中に、高校時代の同級生・山口美甘子からの手紙を見つける。その手紙には一行だけ「あなたのせいなのだから」と書かれていた。その意味がわからず戸惑う賢三は、高校の同級生・カワボン(マギー)に電話をかける。そして知らされたのは、美甘子が1年前に世を去っていたという事実だった。賢三は美甘子の面影とともに、冴えなかった21年前の高校生時代を思い出す――。
高校2年生の賢三(石田卓也)は、親友のカワボン(森岡龍)、タクオ(金井勇太)とともに、悶々とした日々を送っていた。夜な夜な3人で集まっては酒を飲み、アンダーグラウンドなロックを聴く。くだらない話題で盛り上がっているクラスの連中を尻目に、「俺たちはヤツらとは違う」と思いながら、結局のところ、何をやればいいのかわからない。
ある日、趣味の名画座めぐりをしていた賢三は、映画館のロビーで同じクラスの美甘子(黒川芽以)を見かける。以前から美甘子に憧れていた賢三は、しどろもどろになりながらもなんとか彼女と会話を交わす。学校ではクラスの連中と楽しそうにしている美甘子。でも、もしかしたら彼女は自分と同じ側の人間なのでは? 賢三はそんな漠然とした思いを抱きはじめる。
そして、相変わらず夜な夜な酒を飲む賢三たちだったが、通販で買ったノイズバンドのビデオを観て、いつもと違う感情にとらわれる。「俺たちも……」「やるか、バンド!」と、周囲のやつらを見返してやろうとバンド結成を決意。雑誌のメンバー募集に応募してきた山之上(柄本佑)も加わり、初ライブに向けて始動する。
一方、名画座で再び美甘子と出会った賢三は、マニアックな映画談義で彼女とすっかり意気投合し、さらに美甘子への想いを深くするのだったが――。
グミ・チョコレート・パイン
監督:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出演:石田卓也 黒川芽以 大森南朋 ほか
2007年12月テアトル新宿、2008年新春テアトル梅田ほか、全国順次ロードショー
2007年/カラー/ビスタサイズ/ドルビーSR/127分
周りの連中はくだらないヤツらばかり。俺はあいつらとは違う。でも、いったい何をやればいい? ――“自分には人と違う何かがあるはず!”と思いながらも、悶々とした日々を過ごす高校生たちの恋と友情を描いた青春巨編『グミ・チョコレート・パイン』がついに映画化を果たした!
ロックバンド・特撮や、昨年復活を遂げた筋肉少女帯で活躍する大槻ケンヂによる原作小説は、1993年の発刊以来“青春のバイブル”として熱狂的な支持を集めている。原作者大槻ケンヂの指名を受けて映画化に挑んだのは、劇団ナイロン100%を主宰する劇作家・演出家であり、映画『1980』(2003年)やテレビドラマ「時効警察」シリーズなど映像作品の監督でも高い評価を得るケラリーノ・サンドロヴィッチ。1980年代はじめ、ケラリーノ・サンドロヴィッチはミュージシャン・KERAとしてバンド・有頂天を率い、ナゴム・レコードを設立して当時のインディーズシーンを牽引してきた。そのナゴム・レコードに所属していたのが大槻ケンヂの筋肉少女帯。80年代にそのキャリアをスタートさせたふたりが、原作者と監督として、彼らにしか描けない“あの時代”を作品として結晶させた。
さらに、主題歌はなんと電気グルーヴが約8年ぶりとなるシングルを本作のために書き下ろした。電気グルーヴの前身である“人生”もやはりナゴムに所属していた。約20年のときを経て、当時のナゴム・レコード人気の3アーティストが形を変えて共演を果たす。
主人公・賢三を演じるのは『蝉しぐれ』(2005年)や『時をかける少女』(2006年・声の出演)で注目される期待の若手俳優・石田卓也。“カッコ悪い男子高校生”を演じるため、体重を8kg増やして撮影に臨んだ。そして賢三が憧れる女子生徒・美甘子(みかこ)を演じるのは、「ケータイ刑事 銭形泪」(2004年)で脚光を浴びた黒川芽以。抜群の演技力で常に賢三の先を行くヒロインを好演する。さらに、21年後の賢三を大森南朋、賢三とバンドを組む仲間たちには金井勇太、森岡龍、柄本佑など、現在の日本映画界に欠かせない顔ぶれが揃った。
『ビーバップ・ハイスクール』みたいなケンカもなければ、『ウォーターボーイズ』みたいに泳いだりもしない。でも観終わるとなぜか心が熱くなる、ツッパっていない若者たちの青春映画が、ここに完成した。
- 大橋賢三:石田卓也
- 山口美甘子:黒川芽以
- 山之上和豊:柄本佑
- タクオ=小久保多久夫:金井勇太
- カワボン=川本真也:森岡龍
- 賢三の母:高橋ひとみ
- 賢三の父:山崎一
- ジャイガー:犬山イヌコ
- バイラス:山西惇
- 隣のアパートの住人:みのすけ
- タクオの母:峯村リエ
- タクオの父:浅野和之
- 女教師:中越典子
- 賢三の父の友人:竹中直人
- カメラ屋:鈴木慶一
- レコード店店員:田中哲司
- 巡査:林和義
- 理科教師:山本剛史
- 窓口の女:内田春菊
- 丹波風の男:ピエール瀧
- AV男優:峯田和伸
- 2007年のカワボン:マギー
- 2007年のタクオ:甲本雅裕
- 2007年の賢三:大森南朋
- 脚本・監督:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
- 原作:大槻ケンヂ「グミ・チョコレート・パイン」(角川文庫刊)
- テーマ曲:電気グルーヴ「少年ヤング」(Ki/oon Records)
- 製作総指揮:谷口則之
- エグゼクティブプロデューサー:小木曽仁/伊藤泰造
- プロデューサー:岩下英雅/李柱勲/杉山剛
- 企画:吉村知範
- 撮影:小澤公則
- 照明:大賀章雄
- 録音:中村雅光
- 美術:長谷川晃子
- 装飾:尾関龍生
- 音楽:ゲイリー芦屋
- 編集:斉藤和彦
- VE:角本輝夫
- 助監督:窪田祐介
- 制作担当:大沢忠生
- コミックス版:「グミ・チョコレート・パイン」(講談社漫画文庫)作画:佐佐木勝彦&清水沢
- 製作:CCRE/パラレル/ソニー・ミュージックエンタテインメント
- 助成:芸術文化振興基金
- 配給:東京テアトル
- 宣伝:メディアボックス