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作品スチール

人が人を愛することのどうしようもなさ

監督:石井隆
出演:喜多嶋舞 津田寛治 永島敏行 美景(みかげ) 竹中直人 ほか

2007年9月8日(土)より、銀座シネパトス、シネマート新宿ほか全国ロードショー

イントロダクション

作品スチール

 日本映画界の異端児・石井隆がついにその沈黙を破る。待望の新作の名は『人が人を愛することのどうしようもなさ』。『天使のはらわた』以来、彼が描き続けてきた“名美”シリーズのまさに頂点に立とうかという、ねじれた男女の愛憎劇だ。石井ワールド究極のヒロイン・名美の継承者として指名を受けたのは『GONIN2』の女優・喜多嶋舞。前作を超える極限のエロスを映像に噴出させようとしていた石井隆は、喜多嶋舞を想定して初稿を書き、熱烈なラブコールを彼女に送る。
 都会の闇と男の欲望にまみれどこまでも堕ちていく女…。これまで石井隆が描いてきた“名美”の世界は、女優・喜多嶋舞の出現によりさらに凄絶なものとなっていく。深夜の山手線の車中、座席で大きく脚を広げ毒々しくけばけばしく化粧をする。廃墟の病院で乳房を揉まれながら、背後から強引に貫かれる。あるいは両足首を椅子の脚にコードで縛り付けられ、男たちの電気拷問責めに遭う…。並の女優なら、聞いただけですくんでしまいそうなこのプロット。だが喜多嶋舞は決して臆することがない。それはいままで平穏だった自身の日常への反乱か? それとも、自らも石井隆の大ファンで、その新作を観るのが至上の喜びだったと言う彼女の女優魂か? 石井隆の設けたハードルが高ければ高いほど、女優・喜多嶋舞はこの狂気の世界に深く身を投じていく。喜多嶋舞は言う。「不健康な映画って観たくない?」。その危険な囁きは“名美”の唇の熱い吐息となって、闇にくすぶる男たちの欲望をざわざわと波立たせる。
 そして強力なキャストが石井監督のもとに集った。映画のキーパーソンとなる岡野役には、いまや日本映画に欠かせない存在であり、石井作品には『GONIN』以来の出演となる津田寛治。名美が破綻してゆくきっかけとなる夫役に『GONIN』『GONIN2』の永島敏行。その不倫相手には新人女優・美景(みかげ)が扮し、大胆なヘアヌードに挑む。ほか、石井監督の世界を愛してやまぬ竹中直人が脇を固める。
 さらに新しい“名美”の出現に立ち会うべく、これまで石井ワールドを支えてきた最高のスタッフが再結集。昼と夜、女の光と闇――その二面性を映像に焼き付ける。盟友であるキャメラマン・佐々木原保志は言う。「フリッツ・ラングか石井隆か、ジュールス・ダッシンか石井隆か」。その答は、ここにある。

ストーリー

 人気女優として活躍する土屋名美(喜多嶋舞)。だが私生活では同じく俳優の夫・洋介(永島敏行)と破局の危機を迎えていた。多忙を極める名美を横目に、下り坂の洋介は若い女優(美景)と浮気。その荒んだ生活は、長いすれ違いで心身ともに蝕まれていた名美をさらに追いつめていった。現在撮影中の新作『レフトアローン』では、洋介が名美の演じるヒロイン・鏡子の夫役として共演。しかも、洋介の浮気相手の女優まで出演するというスキャンダラスなキャスティングがマスコミの注目を集め、マネージャーの岡野(津田寛治)はその対策に忙殺されていた。そんな中、ひとりの編集者・葛城(竹中直人)が名美にインタビューを試みる。
「映画『レフトアローン』―― それは愛のない夫婦生活に絶望した女優・鏡子の切ない物語。俳優である夫の言葉の暴力、そしてたび重なる不倫…。耐えきれず電車に飛び乗った鏡子は車内で自らに下品な化粧をほどこし、ネオンの街角で声をかけてきた男たちに体を売る。それは自分を女として見なくなった夫への復讐か、それとも自分を取りもどすための女としての本能なのか?――」
 劇中の鏡子と自分を重ねるかのように、葛城に映画の解説をする名美。だがそこには……。やがて誰もが想像しなかった衝撃の結末が訪れる。

キャスト

  • 喜多嶋舞
  • 津田寛治
  • 永島敏行

  • 美景(みかげ)
  • 伊藤洋三郎
  • 山口祥行
  • 中山俊
  • 城明男
  • 志水季里子
  • 品川徹

  • 竹中直人

スタッフ

  • 監督・脚本:石井隆

  • 企画:石井徹/松田仁
  • プロデューサー:阿知波孝
  • 撮影:佐々木原保志/寺田緑郎
  • 照明:牛場賢ニ
  • 録音:北村峰晴
  • 美術:山崎輝
  • 音楽:安川午朗
  • 編集:村山勇二
  • 助監督:日暮英典
  • 製作担当:小松功

  • 製作:東映ビデオ株式会社/株式会社オービー企画
  • 製作協力:ファムファタル
  • 配給:東映ビデオ

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