出版社に勤めるリョウは、新しいアパートに引っ越したばかり。面白いこともなくダラダラと日常を過ごしていた。
ある日、リョウは、隣室から漏れる女の声に気付いた。ちょっとした好奇心から、リョウは壁に耳を寄せ、隣室の音に耳をすます…。
電話の声…シャワーの音…そして喘ぎ声…
薄い壁越しに、見たこともない“隣室の女”の生活が漏れ伝わってくる。
ピンクのパジャマに、クマのぬいぐるみ。可愛くてピュアなロリータ系。だけどベッドの上では…。
壁越しの音だけを頼りに、リョウは次第に妄想を膨らませ、ついには想像の中の“隣室の女”に恋心さえ抱き始めていた。
そのころ、隣室の女=皐月は、毎日かかる脅迫電話に悩まされていた。「オマエヲ メチャクチャニ シタイ…」ひとり暮らしの皐月は、唯一の頼りである彼氏の雄太に相談を持ちかけるが、一向に脅迫電話が収まる気配はない。どうすることもできずに、彼女は見えない恐怖から目をそらすかのように、雄太の腕に激しく抱かれるのだった。 そのすべてを、リョウに聴かれていることなど知らないまま…。
一方、リョウは皐月に近付くため、徐々にその行動をエスカレートさせ始める。皐月の名前を調べ、ゴミ袋を漁り、職場を探り当てる。そしてついに、“リアル”な皐月に出会うのだった。偶然を装い何度も皐月の前に現われるリョウ。皐月も徐々にリョウに心を開き始め、ふたりの仲は急速に縮まっていく。
聴かれた女と聴く男、そして、ふたりの間を隔てる薄い壁。 その壁を超えて彼らが出会うとき、それぞれの物語は交錯し、最悪の方向へと一気に動き出すのだった…。
聴かれた女
監督:山本政志
出演:蒼井そら 大野慶太 加藤裕人 ほか
2007年2月10日(土)よりポレポレ東中野にてレイトショー
2006年/カラー/ステレオ/デジタル/84分
目に見えぬ恐怖に怯える“聴かれた女”と、彼女に歪んだ愛情を抱く影、そしてその全てを“聴く男”。哀しく、可笑しく、人間らしい若者の生き様を、ハッとするほどスリリングに描き切る、エロポップ・サスペンスの傑作が誕生した。
主人公・皐月を演じるのは人気No.1セクシー女優・蒼井そら。多くのドラマや映画に出演を重ねながら、そのビジュアルイメージばかりが強調されてきた彼女だが、初めて女優としての本格的な演技に挑戦。ナチュラルな存在感で、その眠れる才能を開花させた。
脚本・監督を手掛けたのは、異才・山本政志。自身が耳にした実話をもとに独特のリアルな人間描写で、観客たちを、まるで自分が実際に皐月=蒼井そらの日常を覗き見、盗聴しているかのような幻覚へと誘う。
誰もが身に覚えのある、情けなくも切実な、若者たちの「日常サイズ」の欲望。ふとしたきっかけで、何気ない日常が絶望に変わる瞬間…。複雑なテーマを、決して難解になることなく、ポップに、リアルに、飽きさせることなく描き切る。
『聴かれた女』は、若者の「いま」を体現する女優・蒼井そらの新たな出発点であり、常に新しさを追求して疾走し続けるロックな映画作家、山本政志の真骨頂だ!
- 杉浦皐月:蒼井そら
- 川瀬リョウ:大野慶太
- 小西雄太:加藤裕人
- サツキ:西野翔
- ユウタ:吉岡睦雄
- 編集長:高井真人人
- ヒデ:小田敬人
- 盗聴屋・大野:山本政志人
- 母・瑞希:鳳ルミ
- プロデューサー:石毛栄典
- 監督・脚本:山本政志
- ラインプロデューサー:笠木望
- 撮影:三栗屋博
- 美術:磯見俊裕
- 録音:永口靖
- 助監督:江利川深夜
- 編集:塚原康太
- 原案:山田文大
- 製作・配給:株式会社トランスフォーマー