29歳の大久保チアキ(エリカ)は、女性誌編集部で働くバリバリのキャリアウーマン。忙しく充実した生活を送っているようだが、彼氏のジュンイチ(水橋研二)と別れて以来、男っ気のない毎日に人知れず孤独と焦りを感じている。
そんなチアキの同い年の親友・伊原マサミ(桃生亜希子)は専業主婦。元はチアキと同じ職場で働いていたが寿退社、バツイチの夫・数彦(斉藤陽一郎)との間に一人娘の風花を授かり幸せな生活を送っているようだが、実は数彦とは1年近くセックスレス。いつも自分より先に寝てしまう夫を横目にビールをあおるという、決して満たされた日々とはいいがたい毎日。
チアキは可愛い風花を見るにつけ、強烈な愛しさと結婚への憧れを感じる。そしてマサミは、もちろん風花を愛しつつも、外で働くチアキに羨望と嫉妬を隠せない。
ある日、このままじゃいけない! と決心したチアキは、同僚の小松(杉山彦々)に命じてイケメン・鹿島(高野八誠)との合コンをセッティングさせる。引き立て役にとマサミも呼び出し意欲満々のチアキだったが、なんと鹿島は彼女同伴。すっかりやさぐれたチアキは勢いで小松とセックスに及ぶが、その小松さえ行為の途中でそそくさと帰っていってしまう。
その後、チアキは失踪してしまい、その代役にと編集部から声をかけられたマサミは仕事に復帰。一方、チアキはなぜか牧場で汗水たらして働く日々。ふたりがそれぞれに探す“女の幸せ”は、どこにある?
コンナオトナノオンナノコ
監督:冨永昌敬
出演:エリカ 桃生亜希子 水橋研二 斉藤陽一郎 ほか
2007年11月10日(土)より池袋シネマ・ロサにてレイトショー
2007年/カラー/16:9/ステレオ/77分
いくつになっても“女の子”でいたい微妙な年頃の女性たち。そんな“オトナノオンナノコ”たちの幸せ探しは、かなり赤裸々で、そして、愛おしい……。
原作は、1989年に「ガロ」で鮮烈なデビューを果たして以降、一貫して女性のリアルな姿を描き続けて、熱狂的な支持を集めるマンガ家・安彦麻理絵の同名コミック。女性の共感をよぶ“女度”満点の作品に映画化に挑んだのは『パビリオン山椒魚』(2006)で日本映画界に衝撃を与えた若き俊英・冨永昌敬。その大胆な作風にはやはり熱狂的なファンも多い。実は映画の企画が持ち上がる以前から友人同士だったというふたりの異色コラボレーションは、原作の持つ女性ならではの感覚を残しつつ、随所に冨永カラーが散りばめられた秀逸な作品を生み出した。
キャストも映画ならではの個性的かつ豪華な面々。主人公・大久保チアキを演じるのは『ワンダフルライフ』(1999)『誰がために』(2005)などのエリカ。もうひとりのヒロイン・伊藤マサミには『Streo Future』(2000)『バウムクーヘン』(2006)などの桃生亜希子。エリカのゴージャスかつタフな存在感と、桃生のガーリーな中に生々しさを秘めた魅力。リアルな“オトナノオンナノコ”を体現すべく、ハードなシーンにも体当たりで挑んだふたりの熱演は必見だ。脇を固める共演陣には、水橋研二、斉藤陽一郎、杉山彦々、高野八誠、河合美智子、津田寛治など、日本映画を牽引する実力派が揃った。さらに、内田也哉子のボーカルユニットSighboatが妖しいムードを秘めた主題歌を担当しているのも話題のひとつだ。
若き異才監督が挑む、オンナなら誰でも共感できるストーリー。切なくてちょっぴり感動的な、新たな傑作の誕生だ。
- エリカ
- 桃生亜希子
- 水橋研二
- 斉藤陽一郎
- 杉山彦々
- 磯野光沙
- 高野八誠
- 戸田昌宏
- 河合美智子
- 津田寛治
- 監督・脚本:冨永昌敬
- 原作:安彦麻理絵「コンナオトナノオンナノコ」(祥伝社フィールコミックス)
- 脚本:佐藤有記/冨永昌敬
- 撮影:月永雄太
- 照明:大庭郭基
- 録音:山本タカアキ
- 美術:仲前智治
- 音楽:渡邊琢磨(COMBOPIANO)
- 主題歌:sighboat「SPACE OUT GIRL」(作詞:内田也哉子 作曲&編曲:渡邊琢磨)
- 製作:トライネットエンタテインメント/ハピネット/アムモ/ソリッドフューチャー
- 配給・宣伝:アムモ
- 配給協力:トライネットエンタテインメント