太平洋戦争末期、富屋食堂を営む鳥濱トメ(岸惠子)は、知覧が特攻基地となったことを知った。トメに会いに来ては飛び立っていく特攻隊員たち。二度と帰らない彼らを引き留めることも出来ず、複雑な思いを胸に秘め、母親代わりとして慈愛の心で彼らを見守り続けていく。悩みながらも軍人としての本分を尽くそうとする中西(徳重聡)は遺品の郵送をトメに託し、仲間に先立たれて死を急ぐ板東(窪塚洋介)は、死んだ後に特攻に志願したことを父親に伝えて欲しいとトメに頼んだ。飛行機の故障で基地に戻って来る田端(筒井道隆)は、トメに「日本は戦争に負ける」とつぶやいた…。やがて終戦。しかし、それで全てが終わったわけではなかった。生き残った特攻隊員は、罪の意識を抱え、生の意味を問い続ける。トメは彼らの試練をもまざまざと目の当たりにすることになったのである…。
俺は、君のためにこそ死ににいく
監督:新城卓
出演:徳重聡 窪塚洋介 筒井道隆 岸惠子 ほか
2007年5月12日(土)より全国東映系ロードショー
昭和19年秋、太平洋戦争で圧倒的劣勢を強いられていた日本軍は、戦闘機に250キロの爆弾を搭載して敵艦に体当たりする特別攻撃隊を編成。本来なら未来を担うべき若者たちの尊い命が多数失われていった。
特攻隊の基地のあった鹿児島県・知覧で軍の指定食堂を切り盛りしていた鳥濱トメさんは、家族と離れて出撃を待つ若者たちに母親のように慕われた人だった。トメさんは、大切な着物をコメや魚に代え出撃前の隊員たちに御馳走し、深夜の飲食は違反だと憲兵になぐられながらも「明日死ぬ人たちじゃないか。私はどうなってもいい」と言ってやめなかった。そして彼女は、人に明かせぬ彼らの悩み悲しみあるいは恐れを聞き取りつづけることになったのである。
製作総指揮は、現・東京都知事であり作家の石原慎太郎。トメさん自身の口から若者たちの真の姿を聞かされた石原氏は、8年前に本作を企画し、自ら脚本を書き上げた。監督は、『オキナワの少年』『秘祭』など自らのルーツである沖縄をテーマに意欲作を撮り続ける新城卓。
特攻隊員役には、徳重聡、窪塚洋介、筒井道隆。鳥濱トメ役には、石原氏の熱烈なラブコールを受けた、女優・岸惠子が扮する。当時のリアリティを再現するため、元隊員らによる軍事教練を100名以上のキャストにおこない、陸軍戦闘機・隼を、当時の設計図を取り寄せ5000万円を投じ実寸大で再現した。3ヵ月に及ぶ長期撮影を敢行。特にクライマックスの特攻シーンでは、記録フィルムの使用を排し、『男たちの大和/YAMATO』の特撮VFXチーム、空撮CGの第一人者ら精鋭スタッフにより、衝撃的な特攻シーンを初めて完全映像化。まもなくその全貌が明らかになる!
- 中西正也:徳重聡
- 板東勝次:窪塚洋介
- 田端紘一:筒井道隆
- 鳥濱トメ:岸惠子
- 製作総指揮・脚本:石原慎太郎
- 監督:新城卓