カーリングの韓国代表選手、イ・ジンイル(キム・スンウ)は大事な試合でチームメイトの助言に耳を貸さず、その結果チームは敗退。チームプレイの精神に欠けた態度から監督に代表落ちを言い渡されたジンイルは、気分転換のため、日本に留学している後輩のパク・ファンソク(飛坂光輝)の元へ向かいます。
一方、2時間ドラマの死体役など、さえないキャリアばかりを積み重ねている女優の木村いづみ(吹石一恵)は、来日中の韓流スター、カン・スヒョン(キム・スンウ=二役)が滞在しているホテルのそばで偶然スヒョンに遭遇! 「素敵な夜、ボクにください」。片言ながら日本語でのムーディーな口説き文句にグッときたいづみは“素敵な夜”を過ごします。目覚めると部屋にスヒョンの姿はなく、残された日本語ガイドには青森行き新幹線のチケットが挟まれていました。青森生まれのいづみは「故郷で待っていろ、迎えに行くから、ということね!」と、喜び勇んで帰郷します。
妹のひかり(関めぐみ)や母親(木野花)に「カン・スヒョンと結婚するの!」と夢見がちに報告するいづみ。そこにスヒョンのファンである幼馴染みの裕子(占部房子)がやって来て「スヒョンが近所の焼肉屋にいる」と報告します。いづみが満面の笑みを浮かべて駆けつけた焼肉屋には“素敵な夜”を過ごした“彼”の姿が! しかし、“彼”の顔をよく見た裕子は、スヒョンの顔にあるホクロがないと指摘。そう、“彼”はカン・スヒョンそっくりのイ・ジンイルだったのです。スヒョンと共演して有名になることを夢見ていたいづみは激怒。「よくも騙したわね!」「そっちが勝手に勘違いしたんだろ!」。揉めるふたりをとりなそうとファンソクが提案します。「有名になりたいんでしょ? カーリングでオリンピックに出れば有名になれますよ」。
その提案を受けたいづみは、ひかりや裕子、幼馴染みで現在は子持ち主婦の聡子(枝元萌)を巻き込み、さらに強引にジンイルをコーチに任命してカーリングチームを結成するのでした。言い出したら止まらないいづみの性格を知っているだけに、最初はしぶしぶと練習に付き合うひかりたちですが、やがてカーリングの魅力に惹かれていきます。そして、練習を通じて少しずつ近づいていくいづみとジンイルの心。
果たして、即席チームは本当にオリンピックに出られるのでしょうか? そしていづみとジンイルの恋の行方は?
素敵な夜、ボクにください
監督:中原俊
出演:吹石一恵 キム・スンウ 占部房子 関めぐみ 枝元萌 ほか
2月24日(土)よりシネマート新宿、シネマート六本木、シネマート心斎橋ほかにて全国順次ロードショー
2007年/日本/カラー/ビスタ/104分
トリノ冬季オリンピックで、日本全国を熱狂させた“チーム青森”。カーリングというそれまであまり馴染みのなかったスポーツ、そして女子アスリートがこの競技に掛ける真剣さには、私たちが今まで出逢ったことのなかった“チャーミングな発見”がありました。あれから季節がめぐり、再びカーリングのシーズンがやってくるころ、この“チャーミングな発見”をギュギュっと凝縮したような映画が誕生します。
主人公・いづみはパッとしない仕事ばかりさせられている女優。そんな彼女が素敵な韓国人男性と一夜をともにしたことから、めぐりめぐってカーリングチームを結成することになります。故郷の青森で妹や幼馴染みを巻き込んでの、即席のスポーツ挑戦。長続きするはずないという周囲の予想をよそに、持ち前のパワフルな前向きさでグングン進んでいくいづみ。やがて仲間たちもなにかに熱中し、自分の行動で道を切り開いていくことに大きな喜びを感じていきます。そこに彼女たちのコーチをすることになった韓国人カーリング選手・ジンイルといづみとの、スムーズにはいかない恋愛模様が重なり、最後にはホッと心温まるような感動が待っています。
多種多様な要素が絡まりあいながらも、はずむようなテンポで進んでいく映画。さえない逆境も楽天主義で乗り越え、周りを本気にさせていくヒロインの魅力。意地っ張りな性格が似ているゆえに、互いに惹かれあいながらもついついすれ違ってしまう日韓男女のラブストーリー。そして、ままならない日常を抱えながらも好奇心という“ささやかだけど、かけがえのない光”だけを頼りに、一歩一歩踏み出す勇気を手に入れていく女性たちのドラマ。そのすべてが“チャーミングな発見”に満ちあふれています。
主演は『雪に願うこと』『紀子の食卓』など、世界的にも話題を呼んだ日本映画に立て続けに出演し、女優として一躍最注目の存在になっている吹石一恵。共演は、ペ・ヨンジュン共演のドラマ「ホテリアー」でブレイクした韓流スターのキム・スンウ。そしてカンヌ映画祭正式出品作『バッシング』主演の占部房子、『ハチミツとクローバー』での好演も記憶に新しい関めぐみ、ユニークな個性で小劇場界を中心に活躍している枝元萌がチームメイトを演じます。
監督は名作『櫻の園』で女の子たちのきらめきを見事にとらえ、三谷幸喜脚本の『12人の優しい日本人』で群像劇のリアルな臨場感に冴えを見せた中原俊。
スポーツ&ラブ・コメディ。観ると元気が出てくる、これは新しいタイプの女性映画です。
- 木村いづみ:吹石一恵
- イ・ジンイル/カン・スヒョン:キム・スンウ(二役)
- 山本裕子:占部房子
- 木村ひかり:関めぐみ
- 沢谷聡子:枝元萌
- リ・サンウ:金守珍
- パク・ファンソク:飛坂光輝
- 浩太:八戸亮
- 井上ミキ:三津谷葉子
- 岡田社長:岡本麗
- 木村清美:木野花
- 監督:中原俊
- 企画:小澤俊晴
- エグゼクティブ・プロデューサー:香月淑晴/井波洋/渡辺純一/大橋豊
- プロデューサー:相原裕美/横田博/上木則安/植村真紀
- 脚本:黒沢久子/祢寝彩木
- 音楽:遠藤浩二
- 主題歌:広瀬香美「サプライズ未来」(ビクターエンタテインメント)
- 撮影:石井浩一
- HD技術:吉村博幸
- 照明:白石成一
- 録音:深田晃
- 美術:花谷秀文
- 装飾:柴田博英
- 衣裳:新崎みのり
- ヘアメイク:染矢誠
- 編集:塙幸成(めいふぁず)
- 製作:エスピーオー/ビクターエンタテインメント/スカパー・ウェルシンク/プログレッシブ・ピクチャーズ
- 特別協賛:六ヶ所地域振興開発
- 特別協力:経済産業省「地域における映像コンテンツ・国際共同製作モデル事業
- 配給:エスピーオー/プログレッシブ・ピクチャーズ