
ココロとカラダが入れ替わった!? ふたりが迷いこんだ“異性”という別次元。おかしく切ない、青春“逆転”ファンタジー。
尾道から転校してきた一夫と、老舗そば屋の娘・一美は、ある日突然、心と身体が入れ替わってしまいます。身体の違いを痛感し戸惑うふたりだけど、そんな状況にあってこそ気づく、自分のことや家族のこと、そして互いが生きることへの想い。そんな状況がおかしくも、最後に切なく泣いてしまう、この夏、爽やかな感動を運んでくれる青春ファンタジーです。
今から25年前、大林宣彦監督は尾道を舞台に『転校生』を手がけています。この映画をきっかけに撮影地である尾道の名は全国に知られ、『時をかける少女』『さびしんぼう』とともに、“尾道三部作”として伝説を築きました。四半世紀を経た今も、多くのファンの心に残る名作として記憶されています。そして2007年、25年にわたる時代や子供たちの生活の変化を取り込み、さらに舞台を尾道から信州に移し、『転校生』が甦ります。未来への思いが込められた、生きる元気を与えてくれる映画として。
主演は、2005年、角川映画とソニーミュージックが共同で実施したヒロイン・オーディション「MISS PHOENIX」において応募総数37749名の中からグランプリに選ばれた新人女優・蓮佛(れんぶつ)美沙子。今回、初主演にしていきなり男性役(?)という難役を見事に演じています。数々の映画ヒロインを育てた大林監督も、その輝きに“10年にひとり”と絶賛し惚れ込んだほど。清楚な存在感にして力強い演技、そして劇中で演じるピアノ演奏と歌唱は必見の名シーンです!

両親の離婚を機に、尾道から母とともにかつて幼少期を過ごした信州に転校してきた斉藤一夫(森田直幸)。手にする携帯電話には、父からもらった小さなピアノのストラップが付いている。尾道に恋人のアケミ(寺島咲)を残し、元気を失っていた一夫だったが、転校してきた善光寺北中学校で幼なじみの一美(蓮佛美沙子)と再会する。「大きくなったらあんたのお嫁さんになるって、キスしてあげたじゃない」。幼少期のふたりの思い出を明け透けなく話す一美に対し、戸惑い、恥じらう一夫。
一美には、山本弘(厚木拓郎)という恋人がいる。弘の気障な態度にむっとくる一夫だが、一美とは会話を重ねるうち、昔の勘を取り戻すかのように、自然と呼吸が合ってくる。
その日、一美は一夫を蕎麦屋を営む自宅に招く。昔話の流れで、ふたりは、思い出の場所である“さびしらの水場”へと足を運ぶ。柄杓でその水を掬おうとした瞬間、ふたりは誤って水の中へ身を落とす。急いで這い上がったふたりだが、やっと気がついたとき、一美は一夫へ、一夫は一美へとその身体が入れ替わっていたのだ……。