太平洋戦争が終結して約10年――日本人は哀しみを越え、力強い復興を遂げていた。そして東京では少年探偵・金田正太郎と鉄人28号が活躍、幾多の難事件を解決していた。
ある日、敵ロボットに苦戦する正太郎と鉄人の前に、ひとりの男が現われた。男は正太郎からリモコンを受け取ると、見事な操縦技術で鉄人を操り、敵ロボットを粉砕するのだった。
その男は、正太郎の父・金田博士の養子であり、戦争で行方不明になっていた“ショウタロウ”――正太郎と同姓同名の義兄であった。ショウタロウは金田博士とともに南方の島で鉄人の開発に携わり、戦争の兵器としての鉄人の操縦を訓練された。しかし、実戦で一度も操縦することもなく戦争は終結し、ショウタロウは終戦を知らないまま島で10年間も戦時中さながらの生活を続けていたのだった。
ようやく故郷に戻ったショウタロウを待っていたのは「鉄人は正太郎に譲る」という博士の遺言と、彼の力を必要としない平和な日本。心の拠り所を失ったショウタロウだが、揺れ動く心を抑えつつ、正太郎に鉄人の操縦技術を伝授するのだった…。
同じころ、東京の地底には“廃墟弾”なる戦時中の秘密兵器がいくつも埋まっていることが発覚する。もしこの爆弾がすべて爆発すれば、東京は再び灰燼に帰してしまうだろう。そのときショウタロウは告げる。「廃墟弾のありかは鉄人が知っている」と! 正太郎とショウタロウは協力して爆弾の回収作業にあたるが、正太郎の命を狙う謎の人物が現われた。復員兵姿のその人物の名は“残月”!
鉄人と廃墟弾の間には、果たしてなにがあるというのか? 廃墟弾回収計画に接近するベラネード財団の狙いは?
衝撃の真実がすべて一本の線で繋がったとき、驚きと興奮が観客の涙腺を刺激する!
鉄人28号 白昼の残月
監督:今川泰宏
声の出演:くまいもとこ 粟野史浩 稲葉実 牛山茂 ほか
2007年3月31日(土)より新宿武蔵野館ほかロードショー
2005年/日本/カラー/ドルビーSRDDSR/95分
昭和31年(1956年)から月刊漫画誌「少年」に連載された「鉄人28号」。主人公の少年探偵・金田正太郎がリモコンで操縦するロボット・鉄人28号の活躍を描いたこの作品はたちまち大人気作となった。そして昭和36年(1963年)に初アニメ化されたのを皮切りに、現在まで4度にわたってテレビアニメ化されている。その中でも、今川泰宏が監督をつとめ2004年に放送された4度目のアニメ版は、まったく新たな「鉄人28号の世界観」を提示して注目を集めた。原作が連載された昭和30年代という時代性を取り入れ、戦火に翻弄された人の悲しい運命や犯した罪の清算、さらに鉄人という「負の遺産」を遺した父を乗り越えていく正太郎を描くことで、骨太のヒューマンドラマとして高い評価を獲得した。
本作『鉄人28号 白昼の残月』は、このテレビ版のコンセプトを徹底的に継承した上で、アクション、ドラマと劇場用にすべてをスケールアップ! 総決算的なオリジナル・ストーリーで贈る、待望の完全新作映画として誕生した。
ある日、正太郎と鉄人のもとに現われた義兄・ショウタロウ。そして東京都内から発見される戦時中の秘密兵器“廃墟弾”。さらに暗躍する謎の人物“残月”の正体とは!?
主題歌はもちろんアニメ版第1作で使用されいまだに多くの人々の心に残る「進め!正太郎」と「鉄人28号」。そして驚くべきことに、すべての劇中音楽は『ゴジラ』シリーズで著名な故・伊福部昭氏のクラシック曲を使用! 荘厳で深みのある曲調は、重厚な画面とシンクロし、戦争の遺した爪痕を人間性豊かに伝えて涙を誘う。
ショウタロウたち時代に取り残された者とはなにか? 敗戦後の日本が成し遂げた奇跡的な復興には、なにが秘められていたのか?
「鉄人28号」誕生から51年――今川泰宏監督は「破壊と再生」というテーマを軸に、「日本人の忘れかけた大切なもの」を“鉄人”に託して問いかける。この興奮と感動の瞬間を見逃すな!
- 金田正太郎:くまいもとこ
- ショウタロウ:粟野史浩
- 大塚署長:稲葉実
- 敷島博士:牛山茂
- 高見沢:石塚理恵
- 村雨竜作:若本規夫
- 村雨健次:幹本雄之
- 萱野月枝:鈴木弘子
- ビッグファイア:中村正
- クロロホルム:西村知道
- ベラネード:内海賢二
- 山岸弁護士:麦人
- 寺町警部:仲木隆司
- 関刑事:関智一
- 官房長官:石森達幸
- 秘書:鈴木勝美
- 監督・脚本・絵コンテ:今川泰宏
- 原作:横山光輝
- 企画:大月俊倫/真木太郎
- キャラクターデザイン:なかむらたかし/石川晋吾
- 演出:古川順康
- 作画監督:石川晋吾/櫻井邦彦
- 美術監督:松本浩樹
- 編集:瀬山武司
- 音楽:伊福部昭
- 主題歌:「進め!正太郎」「鉄人28号」(歌:六本木男声合唱団倶楽部)
- 音響監督:本田保則
- 音響効果:スワラ・プロ
- 音響制作:アーツ・プロ
- アニメーション制作:パルムスタジオ
- 制作:ジェンコ/ガンジス
- 製作:キングレコード
- 配給・宣伝:メディアスーツ