
殺しても、殺しても、殺しても、蘇る不死身の美少女・富江。富江は男を惑わし、虜にし、そしてその先に待っているのは――破滅。伊藤潤二の人気怪奇コミック「富江」は、1999年に初の映画化を果たして以降、何度でも蘇り続ける富江自身のように繰り返し映画化され、日本のホラー映画シーンを象徴するシリーズとなってきた。そしてついに、シリーズ7作目にして完全完結編となる『富江VS富江』が登場する。今回描かれるのは、富江と富江、ふたりの富江の互いの存亡を賭けた、悪夢のような闘いだ。
菅野美穂、酒井美紀、安藤希など、1作ごとに異なる女優が演じてきた富江を本作で演じるのは、人気アイドルのあびる優。体当たりの演技で実力派女優への完全脱皮に成功している。そして、モデルとしてCMを中心に活躍する松岡恵望子が“もうひとりの富江”を演じる。富江同士の争いに巻き込まれていく青年・一樹には『素敵な夜、ボクにください』の八戸亮。さらに三浦誠己、菅原大吉、長江英和が富江の虜となった男たちを演じる。
監督は、黒沢清、塩田明彦などの作品で助監督をつとめてきた久保朝洋。本作では脚本も手掛け、これまでにない戦慄の恐怖をシリーズにもたらし、新たな「富江」を完成させた。
富江同士の壮絶な闘いは、やがて誰もが想像だにしなかった驚愕の真実へとたどり着く。闘いの結末は誰も知らない。しかし、ただひとつたしかなことがある。どっちが勝っても…世の男性に未来はない。

梅原一樹(八戸亮)はある事件で心に傷を負い、カウンセリングを受けていた。傷が癒えたと考えた一樹は、マネキン工場で働き始める。真面目に仕事に励む一樹を、工場の中からひとつの影が見つめていた…。
ある日、一樹は工場長の藤田(菅原大吉)に「会わせたい人がいる」と、工場の別棟へと呼び出される。そこで待っていた女性を見て一樹は驚愕する。その姿は、いまは亡き恋人・尚子と瓜ふたつだったのだ。女性の名は富江(あびる優)。藤田も、工員の大城(長江英和)も、すっかり富江の虜になっていた。富江は一樹も同じように自分の魅力の虜にしようと迫るが、一樹は富江を拒み、その場から立ち去る。これまで受けたことのない仕打ちを受けた富江は激しい屈辱を感じるとともに、必ず一樹を自分のものにしようと強い想いを抱く。同時に富江は、藤田と大城にひとりの女性を探させていた。実はその女性は工員の岸田(三浦誠己)とともに暮らしていた。その女性の名もまた、富江(松岡恵望子)。岸田ともに暮らすその富江も、もうひとりの富江に近づくことを望んでいた。
一方、一樹は怪しげな男(伊藤洋三郎)に出会う。男の姿を見た一樹の脳裏に、自らと尚子に関わる忌まわしい記憶が蘇る。果たして、一樹とその怪しげな男の過去になにがあったのか? そしてふたりの富江の関係は? 富江に心奪われた男たちは、やがておぞましい運命へと堕ちていく――。