
上野和馬(津田寛治)はガンを患い、治療の甲斐なく余命半年と宣告された元・報道カメラマン。死を受け入れているつもりだが、生きる希望を捨てきれない自分自身との葛藤がつらい。
残りの余生を懐かしい故郷で過ごしたいと、和馬は東京から久留米へ戻り、同級生だった医師が勤務するホスピスへ入院する。そんな彼のもとに中学時代の同級生たちが見舞いに訪れ、和馬との思い出を語りはじめる。ところが、和馬にはどうしても思い出せないことがある。夢の中に出てくるおぼろげな少女のシルエット。どうやらそれは和馬と親密な関係にあった転校生だというのだが。
和馬は自らの記憶を呼び覚ますべく、妻・由紀子(羽田美智子)の協力を得て、故郷の風景と友人たちのスナップを散りばめた最後の写真集を撮りあげることを決意する。
故郷の風景やそこに生きる市井の人々にカメラを向けるうち、和馬の胸の中に少年時代の光景が蘇ってくる。東京から転校してきた萩原ひとみ(高木古都)。どこか陰のある彼女は和馬にとって気になる存在になっていった。ひとみの趣味が写真であることを知った和馬は、それをきっかけにひとみと心を通わせるようになっていった。それが和馬の少年時代の淡い思い出だった。
初恋の人との記憶を辿る和馬に対して、由紀子は切ない気持ちはなる。しかし最後の仕事と決意して写真を撮り続ける和馬になにも言うことはできなかった。複雑な心境で和馬の車イスを押し続ける。
少しずつ、しかし着実に進む和馬の病状。死期が近づいてきたことを悟った和馬は写真集の完成に向けて焦り始める。だが、死にゆく者を看取る由紀子にもストレスは降り積もっていた。写真集は一体誰のためのものなのか。撮り続けるべきか、撮らせてあげるべきなのか。ふたりの心は揺れ続ける。