赤んぼ少女
監督:山口雄大
出演:水沢奈子 斎藤工 野口五郎 浅野温子 ほか
2008年8月2日(土)よりシアターN渋谷、シネ・リーブル池袋ほか全国順次公開
2007年/35mm/カラー/シネマスコープ/DTSステレオ/104分

日本中の子供たちの心にトラウマを植えつけてきた恐怖漫画界の巨星・楳図かずお。これまで幾度となく映像化されてきたその珠玉の作品群から、また新たな1本が映画化を果たした。1967年に「週刊少女フレンド」誌上で発表された『赤んぼ少女』(「のろいの館」)だ。
生き別れの両親と再会を果たし、大きな洋館へと移り住んだ少女。しかし、その屋敷には恐るべき秘密が隠されていた!
メガホンをとるのは山口雄大。『魁!!クロマティ高校 THE☆MOVIE』やテレビシリーズ「怪奇大家族」など、笑いに定評のある異才が、本作ではギャグを一切封印。可憐な美少女・葉子の体験する恐怖、そして楳図作品屈指のキャラクター・タマミのもたらす惨劇と、彼女の背負った哀しい運命を描くことに徹している。
主人公・葉子を演じるのは、女性アイドルの登竜門である集英社「制コレGP」でグランプリを受賞し、女優として「3年B組金八先生」『こわい童謡』などで出演してきた水沢奈子。初主演作となる本作では、異様な出来事に戸惑いつつも果敢に謎に立ち向かう可憐な少女を熱演している。
葉子の支えとなる青年・高也には、ミュージカル「テニスの王子様」で人気となり『スキトモ』『いつかの君へ』など主演作も相次ぐ美形男優の斎藤工。葉子を救う王子様的な役柄はまさにハマり役だ。そして葉子の父・敬三には、ベテラン歌手の野口五郎が9年ぶりとなる映画出演で本格ホラーに初挑戦。さらに、堀部圭亮、板尾創路という個性派に加え、トレンディ女優として一世を風靡した浅野温子が歪んだ愛情を持った葉子の母親・夕子役で、これまでのイメージを覆す怪演を見せているのにも注目だ。
映画『赤んぼ少女』は、モンスター・タマミの恐怖を描くとともに、ひとりの少女・タマミの悲劇を描く。タマミの怖ろしさと哀しさに、震え、そして涙せよ!

土砂降りの雨の中、孤児院で育った15歳の葉子(水沢奈子)は、孤児院の職員の吉村誠也(堀部圭亮)とともに、南条家を目指していた。タクシーで屋敷の近くまで来たものの、運転手(板尾創路)は車が故障したと告げ、葉子と吉村は車を降りて歩くことに。ふたりが降りたあと、タクシーは夜の道を走り去っていった……。
ずぶ濡れになりながら南条家の屋敷へとたどり着いた葉子と吉村を、使用人の紀伊スエ(生田悦子)は追い返そうとするが、吉村は葉子が南条家の娘であることを説明し、ふたりは屋敷への滞在を許される。
吉村は家の主人に会いに行き、ひとり部屋で待つ葉子は、赤ん坊の泣き声に気付く。様子を見に部屋を出た葉子は、得体の知れない何者かに追いかけられ、ぬいぐるみを抱いた異様な女と出会う……。葉子が気付くと夜が明けており、笑顔の吉村の姿があった。あの奇妙な体験は、夢だったのか?
葉子は、ようやく戦争中に生き別れになった実の父親、南条敬三(野口五郎)との再会を果たす。葉子のために用意された豪華な部屋、真新しい洋服や化粧品。新たな生活に葉子は心をときめかす。
しかし、同時に葉子は屋敷の異様な雰囲気を感じていた。どこからか聞こえる赤ん坊の声、部屋に残る血痕、首を切られた葉子の大事な人形。あの夜に出会った女が母親の夕子(浅野温子)だったことも、葉子の不安を募らせるのだった。
不気味さを感じつつも南条家での生活を続ける葉子の前に、吉村の弟・高也(斎藤工)が現われる。吉村が孤児院に戻らず行方不明となっているというのだ。屋敷を探りはじめた高也は、南条家のもうひとりの娘・タマミの存在を知る。
南条家にはいったいどんな秘密が隠されているというのか? そして、葉子の運命は?