高校生のミチ(原田佳奈)は、湖の街・諏訪で生まれ育った。ある日、ミチは学校の授業を終えると、駅へと急ぐ。幼馴染みでいとこの俊太郎(井坂俊哉)が、3年と4ヶ月ぶりに東京から帰ってきたのだ。俊太郎がこの街を出るまで、ミチはいつも俊太郎のそばにいた。新進スタンドランプ製作家として注目を集めているミチが、スタンドランプ作りを始めたのも、俊太郎の壊れたスタンドランプを直そうとしたのがきっかけだった。
しかし、帰ってきた俊太郎の傍らには、見知らぬ女性・彩乃(田中伸子)がいた。自分が知らない東京での俊太郎を、彩乃は知っている。そのことに、ミチは複雑な想いにとらわれる。
そんなとき、クラスメイトで子供のころからミチに恋していた啓吉(大塚朝之)が、ミチに告白する。彩乃の存在に気持ちを揺らすミチは、半ば勢いに任せるように、啓吉の言葉を受け入れる。こうして啓吉と付き合いはじめながらも、ミチは俊太郎への、憧れとも恋愛ともつかない想いを抱えたまま、ふたたび俊太郎と過ごせる日々に幸せを感じていた。
一方、東京で絵本作家として注目されていた俊太郎は、絵本を描けないスランプに陥り、街に戻ってきていたのだった。
「なにを描いていいのかわからない」
そう告げる俊太郎に、ミチは答える。
「私のために描いて」
俊太郎は街に滞在し、新しい絵本を描こうとする。そんな俊太郎を、ミチの父親が訪ねる。そして、俊太郎はある決意を固める……。
アリア
監督:村松亮太郎
出演:井坂俊哉 原田佳奈 大塚朝之 田中伸子 村松亮太郎 ほか
2008年11月29日(土)ユーロスペースにて公開
2008年/カラー/HD24P/16:9/96分
女子高生のミチが暮らす故郷に、3年と4ヶ月ぶりに帰ってきた幼馴染みの俊太郎。しかし、俊太郎の傍らにはミチの知らない女性がいた……。
長野県・諏訪を舞台に誕生した、一篇の詩のような美しいラブストーリー。それが『アリア』だ。
主人公の俊太郎を演じるのは、NHK朝のテレビ小説「純情きらり」で注目を集め、『パッチギ!LOVE&PEACE』で主演、その後も『砂時計』などに出演する井坂俊哉。もうひとりの主人公・ミチには、“就活女優”として話題となり、2008年は『猫のひげ』『ラストゲーム 最後の早慶戦』など、出演作が5本にのぼる原田佳奈。映画を中心に活躍し、多くの監督から高い評価を得ているふたりが、繊細さを感じさせる演技で、俊太郎とミチの間に流れる空気をスクリーン上に表現してみせる。
さらに、ミチに想いを寄せる啓吉役で『カクト』『ゼロ 零』の大塚朝之、俊太郎とともに街にやってくる彩乃役でモデルとしても活躍する田中伸子が共演している。
監督は2006年公開の『LOVEHOTELS ―ラヴホテルズ―』で劇場監督デビューし、今年公開された『ヘイジャパ』も話題となった村松亮太郎。本作は海外の映画祭でも高い評価を受けている村松監督の独特の映像美が光る作品となっている。また、本作では村松監督は脚本と編集に加え、俳優として出演もし、印象深い存在感を見せている。
本作が撮影されたのは、いまから5年前。主人公を演じたふたりの初主演作であり、ファンの間で公開が待ち望まれていた作品である。5年を経て完成し公開される本作での、井坂俊哉と原田佳奈の瑞々しい演技と、村松監督作品の原点といえる詩情溢れる映像は注目だ。
澄み切った空気に包まれた諏訪の風景、全編に流れるバッハの美しい旋律。ノスタルジックさに溢れたこの映画は、きっと誰もが持っている恋の記憶を呼び覚ますことだろう。
- 俊太郎:井坂俊哉
- ミチ:原田佳奈
- 啓吉:大塚朝之
- 彩乃:田中伸子
- 遼介:村松亮太郎
- 監督・脚本・編集:村松亮太郎
- プロデューサー:三浦修/渡辺雅也/大屋友紀雄
- 撮影監督:藤田秀紀
- 編集:小林恵美
- 録音:岡本立洋
- ヘアメイク:橋本京子
- 美術:加藤亜弓
- CG:中村大輔
- 音楽:KOTARO
- 後援:諏訪市/諏訪市観光協会/諏訪湖温泉旅館組合/下諏訪町産業観光課
- 製作・配給・宣伝:NAKED INC.