小さな洋食店でコックとして働く美智男(須田邦裕)。毎日、家に帰ると、ひとりでシチューを食べる。
ある日、美智男が店に行くと、どうも様子がおかしい。なんと、店のオーナー(中島陽典)がお金を持って失踪してしまったのだ! オーナーは店を売ることも考えていたようで、新しい借り手を連れて不動産屋がやってくるのだが、オーナーの妻(小林沙世子)はなにも知らない。
このまま店はつぶれ、自分は失業か? と思いつつ帰宅した美智男のもとを、モトカノの亜衣(奥田恵梨華)が突然訪れる。亜衣は美智男と同棲していたが、半年前に別れて出ていった。新しい恋人とも別れて行き場のなくなったという亜衣を、美智男は仕方なく泊めることにする。実は、美智男は別れて以来「人はみんな孤独なんだ」と悟ったふりをしているけど、まだ亜衣のことをふっ切れていない。亜衣も、そんな美智男の気持ちをなんとなく感じてしまう。
夜が明けると、今度は先輩コックの隆司(渋川清彦)がやってくる。オーナーの居場所がわかったから、捕まえに行くというのだ。なぜか亜衣も付いてくることになり、3人はオーナーの奥さんから借りた赤いオープンカーでいざ出発! ところが、古い車だけに走り出して間もなくオーバーヒート。この車で無事にオーナーのいるところまでたどり着けるのか?
果たして、逃げた先でオーナーはなにをしているのか? そして美智男と亜衣の関係はどうなる? 夏の終わり、海辺の町を目指して、バカバカンスが始まった。
バカバカンス
監督:宮田宗吉
出演:須田邦裕 奥田恵梨華 渋川清彦 ほか
2008年7月5日(土)より吉祥寺バウスシアターにてレイトショー
2007年/DV/カラー/78分
別れた彼女のことをまだ吹っ切れない青年。なぜかその元・彼女と、先輩と3人で、海辺の町を目指すことになる。赤いオンボロのオープンカーで、3人は走っていく。それぞれの想いを抱えて――。
おバカでダメだけれど、一生懸命生きている人々に、あたたかい眼差しを向けた、優しいロードムービーが誕生した。
監督は宮田宗吉。これまで、風間志織監督、冨樫森監督、唯野未歩子監督など、多くの作品で助監督をつとめてきた。“おバカでダメな人”とオープンカーへの愛情を込めた書き下ろしシナリオを映画化した本作で待望の監督デビューを果たし、新人監督の登竜門となっているTAMA映画祭で第8回TAMA NEW WAVE特別賞を受賞した。
悟ったふりをしているけどいつも周りに流されてしまう主人公・美智男には『ここに幸あり』『真夜中の少女たち』の須田邦裕。小悪魔的な魅力をふりまく美智男の元・恋人の亜衣には『三年身篭る』『東京ゾンビ』の奥田恵梨華。美智男の先輩・隆司には『青い春』『さくらん』などの渋川清彦、ほか、個性派の森下能幸や中島陽典、川屋せっちん、小林沙世子、猫田直、笑いを交えた手品でお馴染みのマギー司郎などが脇を固める。
エンディングテーマは、結成20年を越えいまもなお現役バンドとして活躍し、多くの若手ミュージシャンにも影響を与えているThe ピーズの「ノロマが走って行く」。やるせなさの中にひねくれた前向きさを込めたロックナンバーが、映画のラストを優しく飾る。
- 中田美智男:須田邦裕
- 栗原亜衣:奥田恵梨華
- 隆司:渋川清彦
- オーナー:中島陽典
- オーナーの妻:小林沙世子
- 不動産屋:川屋せっちん
- 給水車の男:森下能幸
- そば屋の妻:猫田直
- 大家さん:マギー司郎
- 脚本・監督:宮田宗吉
- プロデューサー:高椅正弥
- 撮影:小林嘉弘
- 照明:小川大介
- 録音:吉田憲義
- 編集:稲川実希
- メイク:渡邊順子
- 衣裳:江頭三絵
- 合成:大野俊太郎
- 助監督:丸谷ちひろ/後藤孝太郎/加瀬仁美
- 音楽:丸山隆
- エンディング曲:Theピーズ「のろまが走って行く」(キングレコード)
- 配給・宣伝:アルゴピクチャーズ