水道工の磯辺裕次郎（宮迫博之）は、８年前に妻が家を出て以来、高校生の娘・咲子（仲里依紗）と公営団地にふたり暮し。無気力に仕事をこなす毎日だ。
そんな裕次郎の父が急死。思いがけず多額の遺産を手にすることになった裕次郎は、咲子の心配どおり仕事も辞めダラけた日々を送る。
咲子に尻を叩かれた裕次郎は、偶然入った喫茶店でマスターが美女と親しげに会話しているのを目撃し、不純な動機から遺産を元手に喫茶店を開業することを決意してしまう。咲子の忠告も聞き入れず、勢いで食品衛生責任者の資格をとり、近所の商店街に“純喫茶磯辺”をオープンする。
名前も内装も救いようがなくダサい上、接客も料理も素人で、当然お客の入りはサッパリ。おまけに裕次郎はたまたま店に来た美人の素子（麻生久美子）がバイトを探していると知ると、店員の江頭（近藤春菜）をクビにして素子を雇う始末。
ところが、素子の美貌と裕次郎の趣味丸出しのウェイトレス衣裳のおかげか、常連客も増えてくる。だが、素子に気があるのが見え見えの裕次郎の態度とまんざらでもなさそうな素子に、咲子はイライラと不安を募らせる。そんな咲子は、店内で小説を執筆する客の安田（和田聰宏）に次第に惹かれはじめる……。
ときめくダメ親父と、初恋に目覚めた娘。父娘それぞれの恋の行き先は？
純喫茶磯辺
監督：吉田恵輔
出演：宮迫博之 仲里依紗 麻生久美子 ほか
２００８年７月、テアトル新宿、シネアミューズほか全国ロードショー
２００８年／カラー／ビスタサイズ／ＤＴＳステレオ／１１３分
勢いと思いつきで喫茶店を開店してしまった父親と、呆れつつも父親を見守るしっかり者の娘。『純喫茶磯辺』は、そんな父娘と周囲の人々の織り成す悲喜こもごもを描いたハートフルコメディだ。
テキトーな性格ながらどこか憎めない父・裕次郎役には、俳優としてもそのキャリアを重ねているお笑いコンビ“雨あがり決死隊”の宮迫博之が『蛇イチゴ』以来６年ぶりの単独主演。思い込みと勘違いを原動力に、無謀にも人生のリスタートを試みる親父を好演している。
ダメ親父を支える娘の咲子を演じるのは、アニメ映画『時をかける少女』の主演声優として注目を集め『ちーちゃんは悠久の向こう』『ガチ☆ボーイ』と出演作の続く仲里依紗。さまざまな人々との出会いの中で成長していく思春期の少女像を、ダサ可愛さ満点に演じている。
そして、いまや日本映画界には欠かせない存在となった麻生久美子が、店の看板娘となる素子に扮し、派手なウェイトレス姿を披露。従来のイメージを覆す、ずるくていい加減なキャラクターに挑戦している。
さらに、店の常連客にはダンカン、和田聰宏 ミッキー・カーチス、斎藤洋介と超個性派キャストが集結。さらにお笑いコンビ“ハリセンボン”の近藤春菜が本格的な映画初出演を果たしているほか、裕次郎の別れた妻を濱田マリが印象的に演じる。
監督は、劇場監督デビュー作『机のなかみ』が話題となった吉田恵輔。笑いの中で人間の心理を巧みに描く演出で、人の喜びと哀しみを織り交ぜた“吉田ワールド”を展開させている。
- 磯辺裕次郎：宮迫博之
- 磯辺咲子：仲里依紗
- 麦子：濱田マリ
- 江頭麻美：近藤春菜（ハリセンボン）
- 小沢：ダンカン
- 安田：和田聰宏
- 本郷：ミッキー・カーチス
- 柴田：斎藤洋介
- 菅原素子：麻生久美子
- 監督・脚本・編集：吉田恵輔
- 企画・プロデュース：小出健
- プロデューサー：武部由美子／渡辺和昌
- 撮影：村上拓
- 照明：山田真也
- 録音：湯脇房雄
- スタイリスト：小林純子
- ヘアメイク：田代ももこ
- 助監督：寺地雄一郎
- 制作担当：三上慎一
- 音楽プロデューサー：横山剣／萩野知明
- 音楽：CKB-Annex（高宮永徹／高橋利光／河合わかば）
- テーマ曲：クレイジーケンバンド「男の滑走路」
- 挿入曲：ピストルバルブ「フェイクジャイブ」
- 制作プロダクション：ブロードマークス
- 製作：「純喫茶磯辺」製作委員会（ムービーアイ・エンタテインメント／メディアファクトリー／テレビ大阪／WOWOW／テレビ愛知）
- 配給：ムービーアイ