
蜷川幸雄に見出され「身毒丸」主役で舞台デビュー、深作欣二監督『バトル・ロワイアル』の主演に抜擢されスクリーンへと活躍の場を広げ、いまや若手俳優の代表的存在として舞台、映画、テレビで活躍を続ける俳優・藤原竜也。デビュー作『どついたるねん』でその年の映画賞を総なめにし、その後も男の世界を描いた硬派な作品から、女性の内面を繊細に描いた作品、さらには社会派作品までと、幅広い作風で知られる映画監督・阪本順治。日本映画界で注目を集めるふたりの男が初のコラボレーションを果たし、激しく壮絶なクライム・アクションが誕生した。
正体不明の組織に追われ、仲間たちを失っていく伍郎。唯一心を許した女性さえも失ったとき、伍郎は復讐に立ち上がる……。
本作は、今もなおカリスマ的な支持を集める故・松田優作主演の“遊戯シリーズ”のために丸山昇一が30年前に執筆した脚本がもとになっている。当時は映画化は実現しなかったが、現代にあわせて丸山自身により脚本を改稿、藤原竜也という新たなヒーローを得て、ついにスクリーンに姿をあらわす。
伍郎を演じる藤原は、これまで演じてきた役のイメージを覆し、男臭さの溢れる新たな魅力を発揮。見るものを魅了する演技に加え、激しくしなやかなアクションシーンも披露している。
伍郎がただひとり心を許す女占い師・佳子には『深紅』「ラスト・フレンズ」などの水川あさみ。ほか、塩谷瞬、豊原功補、萩原聖人、平泉成、犬塚弘、谷啓、加藤治子、岸部一徳と、若手からベテランまで実力派俳優が集結した。
そして“激情系”として注目されている期待の女性シンガーソングライター・シギが、主題歌「証明」をエモーショナルに歌い上げる。

都会の片隅。占い師の佳子(水川あさみ)の前に、突然、右手が差し出される。佳子が顔を上げると、そこには生気のまったくない顔で幽霊のように立つ伍郎(藤原竜也)がいた……。
伍郎は、仲間たちと小さな詐欺をはたらきながら、息を潜めるようにして生きていく。その伍郎の姿は、まるで色のない世界に紛れるように生きる、カメレオンのようだった。そんな伍郎に佳子は惹かれていく。佳子もまた、自分の色を失ったひとりだったのだ。
仲間たちにも決して自分の過去を語ろうとしない伍郎。仲間たちとの日々は、伍郎にとって、初めて味わう“平穏”な時間だった。
しかし、その平穏は崩れ去る。伍郎と仲間たちは、ある日偶然に拉致現場を目撃してしまう。それは国家さえを揺るがす重大な事件であった。目撃者を消すために組織が動き出す。次々と消えていく伍郎の仲間たち。そして伍郎とともに逃げる途中の佳子さえも……。
仲間と居場所を失ったとき、伍郎は一度捨てたはずの危険な色を身にまとう。