宮田夏美(小野真弓)は夫と離婚後、女手ひとつで5歳になる息子を育てている。そんな彼女の職場は製菓会社の“お客様相談室”。日々かかってくるクレーム処理に追われている。
ある日、夏美は1本の電話を受ける。受話器の向こうから聞こえるのは、女のすすり泣く声。女は「流産したのはおたくのドリンクを飲んだせいだ」という。夏美には思い当たる節があった。実は会社が製品の紅茶の成分表を偽っていたのだ。しかし、会社の指示により、電話の相手のクレームを認める訳にはいかない。マニュアル通りの受け答えをし、電話を切る夏美。
その翌日、ニュースを見た夏美は驚愕する。本社ビルから、流産を苦にした女が飛び降りて自殺したというのだ。もしかしたら、これは昨日の電話の女ではないか――。それを機に“お客様相談室”の職員たちに奇妙な電話がかかってくるようになる。受話器の向こうから聞こえる女の囁く声。その電話を受けた者は、必ず死へと追い込まれていく。ひとり、またひとり。女の呪いを解く方法は? やがて女の呪いは、夏美の元へと忍び寄る……。
クレーマー case2
監督:金子大志
出演:小野真弓 長澤奈央 三浦アキフミ ほか
2008年4月12日(土)よりキネカ大森にてロードショー
製品やサービスに不備があるとき、苦情を訴えるのは消費者の当然の権利であり、企業にとってもその苦情はより良い製品やサービスを提供するための材料になる。しかし、苦情を寄せる際、過剰に被害者を演じ、ときには脅しと思えるような行為に及ぶ常軌を逸したクレーマーがいる。映画『クレーマー』は、近年、報道で取り上げられることも多い悪質なクレーマーを題材にしたサスペンスホラーだ。
『クレーマー case2』の主人公・夏美役には、CMで“天使の笑顔”と呼ばれ評判となった小野真弓。グラビアアイドルから本格派女優へと活動の幅を広げてきた彼女が、本作では女手ひとつで子供を育てつつクレーム処理をこなす、離婚歴のある製菓会社社員という、これまでのイメージと異なった役に挑んでいる。共演には、『Girl's BOX ラバーズ☆ハイ』などの長澤奈央、『ウォーターボーイズ』『長州ファイブ』などの三浦アキフミが、『クレーマー case1』から引き続き主演している。
監督は金子大志。2005年に『解けない結び目』が東京国際ファンタスティック映画祭デジタルショートアワード「600秒」《笑い》部門でグランプリを受賞、雁須磨子の人気マンガを小阪由佳主演で映像化した「ファミリーレストラン」を手掛けた注目の監督が、その巧みな演出力で、姿の見えない相手から追いつめられる恐怖や匿名性が生み出した異常な人間心理を描き、観る者を恐怖に陥れる。
クレーマーが自分勝手な理論で他人を追いつめていくとき……お客様は悪魔に変わる。
- 小野真弓
- 長澤奈央
- 三浦アキフミ
- 監督:金子大志
- 脚本:金子大志/秋本健樹/古賀奏一郎
- 制作:有限会社エス・フィールド
- 製作:株式会社アートポート