「笑って泣けるウェルメイドプレイ」が持ち味の劇団“東京セレソンデラックス”の主宰者であり、「花より男子」シリーズや『ヒートアイランド』で脚本家としても注目を集めるサタケミキオ。宅間孝行の名で俳優としても活躍し、演劇界からテレビ・映画へと活躍の場を広げる稀代の才人が、また新たな顔を見せる。新たに見せるのは、映画監督としての顔。『同窓会』でついに監督デビューを果たし、宅間孝行として主演もつとめる。
30代半ばを越え、かつての夢や初恋も叶えた男。しかし、妻と離婚してからなにもかもがうまくいかなくなりはじめた。失くしてしまった大切なものを取り戻すため、男は“同窓会”を開く――。
『同窓会』は、人生の岐路に立ったひとりの男の決断を、１９８０年代のカルチャーや、九州ののどかな風景を織り交ぜつつ描いていく。あたたかい仲間たちに支えられ、忘れていた気持ちを取り戻そうとする主人公・克之の持つ哀愁や、その一方で忘れていない少年の純粋さを、俳優・宅間孝行が情感たっぷりに表現してみせる。
克之の初恋の人であり、妻の雪には、近年多くの映画賞を受賞し、女優としての評価が高まる永作博美。以前から東京セレソンデラックスの舞台を観ていたという永作が、サタケ・ワールドの中でいきいきとした存在感を見せる。
ふたりを支える高校時代からの仲間たちには、鈴木砂羽、二階堂智、阿南敦子、飯島ぼぼぼ。さらに克之の両親に笑福亭鶴瓶とうつみ宮土理。そのほか、中村獅童、戸次重幸（佐藤重幸より改名）、渡辺いっけい、片桐仁、佐藤めぐみら、バラエティに富んだキャストが、それぞれ個性あふれる役で出演。兵藤ゆきが彼女ならではの役で出演しているのも注目だ。
離婚から始まる“自分リセット・ムービー”『同窓会』は、主人公たちと同世代の人々はもちろん、幅広い人たちの心に優しい気持ちを与えてくれるに違いない。
南克之（宅間孝行）は映画会社“サウス・ピクチャーズ”を経営する映画プロデューサー。映画の世界で働くという昔からの夢を叶え、高校時代の初恋を実らせて雪（永作博美）と結ばれた。しかし結婚から12年、女優の大崎めぐみ（佐藤めぐみ）と不倫関係にある克之は妻に離婚を申し入れ、雪はあっさりとそれを受け入れた。
克之の浮気を知りながら、なにも知らない振りをして離婚を受け入れた雪。そんな彼女を、高校時代からの親友で、今は東京の出版社で働く“ひめ”こと石川えり（鈴木砂羽）はそっと見守る。
一方、ヒット確実な原作の映画化権を手に入れた克之は、ロケの手配のため、ひとり故郷の長崎に飛ぶ。久々に実家に戻った克之は、映画研究会に所属していた高校時代に撮った８ミリフィルムや、渡せなかった雪へのラブレターを見つける。水泳部だった友永雪（尾高杏奈）に思いを寄せ、８ミリカメラで雪の姿を追っていたあのころの克之（兼子舜）。ヤンキーの文太（渡辺大）たちとの、ハチャメチャだけどゆかいな日々を、克之は思い出す。
そして克之はいまも長崎で暮らす文太（二階堂智）や、同じく同級生の和田政子（阿南敦子）、利根川一（飯島ぼぼぼ）たちと再会。ひめを通じて離婚を知っていた文太からきついパンチを浴びせられるが、いまも変わらない彼らの友情に懐かしさを覚える。
そんな矢先、東京のひめから電話が入る。雪の身体に異変が起こったというのだ。慌てて東京に戻った克之を、さらなる事件が待っていた――。
