
1968年、日本はグループサウンズ(GS)ブームの真っ只中にあった。歌手を目指して家出同然で上京してきた大野ミク(栗山千明)は、芸能事務所の門を叩くが、女性歌手は流行じゃないと門前払いを受けてしまう。
一方、GSに憧れる紀川マサオ(石田卓也)は、日劇のステージに立つことを目指し、高校にも行かずにギターの練習に励む毎日。ひょんなことから、騙されてGSバンドをクビになったドラムの正巳屋シュン(水嶋ヒロ)と、ベースの柏崎ケンタ(浅利陽介)と知り合い、3人で“ザ・ダイヤモンズ”を結成する。
その“ザ・ダイヤモンズ”に弱小プロダクションの社長・梶井(武田真治)が目をつけた。レコード会社の佐々木(杉本哲太)から新しいバンドを探すよう命じられていた梶井は、3人をデビューさせようとする。しかし、佐々木の要望はオルガンの入ったバンド。そこで梶井が連れてきたのは、なんと以前に事務所にやってきたミクだった。いずれソロ歌手としてデビューさせることを条件に、ミクに男装させ“ミック”として加入させようというのだ。
こうして4人となった“ザ・ダイヤモンズ”はトントン拍子でデビューしたものの、デビュー曲は記録的な低売り上げ。上層部からテコ入れを命じられた佐々木の提案で、バンドは王子様のようなタイツとフリフリ衣裳、歌謡曲路線へとイメージチェンジ。バンド名も新たに“ザ・タイツメン”! 釈然としないメンバーだったが、これが大当たり。中性的な魅力の(当たり前だ)ミックが女の子たちのハートを射止め、ジャズ喫茶は満員、熱狂的な追っかけも登場し、コンサートでは失神者続出。マスコミもこぞってミックの人気を取り上げ、たちまち“ザ・タイツメン”はスター街道を突き進みはじめる。
人気絶頂、日劇のステージも近づいてきた“ザ・タイツメン”だが、そんな彼らを狙う“目”があった……。