
巨乳願望の美少女と、運のない映画監督。奇妙な縁で出会ったふたりの、愛の逃避行がはじまる……。
「恋文日和」などで熱狂的な女性ファンを持つマンガ家・ジョージ朝倉がはじめて青年誌で発表し、単行本累計20万部を越えるヒット作品となった『平凡ポンチ』が、ついに映画化を果たす。
監督は、原作者から「このマンガを映画化できるのはこの人しかいない」と指名を受けた佐藤佐吉。あるときは脚本家として、またあるときは俳優として数多くの作品に携わる日本映画界の奇才が、『東京ゾンビ』以来3年ぶりにメガホンをとる。
主人公の美少女・ミカを演じるのは、美しいヒップラインで“オシリーナ”と呼ばれ人気の秋山莉奈。「仮面ライダー電王」で人気の彼女が、これまでのイメージとは異なった女優としての魅力を存分に発揮。ブルマ体操服、セーラー服、ファミレス制服、浴衣、ナース服と、多彩な衣裳を披露しているのも見どころだ。
もうひとりの主人公である、デブでさえない自主映画監督のアキを演じるのは佐藤監督本人。そして、原作マンガでの“ときどき突然アキが美青年になる”という表現も、ドラマ「牙狼」やミュージカルで活躍する小西遼生が演じることによって、見事に再現してみせた。
そのほか、巨乳アイドルのヒナに90cmのバストで人気の森下悠里、若手監督の新開に柄本佑、旅先でアキとミカが出会う女性に吉行由美など、個性派キャストが顔を揃えた。さらに、『東京ゾンビ』で主演をつとめた哀川翔が刑事役で出演し、渋みのある演技を披露している。
『平凡ポンチ』には、愛がある。それは、男女間の愛だけではない。狂おしいほどの映画への愛だ。その愛はやがて、スクリーンを超えていく。

ファミレスで食事をするひと組の男女。男は、デブでさえないが才能はある自主映画監督の真島アキ(佐藤佐吉)。女は、異常な巨乳願望を持つ女優志願の美少女・鰐淵ミカ(秋山莉奈)。アキは、テーブルを挟んで座るミカにカメラを向け続ける。そしてミカは、テーブルの上に立ち上がると、まるで『パルプ・フィクション』のように怒鳴り出し、強盗をはたらく――。
その6時間前のこと。念願の商業デビューとなる映画の準備を進めていたアキに1本の電話が入った。監督を若手の新開(柄本佑)に替えるという連絡だった。学生時代から自主映画を撮り続け、高い評価を受けながらもチャンスに恵まれなかったアキ。30歳をとうに過ぎ、ようやく手にした商業作品デビューへの道は、あっけなく崩れ落ちてしまった。失意のアキは、映画を諦めるために愛用のカメラを投げ捨てようとする。そこに現われ、身を呈してカメラを守ったのが、アキの映画のファンだというミカだった。
ミカに魅力を感じたアキは、ミカを“主演女優”にカメラを回していく。ところが、アキが監督をクビにされていたことがミカに知られてしまう。怒るミカの勢いに押されて制作会社に抗議に来たアキだったが、ほんとに怒鳴り込む勇気などない。一方、ミカは新開が撮る映画に主演する巨乳アイドル・中村ヒナ(森下悠里)の控え室に入り込み、ヒナと乱闘をはじめる。そしてヒナは、血を流して動かなくなってしまった。
そんな思いもかけない展開の末、アキはミカと一緒に逃げて、その道程をカメラで記録しようとする。誰にも撮れない猛毒のドキュメント映画を作るのだ。こうして、アキとミカの逃避行がはじまった――。