
1983年に週刊少年ジャンプで連載スタートしたマンガ「北斗の拳」はたちまち人気作となり、翌年よりスタートしたテレビアニメも好評を博した。連載開始から20年を越える今でも新たなファンを増やしつつある、不動の名作である。
「北斗の拳」は、それぞれに信念を持ち、愛や野望を抱えて闘いに生きた英雄たちの「英雄叙事詩」というべき作品であった。そんな英雄たちの、作品の中では語られず、謎として残されたエピソードに光をあてるべくスタートしたのが「真救世主伝説 北斗の拳」5部作だ。2006年にシリーズ第1弾となる『ラオウ伝 殉愛の章』が劇場公開。以降、オリジナルビデオアニメ、劇場版アニメのかたちで『ユリア伝』『ラオウ伝 激闘の章』『トキ伝』が製作されてきた。そして、マンガ連載開始から25年目となった2008年、ついに5部作の最後を飾る作品が公開される。それが『真救世主伝説 北斗の拳 ZERO ケンシロウ伝』だ!
暴力が支配する世紀末。南斗孤鷲拳の使い手・シンに愛する人・ユリアを奪われ、胸に七つの傷を負わされたケンシロウ。『ケンシロウ伝』は、愛する人を失い、心にも体にも傷を負ったケンシロウが救世主として立ち上がるまでの、シリーズ最大の謎である“ケンシロウ空白の1年”を、完全オリジナルストーリーで描いていく。
ケンシロウの声には阿部寛、ユリアには石田ゆり子が、5部作を通じて出演するのに加え、現代の侍・藤岡弘、がアニメのナレーションに初挑戦している。
監督は、昨年劇場公開された『ラオウ伝 激闘の章』に続き、ベテラン平野俊貴がつとめ、ケンシロウが覚醒する1年、北斗の拳の空白=ZEROの真実をスクリーンへと描き出す。

核の炎が世界を焼き尽くし、力あるものがすべてを支配する世紀末の時代。
ケンシロウ(声:阿部寛)は、一子相伝の究極の暗殺拳・北斗神拳の第64代伝承者であった。しかし、伝承者として生きるよりも、婚約者のユリア(声:石田ゆり子)と平穏に暮らすことを望んだケンシロウは、ユリアとともに旅に出ようとしていた。
その前に立ちはだかったのは、南斗弧鷲拳の使い手・シン(声:桐本琢也)であった。ユリアを愛するシンは、ケンシロウの胸に北斗七星を模した七つの傷を負わせ、ユリアを奪い取った。
愛する人を奪われ、心にも体にも傷を負ったケンシロウは、ひとり、世紀末の荒野に倒れる。そんなケンシロウに、小さく、しかし優しさに満ちた手が差し伸べられようとしていた……。