会社が突然に倒産してしまい、無職となった石井晃(辻岡正人)のアパートに、大学の映研で先輩だった村崎(安藤彰則)がやって来た。映画を撮るため京都からやって来た村崎の勢いと熱意に負けて、晃は映画作りを手伝うことになる。
オーディションをおこない、大学生で映画オタクの野村(椎葉智)、やたら色っぽいOLの多菜子、昔も自主映画を撮っていたという峯田(ホリケン。)、フリーターで役者志望の青年・みちる(今野悠夫)、そしてヒロインとして選ばれた眞名水(まなみ:吉沢明歩)の5人が集まった。
メンバーは晃の部屋に集まるが、村崎がまだシナリオを書いていないことが判明。シナリオが完成したら再び集まる約束をしてその場はお開きとなる。帰って行くメンバーをアパートから見送る晃と、当然のように晃の部屋に居座っている村崎。そしてなぜか、眞名水もそこにいた。行くところがないという眞名水も晃の部屋で暮らすことになり、3人での共同生活が始まる。
ある日、晃がバイト先から帰って来ると、部屋には眞名水だけ。村崎はシナリオを完成させるため旅に出たという。ふたりだけの暮らしを続ける中で、ふたりは次第に惹かれあい、晃は眞名水の抱える心の傷を知ることになる……。
眞名水との生活を真剣に考え、晃が再就職を目指しはじめたころ、シナリオを完成させた村崎が戻ってきた。村崎は、映画の中で実際にみちると眞名水にセックスをさせるという仰天の構想を持っていた。それを承知しているような眞名水の態度に、晃は戸惑いつつも強く反対できない。
いよいよ始まった撮影は着々と進んでいく。そしてついに、クライマックスの撮影のため、一行は泊まりこみの撮影に出発する――。
窓辺のほんきーとんく
監督:堀井彩
出演:辻岡正人 吉沢明歩 安藤彰則 神楽坂恵 ホリケン。 ほか
2008年9月27日(土)池袋シネマ・ロサにてレイトショー
2008年/カラー/80分
ゆうばり国際ファンタスティック映画祭、インディーズ・ムービーフェスティバルなどで入選を重ね、2002年に『異形の恋』で劇場デビューを果たした監督・堀井彩(ほりい・ひかる)。待望の新作となる『窓辺のほんきーとんく』は、個性派キャストで送る“性春”群像劇だ。
先輩の自主映画作りを手伝うことになった晃。ヒロインに選ばれた眞名水と惹かれあうが、監督である先輩が考え出したのは、映画の中で実際に眞名水と男優にセックスをさせるという仰天のアイディア! 愛か、映画か、ふたりの心は揺れていく……。
突然職を失い、映画作りに駆り出される主人公・晃を演じるのは、塚本晋也監督作品や『クローズZERO』に俳優として出演し『ロスト・バイ・デッド』などで監督として海外からも高い評価を受ける辻岡正人。トラウマを抱えたヒロインの眞名水には、AV界のトップアイドルで、映画やテレビドラマ「嬢王」などにも活動の場を広げる吉沢明歩。剥き出しの気持ちが絡み合う不器用な恋愛を、ふたりが体当たりの演技で表現する。
さらに、晃の先輩・村崎には三池崇史監督作品やハリウッド映画『SILK』の安藤彰則、カメラマン峯田には数々のインディーズ映画に出演し鮮烈な印象を残すホリケン。、映画マニアの大学生・野村に『スキヤキ・ウエスタン・ジャンゴ』の椎葉智、実はうぶな美青年・みちるに『リアル鬼ごっこ』の今野悠夫、セクシーなOL・多菜子にグラビアアイドルから女優に転進した『新スパイガール大作戦』などの神楽坂恵ら、映画界でも一際際立った個性を持つキャストが顔を揃えた。
アメリカンニューシネマやヌーベルヴァーグ、ATGやロマンポルノの影響を受け、一貫して“肉体”を描くことにより、人間が抱える孤独や絶望、その果てにある希望を描いてきた堀井監督。本作『窓辺のほんきーとんく』でも、社会からはみ出した大人たちの青春を、温かく、人間くさく描いている。
- 石井晃:辻岡正人
- 眞名水(まなみ):吉沢明歩
- 村崎渚:安藤彰則
- 橘多奈子:神楽坂恵
- 多摩欄坂みちる:今野悠夫
- 野村映太郎:椎葉智
- 峯田大作:ホリケン。
- 監督:堀井彩
- エグゼクティブプロデューサー:小田泰之
- プロデューサー:増田俊樹
- アソシエイトプロデューサー:森口あゆみ/弘瀬謙二
- 脚本:堀井彩/小田泰之
- 撮影:百瀬修司
- 照明:太田博
- 録音:松本治樹
- 編集:岡田しのぶ
- MA:杉山勉
- 助監督:岩澤宏樹/東原豊治
- 音楽:弘瀬謙二/花澤孝一
- エンディング:tyt「目抜き通りに踊るヒーロー」(ビクターエンターテイメント/ルーキースターレーベル)
- 製作・配給:AMUMO