
週刊少年ジャンプの巻末を定位置に、連載8年目に突入、コミックス13巻までの累計発行部数は640万部を越えるギャグマンガ「ピューと吹く!ジャガー」。たてぶえをこよなく愛する男、ジャガージュン市を主人公に、作者・うすた京介独特の世界が展開される人気作だ。そのシュールな作風ゆえに映像化不可能と思われていた原作が、奇跡の実写映画化を果たした。
監督は「極楽とんぼのとび蹴りゴッデス」「すれすれガレッジセール」など、数々の人気お笑い番組を手掛けてきた“深夜番組のカリスマ”マッコイ斉藤。視聴者だけでなく、出演者までも夢中にさせるという手腕を本作でも十二分に発揮している。
主人公・ジャガージュン市を演じるのは、映画、テレビと幅広く活躍する要潤。甘いマスクと抜群のスタイルを誇るイケメン俳優のジャガー役起用は誰もが驚く意外なキャスティングだったが、原作どおりの衣裳と髪型で演じるジャガーはまさにハマり役! これまでの要潤のイメージを覆す振り切った演技を披露している。そしてジャガーが講師をつとめる“ふえ科”の仲間には、ピヨ彦役に「花より男子」などの大村学、ハマー役にお笑いコンビ・おぎやはぎの小木博明、紅一点の高菜に「スカイハイ2」などの高橋真唯と、バラエティに富んだメンバーが集まった。さらに、なぎら健壱、酒井敏也、板尾創路がインパクト大の脇役たちでその個性を充分に発揮。原作とは異なったキャラクターとして登場するキングダム公平をカルーセル麻紀が演じているのも注目だ。
本作のコンセプトは「挑戦的がっかりムービー」。そのときは腹を立てても、思い返せば「プッ」と笑える「がっかり」な体験。『ピューと吹く!ジャガー THE MOVIE』にも、一見がっかりな人物やがっかりなアイテム、がっかりなセリフが登場するかもしれない。しかしそれらはすべて映画を観たあとの「プッ」のための伏線なのだ。「がっかり」の持つ素晴しさを『ピューと吹く!ジャガー THE MOVIE』で体験してほしい。

この物語は、1本の珍笛と、その珍笛に振り回された人々の、ゆかいでロックな、すごくしょーもない話である。
高校卒業を控えた酒留清彦(大村学)は、ミュージシャンを目指してオーディションに参加することに。多くのバンドが集まったオーディション会場では、たてぶえを持ったひとりの男がほかの参加者といざこざを起こしていた。それが、ジャガージュン市(要潤)と清彦の出会いだった。
やがて清彦は、三太夫セガール(なぎら健壱)に誘われ、芸能人養成所に入ることになったが、案内された先はなんと「ふえ科」。ギター科に入ったつもりだった清彦は大ショック。おまけに、待ち構えていた講師は、オーディションで出会ったあの男・ジャガージュン市だった! こうしてだまされるようにしてふえ科に入った清彦は、ジャガーに「ピヨ彦」と名付けられ、まさに踏んだり蹴ったり。それでも次第に謎のヒップホップ忍者・ハマー(小木博明)、アイドル志望の高菜(高橋真唯)という個性的なメンバーの集まったふえ科に馴染んでいく。
ところが、ある日、資金難を理由にふえ科に廃止の宣告が! ふえ科が廃止されればピヨ彦たちは音楽業界では生きていけなくなるという。やむなくピヨ彦たち3人は、ジャガーのアイディアに従って、ふえ科存続資金を稼ぐための計画を実行することになるのだった。日本に渡ってきた1本の珍笛を狙い、怪しい人物が暗躍しているとも知らずに……。