次郎長三国志
監督:マキノ雅彦
出演:中井貴一 鈴木京香 北村一輝 温水洋一 ほか
2008年9月20日(土)角川シネマ新宿ほか全国ロードショー
2008年/カラー/ビスタサイズ/SRD/126分

処女作『寝ずの番』で監督としての非凡な手腕をみせ、スマッシュヒットを記録したマキノ雅彦=津川雅彦。待望の監督第2作がいよいよ登場する。監督第2作として雅彦監督が選んだのは、有名な清水次郎長一家の活躍を描く『次郎長三国志』だ。
1952年に第1作が公開され、東宝で9本、東映で4本と、映画会社をまたがって全13本が作られた人気シリーズ「次郎長三国志」のメガホンをとったのは、マキノ雅彦監督の叔父であり、日本映画界が誇る娯楽映画の巨匠・マキノ雅弘監督。マキノ雅弘監督の十八番というべき題材に、マキノ姓を継ぐ雅彦監督が挑む!
本格大型時代劇を目指す雅彦監督のもとには、豪華キャストが集った。清水次郎長には、雅彦監督の前作『寝ずの番』でも主演をつとめた中井貴一。持ち前の清潔感が芯の通った真っ直ぐさを感じさせ、中井ならではの新たな清水次郎長像を作り出した。そんな次郎長の恋女房・お蝶には『血と骨』などの実力派・鈴木京香。姉御肌とひたすら次郎長を想う健気な可憐さをあわせ持ったヒロインを艶やかに演じる。次郎長一家の面々には、岸部一徳、笹野高史、山中聡、近藤芳正、温水洋一、北村一輝、木下ほうかが扮し、溢れる個性と演技力でユニークなキャラクターをスクリーンに息づかせている。さらに、『寝ずの番』に続いて出演となる木村佳乃、高岡早紀、蛭子能収、監督の実兄・長門裕之らに加え、マキノ作品初登場の大友康平、佐藤浩市、竹内力らが見せる抜群の存在感も見逃せない。
スタッフも充実の布陣が揃った。脚本には『寝ずの番』に続いて大森寿美男。撮影には岡本喜八監督作品を多く手がけたベテランの加藤雄大。岡本監督は雅弘監督の「次郎長三国志」で助監督をつとめており、加藤の参加は雅弘作品と本作とが映画人の縁でしっかりと結ばれていることを象徴している。
音楽は宇崎竜童がリズミカルでスピーディーなサウンドで映画に活気を与え、エンディングは宇崎自身のボーカル曲で心地良い余韻をもたらす。

ときは江戸時代、ところは清水(現在の静岡市清水区)。駆け出し博徒の次郎長(中井貴一)は、子分たちに囲まれ、お蝶(鈴木京香)との祝言を挙げていた。そんな次郎長のもとに向かう御用提灯の群れ。実は次郎長、喧嘩の仲裁に乗り出してこれを収めたはいいが、人斬りの濡れ衣を着せられてしまったのだ。お上に追われる身となった次郎長は、妻となったばかりのお蝶を置いて清水を離れることに。ともに旅する子分たちは、頼りになる軍師的存在の大政(岸部一徳)を筆頭に、関東綱五郎(山中聡)、桶屋の鬼吉(近藤芳正)、そして坊主くずれの法印大五郎(笹野高史)。
それから一年、次郎長たちが清水に還ってきた。旅の途中で加わった森の石松(温水洋一)も一緒だ。さらに、お蝶を口説こうとしていたろくでなしの大野の鶴吉(木下ほうか)まで仲間に加える。
清水に戻った次郎長の前に、石松の知り合いの美青年・追分政五郎(北村一輝)が現われる。次郎長は、政五郎に頼まれ、興業主に騙された相撲取一行のために相撲興行を開くことに。大政の提案で相撲興業にあわせて催された花会には各地の親分が集まり、次郎長の名を高めることとなった。
だが、名が上がった分、降りかかる火の粉も増えてくる。兄貴分の江尻の大熊(春田純一)の賭場が荒らされ、その裏には、甲州で一大勢力を誇る黒駒の勝蔵(佐藤浩市)の陰があった。そして、勝蔵のもとには大五郎や石松の仇である三馬政(竹内力)が。ついに次郎長はその喧嘩を引き受けることを決意する。案ずる大熊に次郎長は答える、「大馬鹿者でござんす」と。固い決意のお蝶も連れて、次郎長一家は旅立った!