
人間ドラマとファンタジーが融合した感涙ものからホラーまで幅広い作風で知られ、これまでに多くの作品が映画化されている人気小説家・乙一。そのベストセラー短編集に収録された感動作「傷−KIZ/KIDS」が映画化を果たした。
人の傷を自分の体に移すことができるという特殊な能力をもち、純粋であるがゆえに傷を抱え持つ主人公アサトには小池徹平。他人の痛みを自分の痛みとして感じ、自らが傷を負って人々を癒していく……。元気で活発な役を演じてきた彼が一変、笑顔を封印し、ガラスのように繊細なアサトを好演。一方、アサトと出会うことで過去から開放され、ワイルドさの中にも優しさをみせるタケオに玉木宏。現在、映画・ドラマ・CMと大活躍中の2人が、ピュアだからこそ懸命に生きる青年の笑顔を、純真な心をスクリーンに瑞々しく映し出す。さらに、ふたりと知り合う女性・シホをいまや世界に活躍の場を広げる栗山千明が演じる。
監督は乙一の小説を映画化した『きみにしか聞こえない』で監督デビューを飾った新鋭・荻島達也が再び乙一作品に取り組んだ。そして脚本には坂東賢治、音楽に池頼広と、玉木宏出演の『ただ、君を愛している』のスタッフが再集結している。
純粋だから、分かち合える傷がある。感動作をてがけたスタッフが、大人になると忘れてしまいそうな、大切なもの―― 友情・夢・希望・人を信じる心……を美しくスクリーンに描き出す。

彼はなぜ傷を癒し続けるのだろうか? 寂れた街のアメリカンダイナーで出会ったアサトとタケオ。タケオがアサトの秘密を知ったときから、友情は始まった……。
街の工場で働いているタケオ(玉木宏)は、街にやってきたばかりの少年、アサト(小池徹平)と出会う。ある日、タケオは、アサトがテーブルのビンを手も触れずに引き寄せるのを目撃し、興味を持って声をかける。
タケオは街にアサトを連れ出し、チンピラに絡まれたアサトを助けてタケオは傷を負う。そのときアサトがタケオの手をとると、不思議なことが起こる。タケオの傷がアサトに移動したのだ。
顔立ちがどこか幼く、性格も内気なアサト。夢も希望もなく、荒んだ生活を送っているタケオ。共通点のない2人だったが、アサトの秘密を知ったその日以来、友情を深めていく。
その後ダイナーで働く、顔に傷を負った女性シホ(栗山千明)と仲良くなり、3人で笑い合う日々が続いた。だが、アサトとタケオ、それぞれが抱える心の傷と向き合う瞬間が訪れ……。