空想の森
監督:田代陽子
2008年7月26日(土)よりポレポレ東中野にて上映
2008年/カラー/ビデオ/129分
北海道のほぼ真ん中に位置する、上川郡新得町(しんとくちょう)。この町では「SHINTOKU 空想の森映画祭」という小さな映画祭がおこなわれている。1996年、初めておこなわれた映画祭にスタッフとして参加した田代陽子は、佐藤真監督のドキュメンタリー映画『阿賀に生きる』と出会った。その作品に刺激を受けた田代は、自らもドキュメンタリー映画を撮ることを決意する。そして、田代が出会った、新得町で農業を営む人々にカメラを向け、7年の年月を費やして作られたのが『空想の森』だ。
映画は、ふたつの家族を軸にして進んでいく。1組目は、新得町にある新得共働学舎で、子育てをしながら野菜作りをする山田聡美さんの家族。共働学舎に入ってから13年目になる山田さんは牧場で働く夫と結婚して娘も生まれ、これからの暮らし方を改めて考えはじめる。自分たちにとって共働学舎とは、野菜を作ることとは…。夫妻で独立しようかと思い悩む若い夫婦は、やがてひとつの決断をする。
もう1組の家族は、宮下喜夫さんの家族。1970年代後半に“食べ物を作って暮らしていこう”と京都から新得町に入植してきた宮下さんは、妻とふたり、できるかぎり機械を使わず、自分の身体を使って畑で働く。
この2家族を中心に、映画は新得町で生きる人々をとらえていく。食卓の風景、チーズ作り、土の上で働く姿、農場で大勢の人々がともに暮らす姿、1年に1度のお祭である映画祭に集う人たち、映画祭のためにバンド練習に励む人々。何気ない日常の中に沸き起こる、さまざまな感情をカメラはとらえる。
- 山田聡美
- 山田憲一
- 宮下喜夫
- 宮下文代
- ナレーション:田代陽子
- 監督:田代陽子
- プロデューサー:藤本幸久
- 撮影:田代陽子/一坪悠介
- 録音;岸本祐典
- 音楽:新得バンド
- 整音:久保田幸雄
- 製作・配給:(有)森の映画社