奈緒子
監督:古厩智之
出演:上野樹里 三浦春馬 笑福亭鶴瓶 ほか
2008年2月16日(土)よりシネ・リーブル池袋、渋谷アミューズCQN、シネマート新宿ほか全国ロードショー
2007年/カラー/ビスタサイズ/ドルビーSRD/120分

坂田信弘・作、中原裕・画によるマンガ「奈緒子」は、ビックコミックスピリッツにて1994年に連載開始、2001年まで長期連載される人気作となった。駅伝に青春をかける高校生の姿を描き、多くの人々を魅了したこの作品がついに映画化された。
哀しい事故の記憶に心を捕らわれたままの奈緒子と雄介。高校生になり偶然再会したふたりは、陸上部のマネージャーと選手として駅伝大会に臨む――。
ヒロイン・奈緒子を演じるのは、『スウィングガールズ』『笑う大天使(ミカエル)』、ドラマ「のだめカンタービレ」など話題作に出演、活躍目覚ましい上野樹里。これまで多くの作品で見せた明るい役柄とは一転、心に傷を持ったヒロインを演じ新たな一面を見せる。そして奈緒子と同じように過去の哀しみにとらわれたもうひとりの主人公・雄介をドラマ「14才の母」で注目を集め、『恋空』で人気沸騰中の三浦春馬がさわやかに演じる。さらに、物語のキーとなる陸上部監督・西浦を笑福亭鶴瓶が演じ、映画ならではの西浦像を作り出した。陸上部の仲間役の佐津川愛美、柄本時生ら、魅力的な若手キャストが揃っているのも見逃せない。実際に陸上経験を持つ綾野剛が演じるライバル校のエース・黒田の存在感は圧巻だ。
監督は『ロボコン』『さよならみどりちゃん』など、青春映画に定評のある古厩智之。本作では、原作の舞台のモデルとなった壱岐島や長崎市などで大規模なロケーション撮影を敢行、駅伝の感動と興奮をリアルに伝え、青春の息吹きを鮮やかに切り取った。そしてそれとともに、奈緒子と雄介のふたりの間の“距離”の変化を丁寧にスクリーンへと描き出している。
主題歌は人気バンド・ポルノグラフィティの「あなたがここにいたら」。ポルノグラフィティ初の映画主題歌となるこの曲が映画の感動を一層強くする。
1本のタスキに想いを託して繋いでいく駅伝。映画『奈緒子』は、スタッフ、キャストの想いを託したフィルムという名のタスキだ。そのタスキは、いま、観客へと繋がれる。

長崎県波切島。喘息の療養のために島を訪れていた12歳の奈緒子は、走るのがなにより好きな10歳の少年・雄介と出会う。しかしふたりには過酷な運命が待ち受けていた。海に落ちた奈緒子を助けるために、雄介の父・健介(嶋尾康史)が命を落としてしまったのだ。父を失った悲しみと怒りを奈緒子にぶつける幼い雄介。その日以来、奈緒子は雄介の父親を奪ってしまったという罪の意識に苦しみ続ける。
それから6年、高校生の奈緒子(上野樹里)は、東京でおこなわれた陸上大会で、高校陸上界期待の星となった雄介(三浦春馬)と偶然に再会する。自ら名乗る奈緒子に「もう忘れた、誰も恨んじゃいない」と告げて立ち去る雄介。そしてその大会後、雄介は短距離から駅伝への転向を発表する。
雄介にとって初めての駅伝大会となる九州オープン駅伝の日、奈緒子はいてもたってもいられず九州までやって来ていた。そしてひょんなことから、雄介への給水係を引き受けることになる。苦しい順位でタスキを受けながら驚異的な追い上げを見せる雄介。だが雄介は給水所で奈緒子の差し出す水を受け取らず、タスキを繋ぐことなく脱水症状で倒れてしまうのだった。
奈緒子と雄介の複雑な事情を知った波切高校陸上部の西浦監督(笑福亭鶴瓶)は、奈緒子をマネージャーとして陸上部の夏合宿に参加させる。それは、6年前の事故の傷に捕らわれたままのふたりの心を解き放ってやりたいという西浦の想いだった。
こうして、奈緒子と雄介、高校駅伝長崎代表を目指す部員たちの夏が始まった。それは、奈緒子と雄介、そして西浦にとっても特別な意味をもった夏の始まりだった――。