
『赤い文化住宅の初子』『百万円と苦虫女』『さくらん』(脚本)など、精力的に作品を発表する監督・タナダユキ。日本映画界注目の若手女流監督である彼女が、『神童』『コドモのコドモ』と映画化が続くマンガ家・さそうあきらの作品を映画化する。さそう作品の中でも“幻の傑作”との呼び声が高い作品を原作にした『俺たちは明日はないッス』だ。
セックスにまつわるあれやこれやを、ときにブラックに、ときにスラップスティックに、ときに情感豊かに描いた連作短編から、映画化を熱望したタナダ監督自身が高校生を主人公にした「ロマンス」「揺れています」「教えてください」の3編をセレクト。『リンダ リンダ リンダ』などの脚本家・向井康介が『神童』に続き2作目となるさそう作品の脚本化を手がけた。
キャストにも充実の顔ぶれが揃った。『奈緒子』『フレフレ少女』『ホームレス中学生』と映画出演が続く柄本時生、人気俳優集団“D-BOYS”のメンバーで『シャカリキ!』主演の遠藤雄弥、劇団ロリータ男爵所属で本作が映画初出演となる草野イニ、『風の外側』で主演デビューした安藤サクラ、テレビドラマ「キューティーハニー THE LIVE」で注目を集めた水崎綾女、雑誌「nicola」モデルとして活躍した三輪子という、次代の日本エンターテイメント界を担っていく若手俳優たちが高校生を熱演。そしてダンカン、田口トモロヲら個性派、実力派が脇を固める。
そして主題歌にはタナダ監督の希望により、人気バンド・銀杏BOYSが南沙織の往年のヒット曲「17才」をカバー。銀杏BOYSにとって初のカバー、初の映画主題歌となった。
鬱屈した性への欲求と、明日の見えないモヤモヤを抱えた17歳の高校生を生々しく描いた『俺たちは明日はないッス』。これは“性”春映画の金字塔だ!

ユメもキボーもない、無為で童貞な青春の日々を送っている高校3年生の比留間(柄本時生)、峯(遠藤雄弥)、安パイこと安藤(草野イニ)。女の子とヤレないかわりにデブの安パイの胸をもみ、煙草をふかして麻雀にうつつを抜かしても虚しいばかり。
「お前とやりたい! いまじゃなきゃダメなんだ!」とクラスメイトの友野(三輪子)とヤろうとする比留間だけど、友野は担任の吉田(田口トモロヲ)とできている。保健室でいちゃつく友野と吉田を見かけ、比留間は苛立たしさに校舎の裏で吉田を殴りつける。 一方、峯は公園で倒れていた同級生のちづ(安藤サクラ)を助ける。ちづが倒れたのは生理による貧血のせいだったのだが、父親(ダンカン)とふたり暮しのちづは生理のことをなにも知らず、性の知識は間違いだらけ。峯はそれをうっかり喋ってしまい、そのせいでちづは周りからからかわれることに。それを責められた峯は、ちづに言われるまま、ふたりでポルノ映画を観にいく羽目になってしまう。
安パイは、ビールを買いに行った酒屋で巨乳の同級生・秋恵ちゃん(水崎綾女)と出会う。子守りを頼まれていた安パイに秋恵ちゃんは親しげに話しかけてきて、なんと秋恵ちゃんから告白! 思わぬ展開に戸惑う安パイが、秋恵ちゃんのためにダイエットしようとしても、そのままでいいと優しく言ってくれる秋恵ちゃん。ふたりは一気にラブラブに。
なんだかんだでちづとヤッてしまった峯。学校でも秋恵ちゃんとキスする仲になった安パイ。比留間はといえば、まだ友野に相手にされず、ヤレないままだが、そのときの計画は入念に練っている。そしてある日……。