恐怖漫画の第一人者であり、世界中のクリエイターに多大な影響を与えてきた巨匠・楳図かずお。ユニークなキャラクターが強烈なインパクトを残す作品が多いが、同時に人間が心に持つ闇への鋭い視点が、多くの読者を魅了してきた。膨大な傑作群の中でも、特に人間の心理の闇に焦点を当てた「おろち」が、新たな寓話として生まれ変わる。
謎の美少女“おろち”。彼女は、旅を続けながら、人々の心の闇から生まれる悲劇を見つめていく……。
この傑作の映画化に、日本ホラー界が誇るふたりの才能が、強力なタッグを組んで挑む！ 脚本には高橋洋。日本中を恐怖のどん底に叩き込み、ホラーブームの火付け役となった『リング』シリーズの脚本をてがけ、日本ホラー界を牽引してきた存在だ。
そして監督は鶴田法男。ビデオ作品「ほんとにあった怖い話」などで新たなホラーの表現法を開拓し、『リング』をはじめその後の和製ホラーに多大な影響を与えてきた“ジャパニーズ・ホラー”の第一人者であり、日本ホラー界の至宝である。
常に新たな恐怖を模索するふたりが、楳図作品を題材に、新たな恐怖の地平へと向かう！
出演は、おぞましい運命にとらわれた美人姉妹に、『蝉しぐれ』『全然大丈夫』などの木村佳乃と、「こころ」『シャカリキ！』などの中越典子。ふたりの美女が、その“美”が崩れるという役に果敢に挑む。そのふたりの運命を見つめ、物語の語り部となる美少女“おろち”は『リアル鬼ごっこ』『神様のパズル』など、デビュー以来、話題作への出演が続く谷村美月が演じる。
音楽は、『リング』シリーズや押井守監督作品、海外の作品まで広く手がける川井憲次が担当し、恐怖を一層盛り上げていく。
心霊現象でもモンスターでもなく、人の心から生まれる恐怖。『おろち』はそんな真の恐怖に迫っていく。
１００年に一度永い眠りにつくことによって、不老不死の体を保ち、人の世をさまよい続ける謎の美少女“おろち”（谷村美月）。行く先々で起こる、人の業からなる悲劇、惨劇を、ときに自らの不思議な力を介入させつつ、“おろち”は見つめ続ける。彼女は天使なのか、悪魔なのか……どこから来てどこへ行くのか･……誰も知らない。
ある嵐の夜、おろちは風雨を避けるため、門前家の大きな屋敷に入り込んだ。その家の幼い姉妹・一草と理沙の姉妹の愛らしさに、彼女たちを見つめ続けていたいという思いが抱くおろち。だが、おろちは姉妹の母・門前葵（木村佳乃）の姿にどこか違和感を覚える。銀幕の大女優として名を馳せた葵は、その自信に満ちた態度と裏腹に、なにかに怯えているようなのだ。
おろちは、家政婦として門前家で暮らすことになる。そこでおろちはいくつもの謎に出会う。美しいがどこか不気味な母子の肖像画、開けてはならない禁断の部屋、そこから聞こえる不気味な声。やがておろちは、門前家の女たちは、29歳を過ぎると美貌が醜く崩れ落ちていくという運命にあることを知る。
それから20年余りが過ぎた。葵そっくりの美貌となった一草（木村佳乃＝二役）はスター女優となり、妹の理沙（中越典子）も美しく成長していた。そして眠りから覚めたおろちは、ふたたび門前家を訪れることになる。
母の葵が、死の間際に理沙に残した衝撃の秘密とは？ 事態は、おろちすら予想していなかった結末を迎えようとしていていた……。
