
1500万人を越える観客動員を記録した大ヒット作品『ハウルの動く城』から4年。日本、そして世界が待ち望んできた宮崎駿渾身の新作映画が、この夏、公開される。
『崖の上のポニョ』は、海に棲むさかなの子ポニョが、人間の宗介と一緒に生きたいとわがままをつらぬき通し、5歳の宗介が約束を守り抜く物語。原作も宮崎駿がつとめたオリジナル作品としては『千と千尋の神隠し』以来、7年ぶりの作品となる。
本作は、宮崎監督の意向により、デジタル技術全盛の時代にあえて「人間が手で描く」というアニメーションの根源にこだわった作品作りがおこなわれている。しかし、それは決して過去の手法に立ち戻ることではない。これまでのアニメーションの手法とは一線を画す、新たな表現へと挑む宮崎監督の意欲の表れなのだ。
声の出演には、山口智子、長嶋一茂、天海祐希、所ジョージと、さまざまなフィールドから個性を持ったメンバーが集結。主人公のポニョには奈良柚莉愛、宗介には土井洋輝というふたりの子役が抜擢された。また、ポニョの妹役で歌手の矢野顕子が出演しているのも話題のひとつだ。
主題歌は、藤岡藤巻と大橋のぞみが歌う「崖の上のポニョ」。映画公開に先駆け昨年12月にCDがリリースされ、その素朴なメロディーと、父娘が一緒に歌っているような温かさが早くも話題となっている。
少年と少女、愛と責任、海と生命。『崖の上のポニョ』は、神経症と不安の時代に、宮崎駿がためらわずに描く、母と子の物語だ。

海辺の小さな町。崖の上の一軒家に住む5歳の少年・宗介(声:土井洋輝)は、ある日、クラゲに乗って家出したさかなの子・ポニョ(声:奈良柚莉愛)と出会う。ポニョがアタマをジャムの瓶に突っ込んで困っていたところを、宗介が助けたのだ。
宗介のことを好きになるポニョ。宗介もポニョを好きになる。「ぼくが守ってあげるからね」
しかし、かつて人間を辞め、海の住人となった父・フジモト(声:所ジョージ)によって、ポニョは海の中へと連れ戻されてしまう。
人間になりたい! ポニョは、妹たちの力を借りて父の魔法を盗み出し、再び宗介のいる人間の世界を目指す。
危険な力を持つ生命の水がまき散らされた。海はふくれあがり、嵐が巻き起こり、妹たちは巨大な水魚に変身して、宗介のいる崖へ、大津波となって押し寄せる――。