三本木農業高校、馬術部
監督:佐々部清
出演:長渕文音 柳葉敏郎 奥村知史 森田彩華 ほか
2008年10月4日(土)より丸の内TOEIほかにて全国ロードショー
2008年/カラー/ビスタサイズ/ドルビーデジタル/117分

病気のために視力を失った馬・タカラコスモス(通称・コスモ)。献身的に世話をする女子高生・香苗の想いに応え、いつしかコスモと香苗の間には、強い絆が生まれていく。実在する青森の農業高校での出来事をもとにした、珠玉の感動作が誕生した。
監督は『チルソクの夏』『半落ち』『夕凪の街 桜の国』など、人々が織り成すドラマにあたたかい視線を向けた作品作りで定評のある佐々部清。本作は、実話をもとに高校生たちの瑞々しい青春模様を描きながら、生命の持つ力強さ、素晴しさをスクリーンへと映し出す。
困難にめげずにコスモとともに成長していく主人公の女子高生・菊池香苗を演じるのは、新人の長渕文音。その透明感のある佇まいに監督が惚れ込み、デビュー作にして主演へと抜擢された。
香苗の所属する馬術部の部員には『夜のピクニック』の奥村知史、『青空のゆくえ』の森田彩華、『サンシャシンデイズ』の西原亜希、『椿三十郎』の小林裕吉ら、期待の若手キャストが顔を揃えた。長渕文音はじめ、部員たちは実際に撮影前から乗馬の特訓を積んで撮影に臨み、見事な乗馬シーンを披露している。
部員をとくに厳しく、ときに優しく見守る顧問の古賀先生には柳葉敏郎。そのほか黒谷友香、松方弘樹、吹越満ら実力派が集結した。また、コスモ役で本物のタカラコスモスが出演しているのも注目だ。
撮影はモデルとなった青森県立三本木農業高校で1年にわたるロケを敢行。美しい四季の移ろいを記録している。
映画のメインテーマ曲はギタリストの押尾コータローが担当。優しいアコースティックギターの音色で優しく作品を包み込む。そして主題歌は若手ギターディオSTGM(ステゴマ)「この胸に…」。押尾プロデュースのこの曲が映画に爽やかに余韻を残す。

三本木農業高校の2年生・菊池香苗(長渕文音)は、馬術部に所属している。顧問の古賀先生(柳葉敏郎)の指導は厳しく、また早朝から夜中までかかる馬の世話は重労働で、入部した部員もしばらくすれば辞めてしまう。いま、部に残っているのは先輩の帆乃夏(西原亜希)、同学年の陽子(森田彩華)と賢治(奥村知史)、後輩の高橋(小林裕吉)の4人だけだ。しかし、泥だらけになりながら馬の世話をし、学校と馬場を往復するだけの毎日でも、部員たちはみな充実した高校生活を送っていた。
香苗が担当する馬は、かつて馬術競技会で名を馳せた名馬・タカラコスモス、通称コスモ。左目の病気のために引退し、引き取られたコスモだが、プライドが高い上に気性が荒く、香苗は日々辟易していた。ある日、散歩中に暴れ出したコスモに腹を立てた香苗は、コスモをその場に置き去りにして帰ろうとするが、コスモの視力がさらに低下し、地面の小さな起伏すらわからなくなっていることに気付く。
コスモの苦しみを理解した香苗は、その日以来、献身的に世話をするようになる。目の見えない恐怖から部員に心を開こうとしなかったコスモも、次第に香苗を信用するようになり、ついには香苗の声に反応するまでになっていく。そして、香苗をはじめとする部員たちも、事故による馬の死や、将来への不安、コスモの出産と子別れ、仲間との気持ちのすれ違いと和解、ほのかな恋心など、かけがえのない経験をしながら、生命の愛おしさ、尊さを学び、成長していく。
やがて、卒業を控えた香苗にとって高校生活最後となる馬術大会の日が近づいてきた。香苗は、最後の大会にコスモと出場したいと申し出る。「私がコスモの目になります!」。危険だと反対する古賀に、香苗は固い決意を告げるのだった……。