左官職人の鮒吉(多賀勝一)は65歳になるが、病身の妻をよそにスナックのママとの情事に溺れ、スカート捲りまで楽しむという天真爛漫な男。ある日、同窓会に出席した鮒吉は、仲間の孝太郎や忠二と盛り上がった。彼らは中学校時代、深夜に石屋の家の裏庭に忍び込み、新婚夫婦のセックスを覗き見たことを回想した。そこへ、鮒吉が当時想いを寄せていた和子(並木橋靖子)が遅れて会場に現れる。夫と母を亡くしたという和子に、鮒吉は携帯電話の番号を渡して別れた。
鮒吉が妻・智子の見舞いに行くと、智子は鮒吉にこっそり頼みごとをする。鮒吉は頼まれたとおり、彼女の股間を優しく愛撫してやった。それから間もなく、智子は息を引き取った。孝太郎と忠二は鮒吉を元気づけるために彼をストリップへ連れ出し、酒を飲み交わした。翌日、突然和子から電話が来る。和子は鮒吉と会うとかつての思いを告白した……。
たそがれ
監督:いまおかしんじ
出演:多賀勝一 並木橋靖子 速水今日子 吉岡研治 小谷可南子 ほか
2008年2月16日(土)より ポレポレ東中野にてモーニング&レイトロードショー
2007年/カラー/ビスタサイズ/35mm/モノラル/64分
『たまもの』『かえるのうた』『おじさん天国』と、一般公開作も多いピンク映画監督・いまおかしんじ。その最新作は、還暦を越えた男女を描く、シルバーエイジのピンク映画だ。
“老人の性”という題材を扱いつつも、そこに特別な意識はない。いまおか監督は若い男女の恋愛を描くのと同様に、ごく当たり前のこととして老いらくの恋をスクリーンに描き出す。
脚本を担当したのは、66歳の新人・谷口晃。実際にその年齢に達したものならではのリアリティを持った脚本と、ともすれば見落としがちな日常に目を向けるいまおか監督の姿勢が共鳴し、見事な人間ドラマが生まれた。
これまでのいまおか作品に比べれば、あまりにもオーソドックスな仕上がりに、肩透かしを食らう観客もいることだろう。しかし、本作でのいまおか監督の視線は、いつにも増して優しく、温かい。
『たそがれ』は、現在42歳のいまおか監督が、高齢者に向けて贈るメッセージでもあるのだ。
- 鮒吉:多賀勝一
- 和子:並木橋靖子
- 貴子:速水今日子
- 孝夫:吉岡研治
- 勝子:小谷可南子
- 孝太郎:福田善晴
- 忠二:高見国一
- 俊夫:山田雅史
- 康介:谷口勝彦
- 石屋の妻:高槻ゆみ
- スーパー店長:河村宏正
- 専務:前川和夫
- 藤田:玉置稔
- 覗き老人:横田直寿
- 医師:谷進一
- 親方:デカルコ・マリィ
- 監督:いまおかしんじ
- 企画:朝倉大介
- プロデューサー:衣川仲人/森田一人/臼井一郎
- 脚本:谷口晃
- 撮影:佐久間栄一
- 編集:酒井正次
- 録音:シネキャビン
- 助監督:大西裕
- 製作・配給:国映/新東宝映画
- 製作:Vパラダイス