七浜高校合唱部のソプラノパートリーダー・荻野かすみ(夏帆)は、自分の歌声とルックスに自信満々の女の子。
ある日、かすみは密かに憧れていた生徒会長の牧村純一(石黒英雄)から「歌っている荻野さんが撮りたい」と、写真のモデルを頼まれる。有頂天になって、いつも以上に表情豊かに歌い上げるかすみだったが、できあがった写真は、目を見開き、口を大きく開けたインパクトたっぷりの顔ばかり。牧村からは「ユーモラス」と言われ、同級生の青柳レナ(岩田さゆり)からも「あんたの歌ってる顔って変だよ」と追い打ちをかけられ、かすみはすっかり意気消沈。その日から合唱部の練習も休んでしまう。
ついにかすみは顧問の瀬沼先生(薬師丸ひろ子)に退部を願い出る。意外にもあっさりと承諾した瀬沼だったが、ラストステージとしてかすみを夏祭りの合唱祭へ出場させる。
迎えた合唱祭の日、ステージ上のかすみの練習不足とやる気のなさは明らか。わけを聞こうとする部長の楓(亜希子)と副部長のミズキ(徳永えり)を振り切って立ち去ろうとするかすみの前に、権藤(ゴリ)率いる湯の川学院高校のヤンキー合唱部が現われた。いかにも悪そうな見た目とは裏腹に礼儀正しい権藤。しかし、かすみには「合唱なめてんじゃねぇぞ!」と厳しい言葉をかける。
合唱祭のステージで、湯の川学院高校合唱部は尾崎豊の「15の夜」を熱唱する。その姿を客席で見つめるかすみの中で、合唱への素直な想いが蘇りはじめていた――。
うた魂♪
監督:田中誠
出演:夏帆 ゴリ(ガレッジセール) 薬師丸ひろ子 ほか
2008年春休み シネクイント、シネ・リーブル池袋 ほか全国ロードショー
2007年/35mm/カラー/ビスタサイズ/ドルビーSRD/120分
自分の歌声とルックスに絶大の自身を持つ合唱部員の女子高生。しかし、そんな彼女のプライドをボロボロにするあるハプニングが! ショックを受けて一度は合唱をやめようとする彼女だが……。
ひとりで歌うより、みんなで歌ったほうが楽しい。もっともっと集まれば、もっともっと楽しくなる。合唱を題材にした『うた魂♪』(うたたま)は、そんな「みんなで歌うこと」の楽しさを教えてくれる作品だ。
ちょっと自意識過剰なヒロイン・かすみを演じるのは『天然コケッコー』で報知映画賞最優秀新人賞を獲得、主演作『東京少女』も控え、注目度上昇中の正統派美少女・夏帆。本作ではいままでとは一味違ったコメディエンヌ振りを披露している。そして、かすみに合唱の素晴しさを教える飛び切りアツいヤンキー合唱部の部長・権藤にお笑いコンビ・ガレッジセールのゴリ、合唱部の顧問役には『ALWAYS 三丁目の夕日』の薬師丸ひろ子、イケメン生徒会長に「仮面ライダー電王」で注目を集める石黒英雄。ほか、徳永えり、亜希子、岩田さゆり、ともさかりえ、間寛平と、ベテランから新鋭まで多彩なキャストが揃った。
メガホンをとったのは『タナカヒロシのすべて』の田中誠。函館港イルミナシオン映画祭第8回シナリオ大賞に輝いた脚本を瑞々しく、鮮やかに映像化している。
『うた魂♪』の大きな見どころが、劇中で歌われる合唱曲の数々。クラシックからJ-POPのヒットナンバー、尾崎豊の名曲まで、バラエティ豊かな楽曲が合唱バージョンで作品を彩る。かすみたち七浜高校合唱部が歌うのは、映画の主題歌でもある「青い鳥」。映画のためにこの曲を書き下ろしたゴスペラーズも、コンクール審査員役で映画出演を果たしている。
歌を通じて響きあう気持ち。それはささやかだけど爽やかな奇跡さえ起こしていく。映画を観終わったとき、きっとあなたも歌いたくなるはずだ。
- 荻野かすみ:夏帆
- 権藤洋:ゴリ(ガレッジセール)
- 牧村純一:石黒英雄
- 野村ミズキ:徳永えり
- 松本楓:亜希子
- 青柳レナ:岩田さゆり
- 黒木杏子:ともさかりえ
- 荻野知恵蔵:間寛平
- 審査員:ゴスペラーズ(北山陽一/黒沢薫/酒井雄二/村上てつや/安岡優)
- 瀬沼裕子:薬師丸ひろ子
- 監督:田中誠
- 製作:佐藤直樹
- エグゼクティブプロデューサー:馬場清
- プロデューサー:有重陽一/野間清恵/川上竜生
- 脚本:栗原裕光/田中誠
- 撮影監督:鈴木一博
- 美術:新田隆之
- 録音:岩倉雅之
- 編集:大永昌弘
- 音楽:林祐介
- 音楽プロデューサー:和田亨
- 装飾:松田光畝
- キャスティング:おおずさわこ
- スクリプター:田口良子
- 助監督:野本史生
- 製作担当:大沢忠生
- 主題歌:「青い鳥」 ゴスペラーズ(キューンレコード)
- 制作プロダクション:日活撮影所
- 製作:『うた魂♪』製作委員会(日活/朝日新聞社)