愛のむきだし
監督:園子温
出演:西島隆弘 満島ひかり 安藤サクラ 渡辺真起子 渡部篤郎 ほか
2009年1月下旬より、渋谷ユーロスペースほかにてロードショー
2008年/カラー/ビスタサイズ/DTSステレオ/237分

『自殺サークル』『Strange Circus 奇妙なサーカス』『紀子の食卓』など、衝撃作を次々と送り出してきた監督・園子温。これまで数多くの国際映画賞を受賞してきた鬼才が、またしても日本映画界を震撼させる。最新作となる『愛のむきだし』は、237分にわたる激しい愛の物語だ。
主人公は敬虔なキリスト教徒の家庭に育った少年・ユウ。あるきっかけから自ら“罪”を作ることに励むようになったユウは、ある日、理想の少女・ヨーコと運命的な出会いを果たす。しかし、謎の新興宗教団体が彼らに近づいていた――。
ユウを演じるのは、人気グループAAA(トリプル・エー)のメインボーカルをつとめる西島隆弘。ドラマ「美味學院」や舞台にも出演しているが、映画は本作が初出演にして初主演となる。ユウの運命の女性・ヒロインのヨーコには、『デスノート』『プライド』などで話題を集める若手女優・満島ひかり。ふたりに近づく謎の女性・小池には俳優・奥田瑛二の実娘であり『風の外側』『俺たちに明日はないッス』に出演する安藤サクラ。いま注目の若手キャストが、園監督のもと、まさに体当たりというべき熱演を見せる。
さらに、自由奔放で妖艶な女・サオリに『殯の森』『愛の予感』の渡辺真起子、厳格でありながら愛に溺れるユウの父親に監督デビューも話題の渡部篤郎が扮するほか、園監督作品ならではの豪華キャストが集結。また、独自の音楽性で知られる孤高のロックバンド・ゆらゆら帝国が初めて映画に音楽を提供している。
“快楽と苦痛”“真実と嘘”“キリスト教と新興宗教”“理性と本能”。世間や人間が内包する二面性を、ときにユーモアを交え、ときに残酷に描いていく『愛のむきだし』は、圧倒的なエネルギーで観客に映画の醍醐味を感じさせる。

高校生の角田ユウ(西島隆弘)は、父・テツ(渡部篤郎)と2人、穏やかな生活を送っていた。母(中村麻美)は幼いころに亡くなり、父はそれをきっかけに神父となった。人々から信頼と尊敬を集める父のもと、ユウはいつかマリアのような理想の女性に出会える日を夢見ながら日々を過ごしていた。
ある日、教会にサオリ(渡辺真起子)という女性が現われた。神父としてサオリに接していた父は、いつしか妖艶で自由奔放なサオリに惹かれていく。しかし、移り気なサオリは父のもとを去り、その日から父は人が変わってしまった。父は毎日ユウを懺悔室に呼び出し、懺悔を強要する。ユウは父の要求に応えるため罪をでっち上げてまで懺悔を続ける。
ユウは、罪を犯すために不良グループへ加わってさまざまな罪に手を染め、やがて女性の股間を狙う“盗撮”と出会う。あらゆる罪を許してきた父も盗撮は許さず、ユウを変態と罵り殴りつける。それこそが父への愛を示すことだと感じたユウは、盗撮に没頭していき、盗撮の天才的才能を発揮していく。
盗撮グループのリーダーとなったユウは、ある日、仲間とのゲームに負け、罰ゲームとして女装して女性をナンパすることになる。女装して街を歩くユウは、チンピラたちに絡まれているヨーコ(満島ひかり)と出会い、その瞬間、恋に落ちた。ヨーコこそ、ずっと探し求めていたマリアだったのだ! ユウは“姉御サソリ”と名乗りヨーコを助け、ヨーコも恩人のサソリに恋をする。ヨーコと唇を重ね、初めての勃起を体験するユウ。
それから数日、ユウとヨーコは意外なかたちで再会を果たすことになる。そして、かつてユウが盗撮しようとした女性・コイケ(安藤サクラ)がユウたちの様子を密かにうかがう。そこには、新興宗教団体“ゼロ教団”の影があった……。