旅立ち〜足寄より〜
監督:今井和久
出演:大東俊介 萩原聖人 伴杏里 泉谷しげる ほか
2009年1月24日(土)より新宿トーア、渋谷シアターTSUTAYAほか全国順次ロードショー
2008年/35mm/カラー/ヴィスタサイズ/DTSステレオ/112分

2006年にデビュー30周年を迎え、いまも精力的に活躍する歌手・松山千春。その自伝をベースとした映画が誕生した。『旅立ち〜足寄より〜』は、歌手を目指しやがてスターとなっていく青年“松山千春”と、彼の才能を見出したラジオ局ディレクターの深い絆を描いていく。
松山千春が23歳のときに執筆し大きな反響を呼んだ自伝の映像化にあたり、出演者には若手からベテランまで、多彩なキャストが揃った。
主人公・松山千春を演じるのは大東俊介。ドラマ「花ざかりの君たちへ〜イケメン♂パラダイス〜」や映画『クローズZERO』『リアル鬼ごっこ』などで注目度急上昇中の若手俳優だ。本作では、現役の実在するトップシンガーを演じるというプレッシャーをはねのけ、堂々と“松山千春”を演じている。
そして千春の才能を信じデビューさせるラジオ局ディレクター・竹田健二には幅広い役柄をこなす萩原聖人。そのほか千春の憧れのヒロインに伴杏里、千春の姉に尾野真千子、千春の友人に「ジョンミョンと林剛史、竹田の妻に奥貫薫、竹田の上司に石黒賢。さらに、千春の父を実際に松山千春自身とも親交の深い泉谷しげるが演じているのも注目だ。
監督は「ガラスの仮面」シリーズ、「高原へいらっしゃい」「アストロ球団」など数々のドラマを手がけてきた今井和久。『ポストマン』に続く劇場作品第2作となる本作では、ときにダイナミックに、ときに繊細に、松山千春の半生を描いていく。

昭和50年5月。北海道・札幌では“全国フォーク音楽祭”北海道大会が開催されていた。ところが、ひとりの出場者がなかなか姿をあらわさない。スタッフがやきもきする中、パトカーに乗って到着したのが松山千春(大東俊介)だった。
真っ赤なニッカポッカに大きなサングラスと、フォーク大会には場違いな格好の千春がステージに姿を現わすと、大勢の観客は笑い出した。千春はそんな客席に向かって「お前らうっせえぞ! 笑ってないで歌を聴け!」と一喝する。そして歌いはじめた「旅立ち」。その透き通るようなハイトーンボイスと、切ない別れを歌った歌詞に、それまで野次を送っていた観客たちも圧倒されて聞き惚れる。
審査員のひとりであったSTVラジオのディレクター・竹田健二(萩原聖人)は千春の才能を確信するが、生意気な態度がほかの審査員の不評を招き、結局千春は落選してしまう。早々に会場を去ろうとする千春に、竹田は「いつかチャンスが来るから、そのときまでに作れるだけ曲を作っておけ」と告げる。
音楽祭からしばらく経ったある日、竹田は千春の暮らす足寄を訪ねる。新聞社の息子といっても、父の明(泉谷しげる)がひとりで切り盛りする小さな新聞社。千春は父を手伝いながら自分の想いを歌として書き溜めていたのだった。
「北海道からスターを出したい」と考える竹田は、千春にその可能性を見出していた。何度企画が没になっても竹田はめげず、ついに千春のラジオ番組出演が決定する。相変わらずの言動で周囲を冷や冷やさせながらも、その歯に衣着せぬトークと、なにより歌の魅力で千春の番組は好評を博していく。そして竹田の熱意により、ついに千春のレコードデビューが決まる――。