築城せよ!
監督:古波津陽
出演:片岡愛之助 海老瀬はな 江守徹 ほか
2009年6月20日(土)より新宿ピカデリーほかにてロードショー
2009年/カラー/アメリカンビスタ/ドルビーSR/120分

2009年の現代に蘇った戦国武将。彼の目的は、自らの城を建てること。「築城せよ!」の号令のもと、住民たちが城建設に奮闘する。その材料は、段ボールだ!?
2010年に築城400年を迎える名古屋城のほか、近年、全国各地の城が築城から400年となる節目を迎え、“城ブーム”が盛り上がりを見せている。そんな中に登場する『築城せよ!』は、文字通り築城をテーマにしたユニークな作品だ。
段ボールの城、現代に蘇る武将という奇抜な発想の本作を監督したのは、これが長編初監督となる古波津陽(こはつ・よう)。これまでに制作した短編映画は海外で高い評価を得ており、2005年にわずか300万円の予算で制作した短編『築城せよ!』は、サンフェルナンドヴァレー国際映画祭で最優秀外国語映画賞を受賞した。その作品をもとに、長編としてリメイクしたのが本作『築城せよ!』である。
主人公の武将役には、監督の強い要望により、日本の伝統を伝える歌舞伎界から片岡愛之助が起用された。ドラマや舞台、映画にも活躍の場を広げる上方歌舞伎のホープが、気品と迫力を備えた武将と現代の気弱でドジな青年の二役を巧みに演じている。そして家臣に紀行番組でもお馴染みの阿藤快、ヒロインの女子大生に期待の若手女優・海老瀬はな、築城に反対する町長にベテランの江守徹、そのほかふせえり、藤田朋子など、多彩で豪華なキャストが顔を揃えた。
映画のもうひとつの主役と言える城は、実物大のセットを製作。愛知工業大学の協力のもと、スタッフ、学生、地域住民がひとつとなって作られた本作は、まさに映画どおりに“ものづくり”の本質を伝えてくれる。

過疎化が進む町・猿投(さなげ)。この町の公園では、住民たちがかつてあった城を復元し、町おこしに活用しようとしていたが、町ではその公園に工場建設を計画していた。
住民への工場建設計画の説明会がおこなわれる前の夜、公園内の井戸やぐらあとに落ちたドジな役場職員の石崎(片岡愛之助)とホームレスのゴン(木津誠之)、助けに飛び込んだ大工の棟梁・勘助(阿藤快)が姿を消してしまう。勘助の娘で大学で建築を学ぶナツキ(海老瀬はな)と、城復元の旗振り役で城郭研究家の岩手(津村鷹志)が探し回っても3人は見つからない。
夜が明けて、説明会のために公園にやってきた町長の馬場(江守徹)と広報部長の二本松(ふせえり)を待っていたのは、鎧兜に身を包んだ行方不明の3人だった。石崎は戦国武将・恩大寺隼人将、勘助とゴンはその家臣の勘鉄斎と権太夫と名乗る。かつて果たせなかった城完成の悲願を叶えるため、戦国時代の武将が3人の体を借りて現代に蘇ったのだ! 恩大寺は町長を追い払うと、公園に築城を宣言する。
こうして住民による城建設が始まったが、尊大な恩大寺たちの振る舞いに住民たちの間に不満が広がっていく。そして、あるきっかけで権太夫はホームレスのゴンに戻ってしまい、住民たちも離れていってしまう。
それでも築城を諦めない恩大寺は、ゴンの段ボールハウスを見て、段ボールで城を作ることを思いついた。ひたむきに努力を始めた恩大寺の姿に、住民たちもふたたび集まりだし、ナツキが設計した段ボール城の建築が進んでいく。だが、町長は城の撤去を計画していた……。