島田洋七の佐賀のがばいばあちゃん
監督:島田洋七
出演:香山美子 小林綾子 島田紳助 東国原英夫 高島礼子 ほか
2009年4月九州先行上映 4月25日(土)銀座シネパトス先行、5月全国ロードショー
2009年/カラー/16:9/DTSステレオ/112分

1980年代の漫才ブームを牽引したB&Bの島田洋七が、自らの少年時代の体験をもとに書いた自伝小説が「佐賀のがばいばあちゃん」だ。貧乏でも持ち前の明るさと機転の利いた言葉でたくましく生きる“ばあちゃん”と、そのもとに預けられた昭広少年=島田洋七の暮らしをいきいきと描いたこの作品は、評判が評判を呼び、シリーズ累計670万部のベストセラーとなり、コミック、ドラマ、舞台、映画化も果たした。
そんな中、全国で4000回以上にのぼる講演をおこなってきた島田洋七の中で、自らの手による映像化したいという想いが芽生えていった。そして、昭広が預けられたときのばあちゃんの年齢と同じ58歳での監督デビューが実現。お客さんがどこで笑うか、どこで感動するかという、講演活動の中で得た「舞台の間(ま)」を取り入れた映画『島田洋七の佐賀のがばいばあちゃん』が誕生した。
佐賀弁で「すごい」という意味の「がばい」ばあちゃんを演じたのは、ベテラン女優の香山美子。昭広少年の母親・秀子には高島礼子、秀子の妹・喜佐子には小林綾子という豪華なキャストに加え、人気タレントの島田紳助、現・宮崎県知事である東国原英夫も特別出演し、旧知の間柄である島田洋七の監督デビュー作に彩りを添えた。また、島田洋七自身も野球部の監督役で出演している。そして島田監督自身の分身ともいえる昭広少年役は、年齢の異なる3人が年代にあわせて演じ、素朴な少年らしさを発揮している。

昭和33年。7歳の昭広(森田温斗)は、母親の秀子(高島礼子)とふたり、広島で暮らしていた。
ある日、昭広と秀子は秀子の妹・喜佐子(小林綾子)を見送りに駅へとやってきた。発車のベルが鳴り終わる寸前、秀子は昭広の背中を押し、列車に乗っている喜佐子に託した。走り出した列車の窓から昭広が見たのは、涙を流す母の姿だった。母子家庭で昭広の面倒を充分に見られない秀子は、悩んだ末に昭広を佐賀で暮らす母に預けることを決意したのだった。
喜佐子に連れられ、幼いころに会ったきりのばあちゃん(香山美子)の家での暮らしを始めた昭広。ばあちゃんは、歩くときには磁石を引きずって鉄くずを集め、裏の川で川上の市場から流れてきた野菜を拾うという超貧乏暮らし。昭広はさっそく朝ごはんの支度という仕事を与えられる。初めて炊いたご飯は固過ぎたが、ばあちゃんは「石より柔らかい」と言って食べてくれた。
2年後、小学3年生になっていた昭広(瀬上祐輝)に会いに秀子が佐賀に来た。だがばあちゃんは「会えばお互い別れがつらくなるだけばい」と、遠くから昭広の姿を見せるだけだった。おかずがなかったり、月謝が払えないので剣道が習えなかったりと相変わらず貧乏は続いていたが、昭広とばあちゃんは楽しく暮らしていた。
昭和40年になり、中学生の昭広(原田祥)は、勉強はからきしダメで、テストでも0点ばかり。長谷川先生(島田紳助)に怒られてばかりだが、野球部では主将として大活躍していた。市の大会で決勝戦まで進めば秀子が応援に来てくれることになり、昭広の気合も普段にも増して高まる。そしていよいよ大会が始まる――。