高校2年生の平井和也(賀来賢人)は高校2年生。実家近くの新聞配達店で住み込みのアルバイトをして働き、学校では陸上部で活躍する和也は“模範少年”として新聞で紹介されたこともあるのだが、周囲の期待に人知れず息苦しさを感じていた。
ある夜、和也はささいなきっかけから新聞配達店の人々と諍いを起こし、母親(濱田マリ)とも口論の末、荷物をまとめて家を出てしまう。和也は東京行きの列車に乗るため米子駅に向かう。同じころ、東京から米子駅に向かう列車の中に岩井章次(中村獅童)の姿があった。
米子駅に着いたものの東京行きの最終列車が出たあとで雨の中で途方に暮れる和也は、偶然に姉のような存在だった菊枝(前田亜季)の姿を見かける。菊枝が中年男にしつこく絡まれ、和也にはどうすることもできないところを助けてくれたのは、通りがかりの章次だった。
和也との再会を喜ぶ菊枝は、行くあてのない和也を自分のマンションに連れていく。翌朝、ちゃんと学校に行くように和也に告げて仕事に向かう菊枝。そしてその夜、菊枝は怪我を負った章次を連れて帰ってきた。菊枝の働くスナックをたまたま訪れた章次が帰り道に暴漢に襲われたのだという。菊枝は章次に手当てをするとそのまま部屋へと泊め、奇妙な縁で3人の共同生活が始まった。和也はその暮らしの中で、元・日本チャンピオンのプロボクサーである章次が抱える事情を知っていくことになる。
しかし、和也も章次も、ふたりの間にそれぞれの人生を大きく左右することになった深い関係があることに、まだ気づいていなかった……。
銀色の雨
監督:鈴井貴之
出演:賀来賢人 前田亜季 中村獅童 ほか
2009年11月28日(土)よりシネマート新宿、シネマート六本木ほか全国ロードショー
2009年/ビスタサイズ/DTSステレオ/113分
周囲の期待に息苦しさを感じる高校生。捨てられたものをほっておけないスナック勤めの女。重い過去を背負ったプロボクサー。『銀色の雨』は、そんな心に傷を持つ3人がなにかに引き寄せられるように出会い、再生に向かっていく物語だ。
原作は『鉄道員(ぽっぽや)』をはじめ映画化作品も多い人気作家・浅田次郎の同名短編。監督は、全国的な人気となった北海道発バラエティ「水曜どうでしょう」を手がけ、映画監督として3本の長編を送り出してきた鈴井貴之。監督デビュー作『man-hole』から『銀のエンゼル』まで地元・北海道を舞台に映画を作ってきた鈴井監督が本作で初めて北海道を離れ、鳥取県米子市を主な舞台に選んだ。鈴井監督にとっては初の原作ものでもあり、長編4作目にして新境地を見せる作品となった。
物語の軸となる3人を演じるのは、人気と実力を兼ね備えた俳優陣だ。高校生の和也には『ごくせん THE MOVIE』で注目を集めた期待の若手・賀来賢人が映画初主演。ボクサーの章次には歌舞伎俳優であり『レッドクリフ』などジャンルや国境を越えて活動する中村獅童。孤独を抱えた菊枝には豊富なキャリアを持つ『リンダ リンダ リンダ』などの前田亜季。
そのほか、幅広いジャンルで活躍する濱田マリ、アイドルグループ・AKB48のメンバーでもある大島優子、演劇ユニット・TEAM NACSの音尾琢真、お笑いコンビのサンドウィッチマンら、バラエティに富んだキャストが集った。
そして、日本を代表するシンガー・徳永英明が書き下ろした主題歌「透徹の空」が映画のラストを美しく飾る。
「人生の雨宿り」のような映画が作りたかったと鈴井監督は語る。米子の風景の中、もがきながら懸命に生きる人々の姿をじっくりと描いた感動作の誕生だ。
- 平井和也:賀来賢人
- 菊枝:前田亜季
- 平井幸緒:濱田マリ
- 草野和紀:音尾琢真(TEAM NACS)
- みのり:大島優子
- 小島:冨澤たけし(サンドウィッチマン)
- 電器屋:伊達みきお(サンドウィッチマン)
- 森尾:柳憂怜
- 柳沢:眞島秀和
- 陸上部顧問:ルー大柴
- 中年男・近藤:徳井優
- 竹村トレーナー:竹原慎二
- 石島オーナー:輪島功一
- 後藤善三:不破万作
- 斎藤補導員:でんでん
- 岩井耕造:品川徹
- 岩井光子:佐々木すみ江
- 岩井章次:中村獅童
- 監督:鈴井貴之
- 原作:浅田次郎「銀色の雨」(文春文庫「月のしずく」所収)
- 脚本:宇山圭子/鈴井貴之
- 企画・プロデュース:松村祥弘/植木研司
- チーフプロデューサー:竹山昌利
- プロデューサー:有吉司/村上匡宏
- 撮影:喜久村徳章
- 美術:竹内公一
- 照明:安河内央之
- 録音:堀江二郎
- ビデオエンジニア:佐々木基成
- 編集:上野聡一
- サウンドデザイン:石川孝子
- CGディレクター:藤中修一
- 装飾:相田敏春
- スクリプター:小島秀子
- 助監督:櫻井宏明
- キャスティング:吉川威史
- 音楽:坂本昌之
- 主題歌:徳永英明「透徹の空」(ユニバーサルシグマ)
- 製作:エスピーオー/ワオワールド/アップサイド/アミューズソフトエンタテインメント/テックス/テックスシネマ/彩プロ/北海道テレビ/富士コミュニケーションズ
- 製作協力:とっとりコンベンションビューロー
- 制作プロダクション:ワオワールド
- 宣伝:マジックアワー
- 配給:エスピーオー+マジックアワー