
高校1年生のヨーコ(下宮里穂子)は、学校ではいつもひとりぼっち。音楽室のピアノだけが友達だった。音楽室の窓からは、陸上部が練習をする校庭が見えた。その中のひとりの少女の姿を見るのが、いつしかヨーコの楽しみになっていた。
ある日、ヨーコは音楽室のベランダの下にブレスレットが落ちていることに気づき、ベランダから身を乗り出して拾おうとする。その姿を自殺しようとしていると勘違いして、ひとりの女子生徒が音楽室に駆けつけてきた。ヨーコがいつも見つめていたあの少女・ナツオ(大石参月)だった。
それをきっかけに、ヨーコはいままで以上にナツオに興味を抱いていく。そしてひとりで練習中に倒れたナツオをヨーコが助けたことで、ふたりの距離は急速に縮まっていった。音楽室を訪れたナツオに、親にも話していない将来の夢を語るヨーコ。
ヨーコが出場するはずのピアノコンクールの当日、ナツオとヨーコは連れ立って学校を抜け出すと、当てもなくバスに乗り込んだ。街を離れた山の中で楽しい時間を過ごすふたり。いままで親の期待にこたえて“いい子”であろうとしてきたヨーコは、ナツオと出会って、初めて自分の気持ちを大事にしようと思いはじめていた。その夜、ナツオの家に泊まったヨーコは親に怒られるが、ずっと言えなかった正直な気持ちを親に伝えることができた。
こうしてヨーコとナツオは互いの絆を深めていくが、ナツオが練習中にまた倒れてしまう。そしてその日から、ナツオはヨーコを避けるようになった……。